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いまの政治家たちは出世や保身ばかり考えて、本来の日本人の生き方を忘れていないか。
高倉健は、それを日本人に問うているのだ。
以下、9月8日放送のNHK「高倉健 プロフェッショナル」について書いた「高倉健という生き方」を引用する。
平成24年9月8日放送の「高倉健 プロフェッショナル 仕事の流儀」を視た。映画『あなたへ』の撮影現場に密着して、高倉の素顔に迫ったドキュメンタリー。
俳優の世界に限らず、政治を含めあらゆる職業が、ノウハウやテクニックに流され、最も重要な人間性を忘れがちな今日、高倉の生き方を手本にしたい。
青年時代、『網走番外地』シリーズ、『日本侠客伝』シリーズなどの任侠映画で人気を博した高倉だが、「俳優とは何か」を問い直す過程で、昭和51年、45歳のときに東映を退社してフリーとなった。以来、納得できる映画にだけ出演するようになる。
昭和52年の『八甲田山』以来、高倉は、多くの「自分の持ち分を全うする男」を演じてきた。『幸福の黄色いハンカチ』、『南極物語』、『鉄道員』など、日本中の心を震わせる感動作の誕生は、「生き方が、芝居に出る」と肝に銘じてきた高倉の生き方と一体化した役作りの賜物である。
高倉は俳優として、テクニックよりも、日々ストイックに、全うな生き方をすることで、自分を人格を磨いてきたのではないか。彼が、木村久迩典『男としての人生―山本周五郎のヒーローたち』を愛読しているのも、なるほどと思わせる。義理がたく、人情が厚く、筋を通すという、高倉に対する周囲の評価は、その一面をとらえたものである。
高倉は、映画を通じて「こんな生き方があってもいいのではないか。それを見せたい」と語っている。
高倉の演技は文字通り、魂による演技だ。彼は演じる時、何より「自分の心によぎる本当の気持ち」を大切にするという。心をよぎった本物は、自然とにじみ出ると信じるからだ。
最高の演技は一回しかない、だから全身全霊で一度の本番にかけるという高倉が語る「一度きりを、生きる」という言葉には、ずしりと重みが加わる。
「国を磨き、西洋近代を超える」より引用
http://tsubouchitakahiko.com/?p=2341
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