http://www.asyura2.com/12/senkyo135/msg/415.html
Tweet |
東京新聞2012年9月6日(書き起こし)
日本の原発が周辺国への抑止機能を持つとした森本敏防衛相の発言は、「平和目的」に限るとした日本の原子力開発の原則を揺るがしかねない要素を含んでいる。防衛相就任前の発言とはいえ、核兵器開発の潜在的能力を保持することが必要と受け止められる内容だけに、影響は大きい。
政治家や学者の中には、日本が核兵器開発の潜在的能力を保持すべきだと主張する人がいる。近年明らかになった公文書などからは、日本政府が長年、核武装の選択肢維持を重視していたことも分かっている。また、北朝鮮の核開発などに関連して、核兵器開発の潜在的能力を維持すべきだとの意見も根強くある。
森本氏の発言はこうした流れに沿っていると言え、政府が「核武装の意図はない」と主張しても理解を得られにくくなるだろう。 森本氏は安全保障の専門家としての見識を評価され、民間から初めて防衛相に起用された。さらに、政府が最優先課題とするエネルギー政策の見直しにも閣僚として影響力を発揮することができるだけに、発言の持つ意味は重い。あらためて自らの考えを国民に説明する必要がある。(共同・佐藤大介デスク)
■防衛相「原発は抑止力」 就任前 国防上の利点強調(既報)2012年9月6日 朝刊http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012090501001977.html
森本敏防衛相が就任前の今年一月、電力関係の講演会で日本の原発維持を主張し「単にエネルギーの問題だけではない」「周りの国から見て非常に大事な抑止的機能を果たしている」と発言していたことが五日分かった。原発の維持が周辺国に核兵器開発の潜在的能力を意識させ、それが日本の国防上のメリットにつながるとの考えだ。
森本氏は共同通信の取材に対し「政府の一員となった現在は(非核三原則を堅持する)政権の方針に従う」とする一方、就任前からの外交・安全保障の知見については「できれば現実の政策の中に生かしつつ」全力を尽くすのが職責だとも強調した。
政府は近く、将来の原発比率を含めたエネルギー・環境戦略を決めるが、森本氏は閣僚として閣議決定などで関与することになる。
講演会は、北海道電力などが関係する経済団体「北海道エナジートーク21」が主催し、一月二十五日に札幌市で開かれた。森本氏は講演会後の座談会で発言。主催者がまとめた講演録によると「国の基本として原子力を持つということは、単にエネルギーの問題だけではない」などと述べた。
原子力開発を平和利用に限定する原子力基本法には六月「わが国の安全保障に資する」との文言が追記された。政府は非核三原則堅持の方針に変わりはないとしているが核武装に道を開きかねないと反発が出た。
■防衛相の主な発言
一、国の基本として原子力を持つということは、単にエネルギーの問題だけではな い。今まで積み上げてきた日本の原子力技術をわれわれは失うべきではないし、
国家遺産と言っていいくらいのレベルだから、さらに技術を上げて人材を育成す るべきだ。
一、日本が原子力について高い能力を持っているということが、周りの国から見て非 常に大事な抑止的機能を果たしていることを考えると、決して(原子力を)捨て るべきではない。
一、電力会社はなんとか電気を安定的に供給しようと、原発を化石燃料で補ってき た。その努力がなかなか伝わらないから「原発がどんどん減っているのに電気は いつもついてるじゃん」という単純な考えが広がる。家庭の電気を毎晩二時間ぐ らい止めたら皆分かる。
一、原子力を捨てるわけにはいかない。「事故が起きたからやめましよう」というの では、何のために人間の知恵があるのか。知恵で困難を克服し新しい技術開発の 道を求めて、乗り越えていかなくてはならない。
■国益に反する発言
<原子力行政に詳しい小沼通二慶応大名誉教授(素粒子論)の話>
原発維持を主張する根拠に、周辺国への「抑止的機能」を持ち出すのは、平和利用の目的を逸脱し、国民の大多数の考えと違ったものだ。六月の国会で、原子力基本法に「わが国の安全保障に資する」との目的が追記されたことの深層を示したといえるだろう。
「抑止的機能」を保つというのは、核兵器が有用という立場であること。国連の瀋基文事務総長やオバマ米大統領も、核兵器のない世界を目指して努力を続け、多くの国の指導者からの賛同が広がっている。原発を抑止力として捉えるのは、そうした流れに真っ向から対立するものであり、日本の国策と国益に反する。わが国の外交・安保政策と相いれない考えの持ち主は、防衛相として失格であり、辞職するか考えをはっきり変えてもらうことが必要だ。
■選択肢残すべきだ
<北岡伸「政策研究大学院大教授(日本政治外交史)の話>
北朝鮮の核問題をめぐる六ヵ国協議において米国の外交官は、北朝鮮が核武装すればいつか日本が核武装する可能性があると言って、(北鮮鮮に影響力を持つ)中国などを説得している。日本が原発を放棄すれば、北朝鮮が核武装する可能性も高まるだろう。 日本の安全保障のためには、多くの選択肢を残しておくべきだ。現在のように周辺国が日本に対してさまざまな行動に出てくるのは、日本の防衛力が低下しているからだ。非
核三原則を金科玉条にしてはならないし、まして閣僚の民間時代の発言まで問題にすることには賛成できない。
■原子力平和利用の原則
原子力研究の軍事利用を防ぐため、日本学術会議は1954年に「民主、自主、公開」から成る「平和利用の3原則」を決議した。これを基に56年1月、日本の原子力開
発の基本原則を定めた「原子力基本法」が施行され、原子力の研究、開発、利用を平和目的に限定した。今年6月の同法一部改正で、自民党の主導によって「わが国の安全保障に資する」との文言が追記され、日本の核武装に道を開くとの懸念から論議を呼んだ。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK135掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。