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中盤の序盤
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2012/09/post_313.html#more
2012年9月 3日 田中良紹の「国会探検」
私の見立てで来年夏の参議院選挙までを一区切りとする大政局は、今月「中盤の序盤」を迎えた。8日までは通常国会が開かれており、重要法案が積み残されているというのに「中盤の序盤」はもはや民主、自民の党首選一色である。
これまでは激しい党首選を国民に見せる事が政党の宣伝となり、無風よりも政党の人気度を高めると見られてきた。しかし今度の党首選で国民に見えてくるのは、「決められる政治」とは「増税を決めるだけの政治」であり、それ以外は「何も決められない政治」が続くという現実である。
民自公の3党合意で消費税法は成立した。その時に3党は胸を張って「決められる政治が始まる」と宣言した。しかしその舌の根も乾かぬうちに「決められない政治」が再現する。赤字国債発行法案と選挙制度改革法案を巡って3党は対立したのである。
赤字国債発行法案は国民生活に直結する重要法案である。これが通らないと予算の執行ができなくなる。昔は「刑務所の飯が出なくなる」と言ったが、国家機能が麻痺して日本経済は打撃を受ける。
政治の責任としてそれだけは避けなければならない。昨年は無能の烙印を押された菅総理の退陣と引き換えに成立を図る事が出来た。しかし今年は自公が野田総理の退陣ではなく解散・総選挙を迫っている。その方が自分たちの党利に見合うからである。
ところが解散をして選挙をやれば憲法違反の国会議員が誕生する。最高裁は現在の「一票の格差」を憲法違反状態と判断してその解消を求めている。日本国民の政治的権利はないがしろにされていると司法は判断しているのである。
その解消を目指す選挙制度改革法案は、従って国民の権利に関わる重要法案で、これが通らないまま衆議院選挙を行うと、最高裁は選挙結果を無効とする可能性が高い。日本にかつてない政治空白が訪れ、それはまた国民生活に大きな影響を与える。
私に言わせれば「税と社会保障の一体改革」より喫緊の課題を置き去りにしたまま党首選が始まる。何が争点になるかと言えば、3党合意によって作られた与野党の協力体制と相違点を巡る競い合いである。
自民党総裁選挙では、消費増税法案に反対した候補者はいないから、3党合意と消費増税は争点にならない。候補者同士の競い合いは民主党との違いを見せつけるところになる。解散・総選挙が近いと思えば尚のこと外交・安全保障や経済政策を巡って民主党との違いを鮮明にする。
自民党の総裁候補は、民主党に協力するのは消費増税だけだと口々に言い募る。そして民主党との違いを強調する。しかし総裁に選ばれれば3党協力体制は継続して「税と社会保障の一体改革」だけはやり遂げると約束する。とにかく増税だけは決まるが、それ以外では民主党と対立する図式が国民に示される。
少し先の話まですれば、そうして選ばれた総裁の下で仮に自民党が衆議院選挙に勝ったとする。しかし現状は参議院で自民党が過半数に35議席足りない。公明党を加えても16議席足りない。民主党と対立すれば「ねじれ」で政権運営は行き詰まる。決められるのは増税だけとなる。
自民党政権が出来ても民主党と大連立しない限り何も決める事はできない。自民党が民主党と大連立する事になれば政策のすり合わせが必要になる。民主党は自民党に政策の変更を要求できる立場に立つ。すると民主党との違いを鮮明にして選挙に勝った自民党が民主党の政策に「増税以外では」屈する事になる。
一方の民主党代表選挙は小沢一郎氏の離党によって対立軸を失い活力を削がれた。世界各国とも熾烈な権力闘争を戦い抜いた者だけが国のリーダーになれる。アメリカも中国もロシアも政治家を鍛え上げるのは権力闘争である。しかし小沢氏のいない民主党では代表選挙が再び学級委員選びのレベルに戻る。
昨年の代表選挙では候補者に名乗りを上げた面々が小沢詣でを行い、小沢氏が誰を推すかに注目が集まり、そして「どじょう演説」の番狂わせがあった。我々はその裏で繰り広げられた権力闘争の臭いに注目をさせられた。しかし今や権力闘争の香りもない民主党代表選挙に興味を抱く気が起きない。
民主、自民の党首選挙と並行して大阪維新の会が国政参加の動きを強めている。民主、自民、みんなの党の現職国会議員と連携する他、地方自治体の首長や自民党の安倍元総理などとも接触を図っている。こちらは民自公3党合意や大連立路線と対立する政界再編路線を促す動きになる可能性がある。
メディアは安倍元総理との関係に最も関心を寄せているが、大阪維新の会の動きは安倍氏に自民党からの離党を促すもので、大げさに言えば自民党分裂を誘っている。安倍氏に離党する気はなく、むしろ大阪維新の会との関係をプラスに作用するとみて自民党総裁選に意欲を見せている。
しかしそのことは自民党最大派閥の町村派に分裂をもたらし、しかも民自公大連立路線にも水を差すことになるため自民党の分裂模様が国民に見えてくる。大阪維新の会と安倍氏との関係が自民党にプラスに作用するかマイナスに作用するかは「中盤の序盤」の見どころの一つになる。
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