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9月1日、橋下大阪市長率いる大阪維新の会が、「維新八策」最終案を発表した。
(http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC3103B_R30C12A8000000/?nbm=DGXNASFS3102X_R30C12A8MM8000)
これについて、以下に私見を述べたい。
先ず、前文というか能書きに謳われた、「個人の自由な選択と多様な価値観を認め合う社会を前提に、・自立する個人・自立する地域・自立する国家を実現すること」「国民全員に開かれた機会の平等を出発点として自助、共助、公助の範囲と役割を明確にすること、公助から既得権を排し真の弱者支援に徹すること、そして現役世代を活性化し、世代間の協力関係を再構築することが必要」「多様な価値観を認めれば認めるほど・決定でき、責任を負う民主主義・決定でき、責任を負う統治機構 を確立しなければ」には、反対する者は少ないだろう。
自立とナショナルミニマム(公助・共助)が簡潔にバランスよく、かつ構造的に記述されており、今後の日本の方向性として概ね妥当であり、具体策への演繹性があると言える。
◆本文について◆
次に本文を見てみると、数字と期限と優先順位が抜けており、かつ箇条書きで何やら情報整理術のKJ法の作業メモのようだが、予てから橋下氏が述べていたように、「詳細設計は官僚に任せ、民主党のマニフェストのように縛られず(実際には反故にしたが)に方向性だけを示し、ぼんやりとした民意を汲み取る」ためのツールと言う位置付けなのだろう。
次に各項目を見てみる。
各大項目の後に、異論や疑問点を記述した。
1.統治機構の作り直し〜決定でき、責任を負う統治の仕組みへ〜
【理念・実現のための大きな枠組み】・中央集権型国家から地方分権型国家へ/・難問を先送りせず決定できる統治機構/・自治体の自立・責任・切磋琢磨(せっさたくま)/・国の役割を絞り込み、人的物的資源を集中させ外交・安全保障・マクロ経済政策など国家機能を強化する/・内政は地方・都市の自立的経営に任せる/・国の仕事は国の財布で、地方の仕事は地方の財布で/・倒産のリスクを背負う自治体運営/・国と地方の融合型行政から分離型行政へ
【基本方針】・首相公選制(人気投票的になることを防ぐ方法を措置)/・現在の参議院廃止を視野に入れた衆議院優位の強化/・首相公選制とバランスのとれた議会制度/・国会の意思決定プロセスの抜本的見直し/・政府組織設置に関し、法律事項から政令事項へ/・道州制を見据え地方自治体の首長が議員を兼職する院を模索(国と地方の協議の場の昇華)/・条例の上書き権(憲法94条の改正)/・地方財政計画制度・地方交付税制度の廃止/・消費税の地方税化と地方間財政調整制度/・自治体破綻制度の創設/・都市間競争に対応できる多様な大都市制度=大阪都構想/・道州制が最終形
上記のうち、「・道州制を見据え地方自治体の首長が議員を兼職する院を模索(国と地方の協議の場の昇華)」は、道州と国の間の「遠心力」としての権限・財源の分与と共に、両者の「求心力」としての特に災害時に於ける連携体制構築のために、特に精密な設計が必要だろう。
また、「・消費税の地方税化と地方間財政調整制度」については、消費税の安定財源性は地方の基礎的生活行政にフィットする反面、地方間の競争促進のためには逆に法人・個人の所得課税の方がフィットする。
筆者は、基礎的社会保障をこれまで通り、国中心で受け持つのであれば、分配割合を変えるとしても消費税は現行通り国税主体(一部地方消費税あり)が適当と考える。
なお、橋下氏とブレーンの高橋洋一氏が当初、道州毎の消費税独自税率化を考えていたようだが、恐らくEU諸国間の輸出入のような事務処理が官民双方に発生し非現実的なため、今回記述から外したのは賢明であった。(地方毎の税率等の独自化は、既存の固定資産税、自法人・個人の所得課税、あるいは独自の新税で行うのが適当であろう。)
「・道州制が最終形」については、現在の「市町村−都道府県−国」の3階立て構造を「市町村−道州−国」の3階建て構造に変える際、道州の権限が強くなり過ぎると、形を変えたミニ中央集権と成りかねず、筆者は基礎自治体の市町村に財源と権限及び人材を多く落とす必要があると考える。
2.財政・行政・政治改革〜スリムで機動的な政府へ〜
【理念・実現のための大きな枠組み】・役人が普通のビジネス感覚で仕事ができる環境の実現/・簡素、効率的な国会制度、政府組織/・首相が年に100日は海外に行ける国会運営/・持続可能な小さな政府
【基本方針】・大阪府・市方式の徹底した行財政改革/・外郭団体、特別会計の徹底見直し/・無駄な公共事業の復活阻止/・密室の談合を排した行政プロセスの可視化/・行政のNPO化、バウチャー化→行政サービスの主体を切磋琢磨させる/・国会、政府組織の徹底したICT化/・プライマリーバランス黒字化の目標設定/・国民総背番号制の導入/・歳入庁の創設/・衆議院の議員数を240人に削減/・議員スタッフ機能の強化/・歳費その他の経費の3割削減/・企業・団体献金の禁止、政治資金規正法の抜本改革(全ての領収書を公開)/・政党交付金の3割削減/・地域政党を認める法制度
・ネットを利用した選挙活動の解禁
上記のうち、「・無駄な公共事業の復活阻止」は、その通りだが、当然ながら「無駄」を具体的にどう判断するかが鍵である。
従来のB/C分析(費用対便益分析)を深化させ、人命に関わる緊急性と建設時及び稼動時の経済効果・税収としてのリターンをカウントする仕組みと、計算主体の透明性が必要である。
3.官民を超えて活躍できる政策専門家へ〜
【理念・実現のための大きな枠組み】・公務員を身分から職業へ/・倒産のリスクがない以上、人材流動化制度の強化/・省益のためでなく国民全体のために働く行政組織
・厳しくとも公の仕事を望むなら公務員に
【基本方針】・大阪府・市の公務員制度改革(頑張ったものは報われる、能力、実績主義、職位に見合った給料)を国に広げる/・官民給与比較手法(総額比較)の抜本的改正、人事院制度の廃止/・地方公務員も含めた公務員の総人件費削減/・大阪府・市職員基本条例をさらに発展、法制化/・公務員の強固な身分保障の廃止/・内閣による人事権の一元化/・内閣による公務員採用の一元化。社会人中途採用を基本/・採用試験の抜本的見直し/・任期付を原則とする等官民の人材流動化を強化/・管理職の内外公募制/・大胆な政治任用制度(次官、局長級幹部の政治任用)/・年齢・在職年数によらない職務給制度/・任期付の場合には民間に劣らない給与・処遇/・若手時代は官庁間異動を原則/・公務員労働組合の選挙活動の総点検/・公務員の関係首長選挙活動の制限/・国家公務員制度に合わせて地方公務員制度も抜本的改革
上記のうち、「・官民給与比較手法(総額比較)の抜本的改正、人事院制度の廃止」については、公務員は全体の奉仕者なのだから、民間全体の単純平均に合わせるのが基本であろう。(民間に於ける正規・非正規間格差も、本来縮小されて行くべきものだから、公務員が先取りして民間の非正規を含めた平均に合わせる発想もあってよい。)
しかしながら、いわゆる「高級官僚」については、人材確保のため、例えばドイツでは法曹資格と共通資格としたり、米国では全員スポイルズ制による政権毎の総取替えとする等、各国それぞれに工夫がある。
日本でも、高級官僚については、人材確保と共に、逆に天下りや特殊法人乱造等の悪さ悪知恵を防止するため、ドイツや米国のようにするか、例えば早期退職時に一定の恩給を付けるとか何らかの措置が必要だろう。(「高級官僚」自らも声にし難いだろうが、彼らを一般公務員と差別化するのが、逆に公務員総人件費圧縮と既得権複合体を破壊する近道である。)
4.教育改革〜世界水準の教育復活へ〜
【理念・実現のための大きな枠組み】・自立する国家、自立する地域を担う自立する個人を育てる/・基礎学力を底上げしグローバル人材を育成/・格差を世代間で固定化させないために、世界最高水準の教育を限りなく無償で提供する/・あしき平等・画一主義から脱却し、理解ができない子どもには徹底的にサポートし、理解できる子どもはぐんぐん伸ばす、個人の能力を真に伸ばす教育ヘ/・教育行政機関主導から生徒・保護者主導へ
【基本方針】・文科省を頂点とするピラミッド型教育行政から地方分権型教育行政へ/・教育委員会制度の廃止(首長に権限と責任を持たせ、第三者機関で監視)、教育行政制度について自治体の選択制/・生徒・保護者による公公間、公私間学校選択の保障/・選択のための学校情報開示の徹底/・公立学校長の権限の拡大・強化、校長公募など、学校マネジメントの確立/・学校を、学長・校長を長とする普通の組織にする/・国立大学長の権限拡大・強化、大学マネジメントの確立/・世界標準の英語教育と海外留学支援、最先端を行くICT教育環境/・教育バウチャー(クーポン)制度の導入=教育機会を拡大するとともに教育機関の切磋琢磨を促す/・校長・教頭等の人材確保のための適正な給与、教諭の定期昇給は一定在職年数まで/・教員を雑務から解放し教育に専念させる/・教員は幅広い学部出身者と社会人から実力重視で採用/・障害者教育の充実/・大学入試改革を通じた教育改革/・高度人材養成機関としての大学院の質向上と選抜性強化/・大阪府・市の教育関連条例をさらに発展、法制化/・教職員労働組合の活動の総点検
上記の教育改革については、筆者は特に違和感はなく全面的に賛成である。
5.社会保障制度改革〜真の弱者支援に徹し持続可能な制度へ〜
【理念・実現のための大きな枠組み】・真の弱者を徹底的に支援/・自立する個人を増やすことにより支える側を増やす/・個人のチャレンジを促進し、切磋琢磨をサポートする社会保障/・若年層を含む現役世代を活性化させる社会保障/・負の所得税(努力に応じた所得)・ベーシックインカム(最低生活保障)的な考え方を導入=課税後所得の一定額を最低生活保障とみなす=この部分は新たな財源による給付ではない/・持続可能な制度/・世代間・世代内不公平の解消/・受益と負担の明確化/・供給サイドヘの税投入よりも受益サイドヘの直接の税投入を重視(社会保障のバウチャー化) /→供給サイドを切磋琢磨させ社会保障の充実を通じて新規事業・雇用を創出
【基本方針】・自助、共助、公助の役割分担を明確化/・社会保障給付費の合理化・効率化/・(給付費の効率化には限界があるので)高負担社会に備え積立方式を導入/・生活保護世帯と低所得世帯の不公平の是正/・(1)努力に応じた、(2)現物支給中心の、最低生活保障制度を創設/・所得と資産の合算で最低生活保障/・所得と資産のある個人への社会保障給付制限/・(受益と負担の関係を明らかにするため)提供サービスをフルコストで計算/・社会保険への過度な税投入を是正、保険料の減免で対応/
[年金]・年金一元化、賦課方式から積み立て方式(+過去債務清算)に長期的に移行/・年金清算事業団方式による過去債務整理/・高齢者はフローの所得と資産でまずは生活維持(自助)/・国民総背番号制で所得・資産(フロー・ストック)を完全把握
・歳入庁の創設/
[生活保護]・高齢者・障害者サポートと現役世代サポートの区分け/・現物支給中心の生活保護費/・支給基準の見直し/・現役世代は就労支援を含む自立支援策の実践の義務化/・有期制(一定期間で再審査)/・医療扶助の自己負担制の導入/・被保護者を担当する登録医制度/・受給認定は国の責任で/
[医療保険・介護保険]・医療保険の一元化/・公的保険の範囲を見直し混合診療を完全解禁/・高コスト体質、補助金依存体質の改善/・公的医療保険給付の重症患者への重点化(軽症患者の自己負担増)
上記のうち、「・負の所得税(努力に応じた所得)・ベーシックインカム(最低生活保障)的な考え方を導入=課税後所得の一定額を最低生活保障とみなす=この部分は新たな財源による給付ではない」については、前者の「負の所得税(努力に応じた所得)」を基本とすべきで、後者の「ベーシックインカム(最低生活保障)」は、労働モラルを守るため、消費税の逆進性緩和等の明確な目的以外では導入すべきではないだろう。
また、今後の日本社会の高齢化等を考えれば、「・公的医療保険給付の重症患者への重点化(軽症患者の自己負担増)」に加え、逆に高度医療については、タブーを乗り越え、施術後余命、施術後の尊厳性等の多面的基準を作り、保険対象から外す事も検討せねばなるまい。
6.経済政策・雇用政策・税制〜未来への希望の再構築〜
〜経済政策〜
【理念、基本方針】・実経済政策・金融政策(マクロ経済政策)・社会保障改革・財政再建策のパッケージ/・実経済政策は競争力強化/・国・自治体・都市の競争力強化
・競争力を重視する自由経済/・競争力強化のためのインフラ整備/・産業の淘汰を真正面から受け止める産業構造の転換/・グローバル化する知識経済に適応できる産業構造への転換/・自由貿易圏の拡大/・国民利益のために既得権益と闘う成長戦略(成長を阻害する要因を徹底して取り除く) /・イノベーション促進のための徹底した規制改革/・付加価値創出による内需連関/・供給サイドの競争力強化による質的向上=額(量)だけでなく質の需給ギャップも埋める/・新エネルギー政策を含めた成熟した先進国経済モデルの構築/・TPP参加、FTA拡大/・為替レートに左右されない産業構造/・貿易収支の黒字重視一辺倒から所得収支、サービス収支の黒字化重視戦略/・高付加価値製造業の国内拠点化/・先進国をリードする脱原発依存体制の構築/
〜雇用政策〜
【理念、基本方針】・民民、官民人材の流動化の強化徹底した就労支援と解雇規制の緩和を含む労働市場の流動化(衰退産業から成長産業への人材移動を支援)/・ニーズのない雇用を税で無理やり創出しない/・社会保障のバウチャー化を通じた新規事業・雇用の創出(再掲)/・国内サービス産業の拡大(=ボリュームゾーンの雇用拡大)/・正規雇用、非正規雇用の格差是正(=同一労働同一賃金の実現、非正規雇用の雇用保護、社会保障強化)/・新規学卒者一括採用と中途採用の区分撤廃の奨励/・グローバル人材の育成/・外国人人材、女性労働力(→保育政策の充実へ)の活用/・ワークライフバランスの実現
〜税制〜
【理念、基本方針】・簡素、公平、中立から簡素、公平、活力の税制へ/・少子高齢化に対応→フロー課税だけでなく資産課税も重視/・フローを制約しない税制(官がお金を集めて使うより民間でお金を回す仕組み)/・グローバル経済に対応/・成長のための税制、消費、投資を促す税制/・受益(総支出)と負担(総収入)のバランス/・負の所得税・ベーシックインカム的な考え方を導入(再掲)/・超簡素な税制=フラットタックス化/・所得課税、消費課税、資産課税のバランス
上記のうち、「・供給サイドの競争力強化による質的向上=額(量)だけでなく質の需給ギャップも埋める」が何を示すのか今一つ良く分からないが、需要の創造を伴わない供給サイドの強化は、輸出分を除けばデフレ促進策としかならない。
筆者は、橋下氏とブレーンである竹中平蔵氏にその視点が明確に在りやと懸念する。
また、「・TPP参加、FTA拡大」について、TPPは実質的に日米二国間協定であり、国力から言って双子の赤字と高失業率に喘ぐ米国に日本の市場がこじ開けられるだけに終わる可能性がある。
橋下氏のTPPへの前のめりの姿勢は、危うい。
TPPが謳う、いわゆる「非関税障壁」撤廃は、文化や社会構造に根差したものもあるため、時間を掛けて交渉すべきものであり、ISDS(投資家対国家の紛争解決)条項で一方の意向だけでいきなり国際機関に提訴・決着させるのは乱暴過ぎる。
また、基礎的食糧は特に有事の戦略物資であり、食糧安保の確保の観点から、国際的に「食糧自給権」の対象としてこれを定義し、自由貿易の枠外とすべきである。
とはいえ、筆者は基本的に自由貿易促進論者であり、上記について措置した上で関税原則撤廃を中心に、TPPという形でなくとも進めるべきだと考える。
TPPを進める米国の目的は2つある。
単純化すれば、米商務省・経済界は、当然ながら前述のように日本の市場開放が主目的であり、米国務省・国防総省系は、TPPを戦略的に中国包囲網として利用しようとしている。
このため、後者に働き掛けての条件交渉は十分可能と考える。
ただし、これは当然ながら現状とは一線を画し、政治・事務方の双方に人を得なければ叶わない。
また、「・少子高齢化に対応→フロー課税だけでなく資産課税も重視」については、かつて橋下氏は、相続税の100%化についても発言していたが、その考えを捨てたのかが懸念される。
言い難いが、「100%化」には橋下氏の厳しい環境で育った経験による金持ちへの怨嗟から出た発想を感じる。
強化する事も含めて適度な資産課税は必要だが、「100%化」は共産主義への逆コースに繋がり、国民の勤労意欲を削ぐだろう。
また、上記各項目からは「官」の役割が希薄だが、経済全体に於いては民間の自主性を基本とするも、先端的・有望だが規模や確実性の面で民間だけでは手を出し難い分野については、「官民折半・双方自己責任」の直接投資を行う等、世界的な「新重商主義」の時代に合わせ「官」が指導的役割を果たす必要があるだろう。
なお、橋下氏が初夏まで、あれほど強調していた脱原発については、「・新エネルギー政策を含めた成熟した先進国経済モデルの構築」と間接的な表現に留まったのは、恐らくは自民党の安倍晋三元総理との連携を考慮しての事であろうが、拍子抜けではある。
しかしながら、現時点では(全廃を含む)脱原発の利害得失が数字を持って議論され尽くされていないので、結果としては妥当であろう。
7.外交・防衛〜主権・平和・国益を守る万全の備えを〜
【理念、実現のための大きな枠組み】・世界の平和と繁栄に貢献する外交政策/・日本の主権と領土を自力で守る防衛力と政策の整備/・日米同盟を基軸とし、自由と民主主義を守る国々との連携を強化/・日本の生存に必要な資源を国際協調の下に確保
【基本方針】・日本全体で沖縄負担の軽減を図るさらなるロードマップの作成/・国連PKOなどの国際平和活動への参加を強化/・自由で開かれた経済ネットワークの構築
・豪、韓国との関係強化/・平等互恵と法の支配を前提とする、中国、ロシアとの戦略的互恵関係の強化/・ロシアとの間で北方領土交渉を推進/・ODAの継続的低下に歯止めをかけ、積極的な対外支援策に転換/・外交安全保障の長期戦略を研究、立案、討議するための外交安全保障会議の創設/・学術や文化交流の積極化と人材育成、外国研究体制の拡充/・外国人への土地売却規制その他安全保障上の視点からの外国人規制
上記のうち、「・豪、韓国との関係強化」「・平等互恵と法の支配を前提とする、中国、ロシアとの戦略的互恵関係の強化」を謳っているが、インド、ASEAN等との関係強化が欠落している。
また、実質上、中国の拡張主義とその能力が、今後の日本に於いて一番の脅威である。
中国をロシアと同列に記述しているが、もしその通りの外交をするなら下策である。
中国を牽制し、冒険を冒させず、国際社会の立派な住人となって貰うためにも、特にインド、ロシアとは同盟またはそれに準ずる関係を目指す必要があるだろう。
8.憲法改正〜決定できる統治機構の本格的再構築〜
・憲法改正発議要件(96条)を3分の2から2分の1に/・首相公選制(再掲)/・首相公選制と親和性のある議院制=参議院の廃止も視野に入れた抜本的改革・衆議院の優位性の強化(再掲)/・地方の条例制定権の自立(上書き権)(「基本法」の範囲内で条例制定)憲法94条の改正/・憲法9条を変えるか否かの国民投票
上記のうち、「・首相公選制(再掲)」、「・首相公選制と親和性のある議院制=参議院の廃止も視野に入れた抜本的改革・衆議院の優位性の強化(再掲)」とあるが、首相公選制を敷くのであれば、大幅にその制度・性格を改定しても、牽制のために参院は残すべきだろう。
また、一方で、イスラエルの首相公選制に導入於ける、首相公選と完全比例制に近い議会選出の組み合わせでの安定与党形成不可による失敗事例(1996年導入、2001年廃止)を鑑みれば、公選制導入のためには小選挙区制強化が要請されるだろう。
何れにしても、公選制導入に際しては、各国の制度の研究と問題点の整理に、相当な人材投入と期間が必要である。
以上、早春からこれまで何度も出てきたDRAFTに比べると、流石に「最終案」だけって相互矛盾も減りスッキリした印象であり、内容的にも上記のようなツッコミ所はあるが、筆者は全体としては概ね賛成だ。
しかし、冒頭で述べたように、「維新八策」には、数字と期限と優先順位が抜けており、もしこれを掲げた「橋下新党」が総選挙後に政権入りしキャスティングボードを握れば、縛られずに政策を進めるためには好都合だが、裏を返せば大袈裟に言えば橋下氏への「全権委任」に近いものにも成りかねない。
もし「全権委任」となった場合には、独裁者として一定の方向を持った恣意的な政策を行う恐れと、逆に場当たり的となり整合性のある政策を打ち出せない恐れ、更にその双方の合併症となるリスクがある。
本人も望むように、橋下氏と「橋下新党」には、総選挙前も総選挙後も論戦を仕掛けて行く必要があるだろう。
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