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福田麻生の２先例が教えている 野田の場合 国民の貧窮困乏を選ぶ
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2012/9/4 日刊ゲンダイ ：「日々担々」資料ブログ
問責された首相が即刻やめないと一体国はどうなるのか
首相が問責された｡その重みと衝撃を､政界もﾒﾃﾞｨｱもまったく分かっていないようだ｡
先週29日､参院で首相問責決議案が可決された｡法的拘束力はない｡だが､突きつけられたが最後､例外なくｱｳﾄだ｡参院での審議は全面ｽﾄｯﾌﾟし､国会は動かなくなる｡問責首相がどう悪あがきをしたところで､追い詰められ､いずれ降参するしかない｡それが問責だ｡その意味で､野田はもう完全に終わった｢死人｣なのだ｡
ところが､呆れたことに､本人も周辺も､その自覚も危機感もない｡民主党は今月21日の代表選に､また野田を担ぐつもりだ｡大ﾏｽｺﾐも､問責可決のことなど忘れて､自民党総裁選にだれが出馬するしないと､どうでもいいことに連日騒いでいる｡現職首相に明日がないのに､そこが焦点にならない｡まったくﾄﾁ狂った国だ｡
｢参院で首相問責が可決されたのは､野田首相で3人目｡最初の福田首相は3ｶ月後に総辞職に追い込まれたし､2人目の麻生首相は1週間後に解散･総選挙に打って出て､大惨敗しました｡問責決議された首相がずっと居直るというのは不可能なのです｡当時の福田､麻生政権は衆院で自公など合わせて330議席以上を保持していた｡参院の審議拒否にあっても､衆院の3分の2で再議決すれば､法案は成立できた｡事実､福田内閣は道路特定財源法など3法案を再議決で成立させました｡しかし､それでも持ちこたえられなかった｡参院の審議全面ｽﾄｯﾌﾟというのは､そのくらいの致命傷になる｡衆院で過半数ｷﾞﾘｷﾞﾘの与党議席しか持たない野田首相は､ﾊｯｷﾘ言って即刻総辞職して当然なのです｣(自民党関係者)
◆あの仙谷だって問責でクビ
問責の“効力”を､野田民主党も大ﾏｽｺﾐも知らないとは､言わせない｡麻生政権のやぶれかぶれ解散によって誕生した民主党政権になってからも､6人の大臣が問責で例外なく追放されている｡1人目は､菅政権で威張りくさっていた仙谷官房長官だった｡尖閣の漁船衝突事故のﾃﾞﾀﾗﾒ対応で問責を出された仙谷は､｢ｵﾚは辞めない｡問責可決でｲﾁｲﾁ辞めてたら､政治は成り立たない｣と大口を叩いていたが､その1週間後には､内閣改造で飛ばされた｡野田自身だって､自分の内閣で､一川､田中の両防衛相など4人の問責大臣をｸﾋﾞにしている｡
国会審議を優先すれば､そうせざるを得ないのが問責なのだ｡
｢問責に拘束力はなくても､国会が動かないと､国政が停滞する｡それで福田､麻生の元首相は総辞職や解散の道を選んだ｡しかし､野田首相には､深刻さが見えない｡今国会を閉じてしまえば､問責の効力も消える｡あとは､どうにかなるさと､気にもしていないようです｣
評論家の塩田潮氏がこう言ったが､実際､野田に総辞職や解散の気配はｾﾞﾛだ｡問責大臣は切っても､自分のｸﾋﾞは切らない｡それなのに大ﾏｽｺﾐは､国政の停滞を招く野田の代表選出馬を当然のごとく報じ､｢再選支持広がる｣なんてﾖｲｼｮまでしているのだから､ｲﾔになってくる｡
◆来年8月まで居座る危険も出てきた権力亡者
今月8日までの今国会は､開店休業状態のまま閉会する｡それで21日には民主党代表選で､問責野田首相が再選される｡その後はどうなるのか｡
｢再選された野田首相は､輿石幹事長を代え､選挙向けの内閣改造にまず手をつける｡それで､人気がどの程度回復するか見る｡もうひとつのﾎﾟｲﾝﾄは､自民党の総裁選で､だれが新総裁になるか｡今のところ､自公民路線を継承する石原伸晃幹事長が有力ですが､そうなると､秋の臨時国会はいきなり冒頭解散でなく､野田首相と石原氏が話し合って､懸案を片付けようという話になる｡衆院の定数是正､公債特例法､原子力規制庁の合意人事などをやって､あとは､一体改革の残りの課題の処理や国民会議の設置などが始まる｡解散の時期についての話し合いは､頃合いを見計らってとなりそうです｣(政治評論家･浅川博忠氏)
｢近いうちに｣解散は先送りになるばかりだ｡年内にあればいい方だし､前出の塩田潮氏は､｢野田首相に辞める気がない以上､なんだかんだ言って､来年8月の任期満了までいってしまう可能性もあります｡消費増税成立で恩義を感じる財務省があの手この手で政権を持たせようとするでしょうから｣と言った｡
ｿﾞｯとしてくる展開だが､問責可決を屁とも思わない野田と大ﾏｽｺﾐのことを考えれば､それも大ｱﾘなのだ｡
◆貧乏神を支える大マスコミを呪え
いよいよ日本経済は万事休すだ｡増税の強行以外は､東北復興も公務員改革も福祉充実も景気対策もほったらかしの野田･財務省政権の下で､ﾃﾞﾌﾚ不況がどんどん悪化している｡｢ｼｬｰﾌﾟが消える｣と騒がれ､中小企業､飲食ｻｰﾋﾞｽ業も悲鳴を上げている｡円高無策は相変わらずで､日本の株価は再びｼﾞﾘ貧の一途だ｡
ｱﾒﾘｶの例を見るまでもなく､国政選挙が近づけば､政権はｶﾈをばらまき､無理をしてでも景気を上向かせるものである｡しかし､死にぞこないの野田政権にはその気も能力もない｡
ないない尽くしなのに､厚かましく貧乏神政権が延々と続く｡これじゃあ､国民は地獄だ｡
経済評論家の広瀬嘉夫氏が言った｡
｢いま地方経済は無残なものです｡景気が冷え切っている｡頼みは国からの公共事業だけですが､このまま国会が動かず､公債特例法が通らず予算が執行されなくなると､頼みの公共事業まで止まってしまう｡雇用はますます悪化し､生活苦に陥る｡政治空白なんて許されない事態なのです｣
松下政経塾をつくった松下幸之助は｢社会全体を貧より救って､これを富ましめる｣ことを目標にしてきた｡しかし､政経塾出身の野田のやっていることは逆だ｡自分の政権しがみつきを優先し､経済を枯らし､国民が困窮する道を選んでいる｡
問責された不明を恥じて身を引くどころか､ﾂｹを国民に強いて平気の平左なのである｡最悪最低の権力亡者だ｡その存命を助ける大ﾏｽｺﾐを､国民は呪うしかなくなってきた｡
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