http://www.asyura2.com/12/senkyo135/msg/401.html
Tweet |
株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu271.html
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
--------------------------------------------------------------------------------
米国にとっては自民党政権と、野田政権のどちらが都合がいいのか。
こんなに米国に従順な政権は、自民党時代にもなかった。
2012年9月5日 水曜日
◆「そのとき橋下徹氏はアメリカに潰される」孫崎享氏&長谷川幸洋氏〜週刊ポスト2012/09/14号
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11344881115.html
<書き起こし開始→
尖閣問題でハッキリ見えた「最高の操り人形・野田政権」の座を脅かすこの男は、いつ「超えてはならない一線」を踏み越えるのか
外交には常に表と裏がある。表で起きていることは韓国、中国との相次ぐ領土問題だが、その裏には、やはりアメリカの影があった。言い換えれば、日本は戦後65年以上にわたって、その影に怯え続けている。
戦後最も露骨な対米追随を見せる野田政権の”次”を狙う橋下徹は、虎の尾を踏むのか。
■「オスプレイは尖閣に有効」の妄言
週刊ポスト:野田首相は8月24日の記者会見で、「韓国は竹島を不法占拠している」と明言し、「(竹島を)不退転の決意で」で守ると宣言するなど、外交問題で強硬姿勢に出たように見える。
長谷川:野田首相とすれば「近いうち解散」を控えて、これ以上の支持率低下を避けるためにも「ここで何か言わねば」と焦ったのでしょう。強気なことを言っているように見えますが、実際にはこれまでの政権の主張を繰り返したに過ぎない。これでは、政策になりません。
大事なのは、会見で最後に言った「平和的、外交的に問題解決を目指す」という具体的な内容、道筋なのに、それに関しては何も明示していない。
孫崎:その点は私も同じ感想です。何も言っていないに等しい。
長谷川:むしろ米国の方が政策がはっきりしている。
8月15日に、アーミテージ元国務副長官とナイ元国防次官補(ハーバード大学教授)が共同で発表した対日報告書によれば、<日本政府は、長期的・戦略的観点から二国間関係を検証し、不必要な政治的意見表明は慎むべきだ>とある。まるで野田首相の会見を先読みしていたかのように、”余計な強気発言”は無駄だと釘を刺しているのです。
そのうえで報告書は、日韓の歴史問題について、日米韓3カ国の有識者による非政府間会合を開き、対話の進展を図る枠組みを提案した。つまり「米国が仲介する和解工作」ですね。こういうのが政策です。
孫崎:この問題になぜ米国が介入するのかというと、一般の日本人からみると竹島も尖閣も同じ領土問題ですが、米国は竹島と尖閣を明確に分けていて、竹島問題の方は穏便に収めたいからです。東アジアで中国の脅威が高まる中で、米国が描くグランドデザインは、日本と韓国、フィリピン、オーストラリアと協力して中国に対抗するという構図だから、日韓が揉めるのは歓迎しない。政権末期の韓国大統領と支持率が低迷する日本の総理大臣が、人気取りで余計なバトルをするのを苦々しく思っているわけです。
ですが、米国にとって尖閣問題はもっと複雑な事情が絡む。
長谷川:ここは凄く大事な点です。日本人は「竹島も尖閣も北方領土も攻められている」という感覚を持っていますが、米国にとって東アジアの主要関心事は中国であって、韓国やロシアではない。有り体に言えば、韓国も日本も、中国を封じ込めるためのパーツでしかない。
孫崎:だから、米国は尖閣問題に関して曖昧な態度を取り続けています。先日も国務省の記者会見で中国人記者が、「米国が『領土問題については中立だ』と言いながら『尖閣には安保条約が適用される』としているのは矛盾している」と噛み付いていた。これは本来、日本人記者が聞くべき質問ですけどね(苦笑)。
本当は、米国は尖閣を守るつもりなどないのです。安保条約第5条では、米軍の出動には米議会の同意が必要となっている。つまり、尖閣諸島をめぐって中国と武力衝突することを米議会が認めないと、出動できないということです。
長谷川:米国は”あの島を守るためになぜ米軍の兵士が死ななければならないのか”と考えるから、議会が認めない可能性はある。
孫崎:しかも05年に日米間で交わされた「日米同盟 未来のための変革と再編」では、「島嶼防衛は日本の責任である」と明確化され、実効支配の及ばない地域には日米安保が適用されないといっている。つまり、一度、尖閣を中国に奪われたら、もう日米安保は適用されないのです。
長谷川:安保条約は「日本の施設下にある領域」を守ると書いているので、日本が実効支配していることが大前提です。
孫崎:それが現実なのに、野田首相は「オスプレイが南西諸島防衛に有効」とまで発言した。(輸送機の)オスプレイが無人島の尖閣に何を運ぶというのか。
米国は尖閣を守るつもりはないが、その一方で、尖閣問題で日中が揉めれば揉めるほど、日本で中国脅威論が高まり、在日米軍基地のプレゼンスが高まるので、米国は得をするわけです。
オスプレイ配備が問題になっている今、尖閣騒動が起きたのは決して偶然ではないと思います。そもそも今回の尖閣騒動は、石原都知事が「東京都が尖閣諸島を買う」と言い出したことが発端。石原氏がどこで発言したかといえば、米国です。「この主張は米国で受け入れられる」という確信が彼にはあったのでしょう。
中国側も米国の思惑を感じ取っているフシがあります。8月27日に丹羽宇一郎駐中国大使の乗る車から男が国旗を引き抜く事件が、中国紙の環球時報(8月28日付)は、社説で「われわれが引き抜かなければならないのは、某勢力が中国周辺地域で振り回している目に見えない旗なのだ」と述べています。この「某勢力」が米国を指していることは容易に想像がつきます。
長谷川:孫崎さんの見方は興味深いですが、中国側は尖閣諸島について、台湾、チベット、新疆ウイグルと同列の「核心的利益」とみなしているようにも見える。今の緊張は明らかに中国が引き起こしたものでしょう。米国の工作という見方には同意できませんね。
■米国にとって「便利な国」の条件
孫崎:米国は昨年ごろから「アジアへの復帰戦略」を標榜していますが、財政はガタガタで軍事に予算が回らない。だから、中国脅威論を煽ることで、日本や韓国などをいかに利用するか画策しています。
野田政権は基本的に米国の言いなりで、オスプレイ配備にも何ひとつ文句を言わないわけですから。
長谷川:野田政権はまさに”空っぽ政権”で、自分で考えていることは何もない。内政については霞が関、とりわけ財務省にお任せ、外交も米国の言うがまま。
野田首相には、最初から独自の外交路線と呼べるようなものが何もなかった。鳩山元首相の「東アジア共同体構想」、小沢一郎氏の「日中米正三角形論」が結果的に失敗した段階で民主党には独自の政策は何もなくなってしまった。
野田政権は防衛相に親米派の森本敏氏を起用した時点で、自民党の対米協調外交をなぞることにしたわけです。自民党の外交政策をそのままパクリ、外相に玄葉光一郎という軽めの政治家を持ってきて(笑)、自民党にも米国にも、対米追随の意図がよく伝わるようにした。
つまり、外交的には自民党と政策面でまったく同じになった。私は森本防衛相の人事こそ、民自大連立への先駆けだったと見ています。
週刊ポスト:米国にとっては自民党政権と、自民党流を取り入れた野田政権のどちらが都合がいいのか。
孫崎:野田政権です。こんなに米国に従順な政権は、自民党時代にもなかった。野田なら何も文句を言わないとばかりに、今のうちにオスプレイ配備でも原発再稼働でもやれるだけのことを実現しようとしている。
長谷川:そう。今の方が断然都合がいい。曲がりなりにも自民党の党綱領は自主憲法制定だから、ちゅっと米国にとっては面倒な面がある。しかし、野田政権には、米国に抵抗しなければならない主義主張が何ひとつない。米国にとって扱いやすい国とは、市場経済、民主主義という一応の建て前があって、それでいて”芯”が何もないこと(笑)。野田政権はすべてにおいて完璧です。
孫崎:こんなに米国の言うことをハイハイ聞いてくれる国はありませんよ。パキスタンやイラクだっていまだに揉めているんですから。
長谷川:あえて民主党内で”米国にとって面倒な人”を挙げるとすれば、前原誠司氏のように「私のような親米派なら聞く耳を持ってくれるのではないか」と考えている人かもしれません。米国は自分の意見なら聞き入れてくれるはずだと思って意見を言うから(笑)。「自分が総理になったら、お前らただじゃおかねえぞ」くらいの啖呵を切れるのなら大したものだけど、それを前原氏に期待するのはどうか。
週刊ポスト:従来の自民党政権も大して変わらないのでは?
孫崎:野田政権よりマシかもしれないが、対米従属の体質は五十歩百歩でしょう。
長谷川:今や自民も民主も対米重視の外交姿勢は何も変わりませんよ。親米派の防衛相と軽量の外相のコンビなんて、自民党政権の定番だったじゃないですか。
■サダム・フセインと橋下
週刊ポスト:そうした中で、自民でも民主でもない勢力が政権を獲る、あるいは政権に参画する可能性が出てきた。その象徴が橋下徹大阪市長です。彼の米国に関する発言は少ない(※注1)が、橋下氏のような「過去の常識が通用しない政治家」が政権に入ったと仮定した場合、米国は困るのではないか。
孫崎:少なくとも、何でもハイハイというタイプではないですね。
長谷川:橋下氏は、政策理念としては米国とかなり親和性が高い政治家だと思います。
政策的には、TPP賛成で、日米同盟を基軸とし、自立と競争を重んじる。なおかつ民主主義に肝心なロジックを大切にする人。米国人はこういう人を好むし、尊重する。”少しは日本も変わってきたかな”と思われるのではないか。
孫崎:対米政策でも、決して反米路線はとらないと思います。
週刊ポスト:すると、対米関係は今まで通りの”言いなり外交”が続くということか。
長谷川:そこはわかりません。親和性が高いというのはあくまで理念の話で、現実政治では、「橋下という政治家がコントロールしやすいかどうか」が、米国の重要な判断軸になる。
米国が戦後65年以上使ってきた対日政策のチャンネルは「霞が関」ですが、橋下氏は「この霞が関を小さくする」といっている。これは国内で大喧嘩になるわけですよ。地方分権VS中央集権の構図で、霞が関の既存勢力からしてみれば、絶対許せないことです。霞が関が潰されると、米国にとっても面倒です。
米国が選ぶのは野田のような便利なパペット(操り人形)か、橋下のような本気でぶつかってくる相手なのかというと、扱いやすい方がいいでしょう。
孫崎:もうひとつ考慮すべきは、米国は親米的で利用価値があると考えてきた政治家を最初は重宝するが、それが少しでも逆の動きを見せた途端に、すぐさまパージするという歴史を繰り返してきたこと。橋下氏が同じ轍を踏む可能性はある。
これまでにも、「自分は米国に寵愛されている」と勘違いして、米国の不可侵の部分にまで踏み込んで、切り捨てられた政治家は世界中にいます。たとえばサダム・フセインは、イラン・イラク戦争のときは、イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国から軍事的な支援を受けていました。米国から寵愛されていると勘違いしたフセインは、「米国は参戦しない」と信じてクウェートに侵攻しました。しかし、米国に切られたフセインは湾岸戦争、イラク戦争という2度の戦争で打ちのめされ、最後は米軍に捕まり、裁判で処刑されました。
韓国の大統領だった朴正煕も親米的でしたが、カーター大統領に民主化を迫られた際、「米国にも黒人問題があるだろう」と反論し、直後にKCIAに暗殺されています。
一線を踏み越えた途端に、無惨にも切り捨てられる。
週刊ポスト:橋下氏が一線を越える可能性は?
長谷川:橋下氏がなぜ強いのかというと、彼はいつでも政治家を辞める覚悟があるからでしょう。そこが他の政治家と決定的に違う。ツイッターでも「政治生命を賭けるなんておかしい」との趣旨を書いていたが、そんなの賭けなくてもできるし、ダメなら辞めて他のことをすればいいという気持ちが常にあると思う。10年前は弁護士で、7年前はタレント、それから知事になり市長になった。次は何やろうか、というぐらいの割り切りがある。
孫崎:そういう人は脅しが効かないから、米国も操縦できなくなる。そのときに米国に潰される可能性は十分にあると思う。
そんな人物が出てくるより、野田政権がずっと続くのなら、その方がいいに決まっている。
長谷川:米国はもちろん、コントロールできる人にずっとやってもらいたい。ただ、橋下首相になればなったで、それに応じて戦略、戦術を考えるはず。米国は徹頭徹尾、リアリストですから。
■ロムニーの対日政策は?
週間ポスト:今年11月には米国大統領選がある。次の大統領選の結果で米国の対日政策が変わる可能性はあるか。
長谷川:あります。たとえばTPP。オバマは「日本が入りたいというなら邪険にはしないよ」というスタンスだったが、共和党候補者のロムニーは「TPPに日本を入れない」とはっきり言っている。入りたいなら現在の9カ国でルールがまとまってから入れてやるという厳しい態度です。
ケヴィン・メア元国務省日本部長から聞いた話だが、ワシントンには当初、日本が今の段階で参加することに警戒感もあった。メアが「日本は米国にとって大切だから」と説得して、ようやく入れてやろうということになった。
孫崎:そういって日本に恩を売るのは、ジャパン・ハンドラーたちの手法です。
米国は、本当の意図を隠しているだけだと思いますよ。数字で言えば、日本の対米輸出は15%で、中国、韓国、香港、台湾を合わせた対東アジアは38%以上になります。少々問題のある相手もいるが、大きなパイを取りにいくのが日本の現実的な選択です。しかし、米国は日本が東アジアと組むことを阻止したい。だからTPPで囲い込み、日本の市場に自由にアクセスできるようにしようとしている。
長谷川:改革のための触媒をTPPのような国際的枠組みに求めるのは世界的にもごく普通の手法です。
今の霞が関中央集権という体制が日本の最大の問題。TPPという大きな外交的な枠組みを利用して分厚い霞が関の岩盤をぶち壊せるような政治家が出てきて欲しい。
孫崎:そもそも野田首相には日本の運命を左右する能力も思想もない。そういう首相にTPPという日本の岐路を決めるような問題を決めてもらいたくない。TPP参加のプラスマイナスを理解して米国と対等に交渉できる政権なら参加してもいいが、今の政権にその能力はない。
長谷川:だから、TPPの真の問題は米国と対等に議論してしっかり主張できるような政権が作れるかどうかという話になる。
週刊ポスト:日本の場合、外圧が日本の官僚たちを結果的に太らせてきた歴史がある。TPPも官僚の食い物にされたりしないのか。
長谷川:それは当然、外交交渉というのは、これまで官僚のネタになってきましたから。一番、わかりやすのは日米繊維交渉(※注2)。これは堺屋太一さんに教えてもらった話ですが、米国が繊維で日本に迫ってきたとき、大阪の業界団体が、当時の通産省の繊維局長室にきて、我々の権益が守れるように米国と交渉してくださいとお願いした。すると繊維局長は、「交渉しない」と言う。「業界団体は大阪じゃなくて東京に移せ。東京に来ないなら交渉はしない」と。当時、大阪には繊維関係の業界団体が13あって、その13団体だけが霞が関の言うことを聞かず東京に拠点を置かなかった。繊維局長室には看板が掛けられていて、そこには「敵は米国にあらず大阪にあり」とあったそうです(笑)。結局、最後は業界団体の側が負けて、13団体の繊維工業連合会として東京に事務所を出した。繊維局長もそれでよしとして、やっと米国と交渉を始めた、という。
このように、外交交渉は農水省や経産省の省益拡大のネタになってきたから、今はTPP参加を見越して、どうやって天下り先を増やそうか、ということを必死に考えているはずです。
※注2 日米繊維交渉 主に1970年代前半に行われた、日米間の繊維製品の貿易交渉。安価な日本製繊維製品の輸入制限を求める声が米国内で高まったことに端を発し、72年に当時通産大臣だった田中角栄が米側と合意するまで続いた。
週刊ポスト:橋下氏が仮に政権に入り実権を握ることがあれば、そこで「TPP積極参加による親米路線」と、「TPPによる官僚利権拡大の阻止」という、矛盾した問題に直面するのではないか。
長谷川:先のアーミテージ報告書には、対日関係を専門的に扱う政策責任者を大統領が任命する提案もある。同様に、橋下氏がもし政権を獲ったら、官僚機構をコントロールする仕組みを作り、その責任者に信頼できる人間を配置することが極めて重要です。内政は(元経産省の改革派官僚の)古賀茂明・大阪府市特別顧問、日米交渉は、それこそ孫崎さんにお願いするとかね。これは米国が嫌がりそうだなあ。
孫崎:橋下さんからまだ連絡はないですね(笑)。それは一線どころか、二線、三線を越えることになりますよ。
(私のコメント)
現在起きている日本の北方領土、竹島、尖閣という領土問題に対して、アメリカの動きが見えないと書いてきましたが、韓国が明らかに外交の軸足をアメリカから中国に移しつつあります。15年には軍事指揮権が韓国に戻り在韓米軍は実質的には撤退するでしょう。李大統領は親米政権でありオバマ大統領も晩餐会で大歓迎した。しかしミサイル協定や日米韓の軍事機密協定も直前で破棄するなど中国の影を感じます。
中国自身は韓国や香港や台湾や北朝鮮を使って日本の外交を揺さぶっていますが、黒幕は明らかに中国だ。アメリカとしては韓国を対中包囲網に組み込みたいが、韓国は既に中国に外交の軸足を移している。アメリカとしては次の韓国の新大統領を睨んでいるのでしょうが、親米的な大統領が選ばれる可能性は低い。既に韓国の政府部内には北朝鮮や中国よりの高官が多くなり、親米的だった大統領は親中に転じた。
極東アジアでは北朝鮮、韓国、台湾、香港は既に中国に取り込まれ、親米国家は日本だけになってしまった。そこでアーミテージ・ナイレポートが出されて来ましたが、極東アジアにおいてはアメリカは一歩引っ込む代わりに日韓や日台関係を改善して対中包囲網を強化したいところだろう。だから領土問題はアメリカが仕掛けたと言う人もいるが、仕掛けたのは中国であり日韓や日台に楔を打ち込んでいる。
アメリカはクリントン政権からオバマ政権に至るまで米中は戦略的パートナーであり、日本は米中の封じ込めで停滞を余儀なくされてしまった。最近では日本は停滞から衰退へと向かっていますが、GDPでも中国に追い抜かれて日本は存在感を失ってしまった。これはアメリカにとって日本の衰退は国益になったのだろうか? 日本にも民主党政権が出来て鳩山首相はアメリカ離れを模索してアメリカ抜きの東アジア共同体を言い始めた。
その時点でようやくアメリカは米中戦略的パートナーシップを言わなくなり、韓国、台湾、シンガポールの政府は沖縄米軍基地の移転問題に言及するようになった。親中派であったクリントン国務長官も突如ベトナムで南シナ海の領有権問題を持ち出してきて中国政府は驚いて腰を抜かしてしまった。孫埼氏と長谷川氏の対談でも「孫崎:もうひとつ考慮すべきは、米国は親米的で利用価値があると考えてきた政治家を最初は重宝するが、それが少しでも逆の動きを見せた途端に、すぐさまパージするという歴史を繰り返してきたこと。」と指摘していますが、米国政府は一線を越えると外交政策を180度転換する歴史を持っている。
中国の戸惑いは察するにありますが、何が米中同盟関係から対中包囲網へと政策を転換させたのだろうか? 日中のGDPが逆転した事とグーグルに対する中国政府の嫌がらせや日本の鳩山政権の米中等距離外交などで変わり始めたのだろう。G20の国際会議でも中国政府は主導権を取ってアメリカに対抗し始めた事も転換の要因の一つだろう。
日本はあまりにもアメリカに従順すぎて自国の利益を犠牲にしてまでアメリカの言いなりになって来た。年次改革要望書を毎年押し付けられて次々と構造改革が行なわれて新自由主義経済が取り入れられた。しかし2008年のリーマンショックで新自由主義経済は破綻してアメリカ政府は国の予算で破綻企業を救済した。これは新自由主義経済の否定になる。GMやクライスラーなどの破綻企業は国営化されて救済された。
東アジアの安定には中国・ロシアの勢力とその他の諸国との均衡が無ければなりませんが、アメリカが構想するのは日本からオーストラリアに至る諸国のアジア版NATOであり、それに対して中国は中国を中心とする東アジア共同体を構想している。カギを握るのは日本の動向でありアジア版NATOか東アジア共同体かは日本の判断にかかっている。
尖閣問題はその前哨戦であり、台湾や韓国も、尖閣問題での日本と中国の対応を見ているのだろう。中国も海軍を増強するまでは出られないのでしょうが、日本も海軍力を増強して対抗するだろう。しかし日本の経済力の衰退は国防力も十分ではなく、中国は20年後には経済力でアメリカを追いこすと予想されている。中国は戦わずして東アジアの覇権は手に入ると思っているのでしょうが、日本とアメリカの存在が目障りだ。
中国は国内にチベットやウイグル問題を抱えており、台湾や尖閣は「核心的利益」であり尖閣を手に入れたら沖縄も「核心的利益」に入れるつもりだろう。沖縄の米軍基地問題は厄介な問題であり、アメリカは防衛ラインをグアムまで引き下げる事が決まっている。実質的に韓国や台湾はアメリカ軍では地政学的に守りきれない。中国の中距離ミサイルは毎年増強されている。
「株式日記」では自主防衛と核武装を主張してきましたが、インドですら核武装してアメリカはそれを容認するようになった。インドは射程3000キロのミサイル実験にも成功して中国全土を射程に出来る核ミサイルを装備し始めている。日本の核武装にしてもアメリカに核武装を認めてもらう事が前提になりますが、日本の国会では核武装を論議する事すらタブーになってしまっている。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK135掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。