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2012.09.13 橋下新党「日本維新の会」の喉に刺さった骨、橋下大阪市長は総選挙に出馬するか、「近いうち」の衆院解散・総選挙を考える(3)
(ハシズムの分析、その31)〜関西から(74)〜
広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)
2012年9月8日、大阪維新の会代表の橋下大阪市長は、橋下新党「日本維新の会」を結成し、国政に進出すると表明した。橋下氏はタレント時代、「2万パーセント出ない!」と言明していた大阪府知事選(2008年1月)に突如出馬して当選し、以来、職員リストラによる財政支出の削減など辣腕をふるってきた。そして3か月の任期を残して知事を辞任し、今度は大阪市長選に打って出て、松井氏とともに「大阪ダブル選挙」(2011年12月)を制した。
大阪維新の会は、事実上、橋下氏の私党とも言うべき存在だが、2010年4月、自民党府議団の分裂もあって“地域政党”として誕生した。それから僅か1年後、第17回統一地方選挙(2011年4月)において大阪府議会の過半数、大阪市議会と堺市議会で第一党を獲得するなど、破竹の勢いで勢力を広げてきた。そして橋下府政発足から4年半余り、大阪維新の会結成から2年半足らずで地域政党から“国政政党”へ脱皮しようとしている。日本の政党史上、稀にみる急成長ぶりだと言わなければならない。
ナチス党は、1919年の結党から1924年国会選挙で初めての議席(32/472議席、得票率6.6%)を獲得するまで5年、1930年国会選挙で第2党(107/577議席、同18.3%)に進出するまで11年、1932年国会選挙で第1党(196/584議席、同33.1%)になるまで13年、ヒトラーが保守・ナチスの連合政権の首相に任命される1933年まで14年の時間を要した。そしてヒトラーが首相と大統領を兼務する1934年を契機にして独裁政権を確立し、以降、第2次世界大戦に至る破滅の道を突き進んでいくのである。
「日本維新の会」が今年(あるいは来年)の総選挙で初議席を獲得するとなれば、橋下府政の発足から僅か5年で国政進出を果たすことになり、ナチス党に比べても進出速度は決して遅くはない。まして(そんなことはないと思うが)第2党に進出するようなことにでもなれば、それはそれで彼らが「国の根っこを変える」ような事態が起こらないとも限らない。いずれにしても日本の政局転換のスピードが著しく早いことに、私たちはもっと強い関心を払う必要があるだろう。
とはいえ、大阪維新の会の地元・大阪では橋下新党の評判は最近それほど芳しくない。それはそうだろう。大阪市長になってからの市政改革には何ひとつ見るべきものがなく、市民生活を「身ぐるみ剥いでしまう」ほどの乱暴狼藉が続いているからだ。また目玉人事である公募区長の就任も市政改革の不評をカバーするカードになっていない。それどころか「情実人事の塊」といわれる区長選考は、特異なパーソナリティの登用によって却って市政に混乱をもたらしている。橋下市長自身が「コスプレ問題」を抱えて釈明に追われているのにくわえて、自業自得とはいえ公募区長の尻拭いまでやらされるのはたまらないとぼやいているそうだ。
今回の橋下新党の国政進出の裏には、「地域政党」の不評を「国政政党」への転換によって切り抜けようとする思惑があるらしい。異例の選挙協力までして公明党のご機嫌をとっているのは、大阪市議会で公明党からそっぽ向かれれば何ひとつ議題が通らない状況に直面しているからだ。公明党市議団には「市政改革」で割を食った高齢者から連日強い不満が寄せられており、都市底辺層に根を張っている創価学会からの苦情も絶えない。余程のメリット(選挙協力)でもない限り、橋下市政には協力できないとの“マグマ”が溜まっているのである。
本来であれば地域政党が国政進出する場合、地域での実績を挙げ、政治基盤を固めて国政に打って出るのが常套手段だろう。だが大阪維新の会の場合は、すでに地域政党としてのピークを過ぎている。ダブル選挙で訳も分からない「大阪都構想」に1票を投じた有権者のなかからは、大阪都構想を実現するための「大都市地域特別区設置法」(大都市法)が成立したにもかかわらず、一向に関心が盛り上がっていない。もはや「大阪都構想などなんぼのものじゃい!」という声さえ聞こえてくる有様なのだ。
連日のマスメディアの報道もあって、目下のところ橋下新党は“日の出の勢い”のように見える。NHKも民放も露骨極まりない頻度で「第3極政党=橋下新党」のイメージを連日摺り込んでいる。大阪の実情を知らない全国の有権者からみれば、民自公に代わる第3極政党は、もはや橋下新党以外に考えられない状態にまでマインドコントロールされていると言ってよい。
だが「日本維新の会」の喉に刺さった骨は、党首である橋下市長が国政選挙に出馬するかしないかを(出ないとは言っているが)いまだ決断できないことだ。橋下新党が国会に進出すれば、新党の政治基盤を固める上でも、また既成政党との連立の上でも党首が大阪市長のままでは到底務まらない事態が予測される。緊急の場面々々で絶えず上京しなければならず、大阪市役所が留守になることは避けがたい。となると、そうでなくとも不評極まりない市政運営はますます苦しいものとなり、大阪市政が機能不全に陥ることは目に見えている。
といって、橋下氏が大阪市長を辞任して国政選挙に出馬するとなると、知事・市長の任期途中での「連続ダブル辞任」となって、いままで鬱積してきた「責任放棄」「実績なし」「壊し屋」といった批判が一斉に沸き起こることは間違いない。また橋下辞任に伴う次の大阪市長選挙で「反ハシズム候補」が勝利するようなことがあれば、その時点から国政政党としての「日本維新の会」の影響力が一気に失われることも十分考えられる。
橋下私党から大阪維新の会(地域政党)へ、大阪維新の会から日本維新の会(国政政党)へと、実績もないポピュリズム政党が綱渡り的に政治の舞台を変えてきたこと、すなわち早すぎる“転身”がこのような矛盾の根源なのだ。とはいえ、橋下氏にこれ以上大阪市長として“悪政”を続けられては市民にとって迷惑千万だし、また彼自身も「化けの皮」が剥がれないうちに次のポストへの転身を望んでいるらしい。橋下党首は国政選挙に出馬するのかしないのか、「喉に刺さった骨」を抜くことは容易ではない。
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