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以下はリベラル21(http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-2096.html)からの転載。
2012.08.31 要警戒! 橋下新党が選挙政策の前面に“領土問題“を押し出す危険性、「近いうち」の衆院解散・総選挙を考える(2)、(ハシズムの分析、その30)
〜関西から(73)〜
広原盛明 (都市計画・まちづくり研究者)
かって、こんなことを書いたことがある。橋下新党の「維新八策」が単なる思いつきの羅列で政策としての体系性がないのはなぜか。国政選挙に打って出ようとするのに選挙政策の目玉がつくれないのはなぜか。それは、地域政党として出てきた維新の会が「大阪府庁のWTC移転」「大阪都構想」「道頓堀にプール」といった地域レベルの政策を掲げている間はまだしも、国政政党へ背伸びしようとすると政策力が到底追いつかないからだと。
しかし、こんな橋下新党にも国政レベルの政策をアピールできるチャンスが過去2回あった。ひとつは“脱原発問題”、ひとつは“消費税増税問題”である。脱原発の方はかなり「いい線」まで行っていた。「大飯原発再稼働は許さない」、「関電の電力供給試算(電力不足見通し)は信用できない」、「エネルギー供給の地域独占体制は打破すべきだ」等々、橋下氏の威勢のいい発言は、関西地方はもとより全国的にも共感を呼んでいた。
ところがある日、「上辺だけのことを言っていても仕方がない」との理由にならない理由で態度を豹変させ、大飯原発再稼働を突如容認した。橋下新党の「化けの皮」が剥がれた瞬間だった。代わりに、東京では全国規模の「脱原発首相官邸前デモ」が起こって即座にその穴が埋められた。またこれほどの猛暑にもかかわらず、(原発稼働分を除いても)関電地域内での電力不足はその後発生していない。橋下新党はいまや脱原発エネルギー政策のイニシャティブを完全に失い、大阪府市エネルギー戦略会議(および特別顧問の面々)の存在意義もなくなったのだ。
次は、消費税増税問題への対応だ。こちらの方はいささか歯切れが悪く、「消費税増税の決め方に問題がある」と最初から逃げ腰だった。いわば「手続き論」にすり替えることで、手続きを踏めば「増税やむなし」とのサインを送っていたのである。しかし「このままでは持たない」と考えたのか、地方交付税は廃止にして消費税を代替財源にするとの政策を打ち出した。
ところが、この政策は「失笑の的」になっただけで鼻にもかけられなかった。地方交付税総額と消費税収入との差が13兆円にも上り、地方自治体は13兆円分の緊縮財政を強いられるか、それとも連続して消費税増税に踏み切るかという途方もない選択を迫られることが明らかになったからだ。大阪市にはキャリア官僚出身の特別顧問(ブレイン)が沢山いるはずだが、彼らは「この程度のアイデアしか出せないのか!」と、いまや足元の大阪府庁や市役所の役人たちからも馬鹿にされている。
こうした手詰まり状態を反映してか、最近、橋下氏が次期衆院選に向けた与野党国会議員との政策討論会を開き、それらを「維新八策」にも取り込みたいなどと言い始めた。例によって、マスメディアは維新の会にも柔軟な側面が出てきたとの見当外れの評価をしているが、実態は政策面で「八方ふさがり」の窮地に陥っているだけのことなのだ。
だが警戒すべきは、最近の“領土問題”をめぐる世論の変化だろう。北方領土・竹島・尖閣諸島などをめぐってロシア・韓国・中国などの外交攻勢が活発化し、それに対応できない野田政権に対して「日本は馬鹿にされている」「政府は弱腰だ」との国民感情に火が付き始めているからだ。機をみるに敏な橋下氏のことだから、この機を見逃すことはないだろう。脱原発と消費税増税で失った信用をこの際領土問題で取り返したいと考えるのがごく自然だからだ。
領土問題は国民のナショナリズムを掻き立てる最も有効な素材だ。すでに国民の対中国感情は最悪レベルに達しており、普通の家庭でも中国に対するイメージは極度に悪化している。これに韓流ブームに慣れ親しんだ人たちの感情が反転して合流するとなると、日本海を挟んだ3国関係の緊張感は一挙に高まることは間違いない。そして総選挙が「近いうち」に行われるとなると、橋下新党が領土問題を政策の前面に押し出して国民のナショナリズムを煽り、その波に乗ろうとすることは十分予想できる。
そうでなくても、もともと自民党右派議員を中核とする維新の会には偏狭なナショナリストが多く、「在特会」に勝るとも劣らない排外意識の持ち主がワンサといる。石原慎太郎知事への拝跪、「日の丸・君が代条例」の制定、「新しい歴史教科書をつくる会」との親密な関係、「自虐史観」を脱皮した近現代歴史館の構想、「慰安婦強制連行、確証ない」の発言、靖国派国会議員の頂点に立つ安倍元首相への急接近など、その濁流はますます勢いを増している。
とすれば、日本国領土を実効支配するためには自衛隊派遣が必要であり、実力(武力)行使をするには自衛隊法の整備や憲法改定が必要だなどと一連のナショナリズム政策を掲げて橋下新党が総選挙に打って出る可能性は十分考えられる。またその前段として、在特会などと協力して「領土を守れ!」といったヒトラーユーゲントばりの大規模な街頭デモを組織し、騒然とした世情を煽ると言った戦術もあり得るだろう。
いずれにしても、総選挙を直前にして発生した領土問題が橋下新党の「餌食」にならないように、平和を愛する国民にとっては“要警戒”レベルの対応が求められる。
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