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細野豪志環境相は9月7日午前、民主党代表選挙に立候補しないと野田佳彦首相に直接伝えた。原発担当相として岩手、宮城、福島3県の被災民に寄り添い、職務を全うしたいという思いからだという。次期総選挙で落選の危機感を募らせた当選1回の衆院議員らから担ぎ上げられそうになり、熟慮の末、不出馬を断ったようである。
選挙に弱い現職議員の生き残りのために利用されるだけよりも、多数の被災民の生活の方を優先したということだ。実に懸命な判断、決断である。野田佳彦首相は、民主党内外で好感度の高い細野豪志環境相の動きに神経を尖らせていた。埼玉新聞は9月7日付け朝刊「第2総合面」(2面)「生き残りへ41歳に白羽」という見出しのついた記事のなかで、野田佳彦首相のいら立つ気持ちを、こう描いていた。
「官邸サイドは『支持率が低いからといって「顔」を変えようという発想自体おかしい。首相が代われば政権交代後4人目となる責任の重さを感じるべきだ』(斎藤剄官房副長官)と反発する。細野氏が5日朝、外交に詳しいジャーナリストと会食したとの情報を伝え聞いた首相は顔色を変えた。『外交の勉強を始めたな。出馬するだろう』」
野田佳彦首相は、細野豪志環境相不出馬でホッとしたようだ。だが、民主党内で「野田離れ」が急速に進んでいるのを改めて痛感させられたに違いない。つまり、以下のような事実が明確になった。
@当選1回の若手衆院議員の大半ばかりかベテランまでが、野田佳彦首相の下で解散・総選挙を行えば、こぞって枕を並べて討ち死にすると恐れていることが改めて判明した。
A前原誠司政調会長が「野田支持」を表明したものの、「野田佳彦首相の対抗馬」が出れば、前原派としては、自由投票を認めるという姿勢を示したことから、全面支持ではないことが、炙りだされた。
B野田佳彦首相が、東京都内で菅直人前首相と会い、協力を要請したが、色よい返事を得られなかった。
C中間派の鹿野道彦前農水相が、「反野田」の態度を鮮明にした。
D原口一博元総務相が、「立候補する意向」を示し、野田佳彦首相に反旗を翻す姿勢をはっきり示した。
E山田正彦元農水相が、あくまでTPP反対の立場から「立候補する意向」を示し、野田首相に対して徹底的に戦う姿勢を強めた。
F原口一博元総務相と山田正彦元農水相との話し合いの結果、原口一博元総務相に1本化することが決まった。
野田佳彦首相は9月7日夕、記者会見し、「代表選挙に出馬する」と表明、「安定政権を築く」と決意を述べた。だが、民主党内の亀裂が拡大しており、安定政権を築く前に民主党自体が崩壊してしまう可能性が大である。
さらに、代表選挙の前哨戦の最中、日朝交渉をめぐって、日本側は、「拉致問題が議題に含まれる」と受け止めた。これに対して、北朝鮮側は、直ぐさま「含まれない」と抗議してきた。これは、北朝鮮側が「野田佳彦政権は、あと1〜2か月後には崩壊する」と予測し、「野田佳彦政権は相手にせず」というメッセージを送ってきたものと解釈されている。
北朝鮮の最高指導者である金正恩第一書記(元帥)は、交渉相手に小泉純一郎元首相を希望し、次期総選挙後に誕生する政権に期待していると言われている。野田佳彦首相は、「政治生命を賭ける」と大見得を切り、マニフェスト破りまでして、国民の半数以上が反対している消費税増税法案を可決成立させた。「一内閣一仕事」という意味でも、野田佳彦首相は、この段階で解散・総選挙を断行すべきであった。
多くの国民有権者を裏切り、信頼を喪失してしまっているいま、いつまでも「政権に恋々」としてしがみつき「悪政」を敷き、無様な姿態を天下に晒し続けるのは、見苦しい。故に一刻も早く退陣すべきなのである。
http://blog.goo.ne.jp/itagaki-eiken/e/a8342c91d70e46686e36fde9e2546e41
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