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この国はすでにギリシャ化している この国は再生しない もっと落ちる
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2012/8/24 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
なぜ首相が民主党の野田佳彦で、都知事がモーロクの石原慎太郎なのか、生活苦なのになぜオリンピックのメダリストに50万人も群がるのか、退廃の世だ
一体どこが「決める政治」なのか。公約違反の大衆増税だけ決めて、あとはチンタラ遊んでいる国会を見ていると、本当にアタマにくる。
一体改革をやる、増税と社会保障改革はセットだと叫んでいたのに、増税以外は何も進まない。いや、やる気もない。約束していた議員の報酬カットや公務員削減もほったらかしである。それじゃあ、せめて「近いうちに」国会を解散して国民に信を問うのかというと、それも「議員定数是正が」「公債特例法が」と理由をつけて、ウヤムヤである。そもそも一緒になって大増税を強行した自民党が一転、「問責決議だ」と騒ぐ茶番は何なのか。
生活苦にあえぐ庶民だけに借金のツケを押し付け、野田政権も自民党もだれもまじめに政治をやる気がない。大新聞もいい加減で、「決める政治」をホメていたはずが、また政局屋報道をやっている。こういう堕落した政治光景を見ていると、この国はすでにギリシャ化していると思わざるを得ないのだ。
野田内閣は財務省や大マスコミと一緒になって、「このままだと日本は財政危機に陥って、ギリシャの二の舞いになる。国債も暴落する」と脅かし続けてきた。そうやって国民を騙して反対論を封じてきたが、大増税法案が通ろうと通るまいと、すでにこの国は国家破綻のギリシャと変わらない状態なのだ。
◆ギリシャの役人天国を笑えるか
8年前には首都アテネでオリンピックまでやったギリシャは、なぜ一気に破綻国家になったのか。役人が多すぎる、働かない、財政赤字のデータを粉飾していた……と言われているが、原因を突き詰めれば、役人や政治家のいい加減さだ。
毎日新聞のローマ特派員である藤原章生氏の「ギリシャ危機の真実」は、そこをうまくまとめている。このリポートによると、ギリシャでは雇用者の3人に1人が公務員で、その人件費は6年で倍になった。なぜ、そこまでベラボーかというと、選挙の票目当て、政権維持狙いである。政治家は身内、知り合い、支持者をみんな役人で採用し、選挙のたびに新しい省庁、外郭団体をこしらえる。以前からいる役人も解雇しないから、人余りで、同じ局長ポストに2人いたり、教師の肩書なのに仕事は政治事務所職員なんてケースが当たり前だ。政治家や政権は公費で人を雇い、その票で生き延びる。そういう仕組みになっているのがギリシャだった。そこに、リーマン・ショックと大企業救済、増税不況による税収減が重なって、財政がスッカラカンになったのである。政治家のデタラメと役人天国が続けば、国家は破綻するしかない見本だが、これは日本だって同じだ。
政治学者の福岡政行氏は、「財務省の『日本の財政を考える』の資料によれば、2011年、公務員の人件費は35兆円である。独立行政法人や公益法人の人件費も加えれば、37兆〜38兆円になる。これは国と地方の全税収の半分になる」と、ゾッとする実態を指摘している。大マスコミは、国民の社会保障が年々1兆円ずつ増える、予算の半分が国債費依存だと、そんなことばかり強調して役人天国は伝えないが、とてもギリシャを笑えない。これだけシャブられたら、国の台所が回らず、借金が1000兆円に膨らむのも当然である。
◆日本だって票集めに税金が浪費されてきた
ギリシャとの類似点について、筑波大名誉教授の小林弥六氏もこう言う。
「日本の財政が悪化した原因は、ひとつは、無駄な公共事業に税金を浪費してきたことです。政治家はそれを利権にし、仕事をもらう業者は政治家のために、票集めをする。自民党はこの構造の中で長期政権を築いてきた。今、野田民主党政権まで公共事業拡大に走り始めています。発想は全然変わっていないのです。もうひとつは、シロアリ官僚です。好き勝手に天下り先の外郭団体をこしらえ、そこに予算をプールして、懐を肥やす。いくら財政が厳しくなっても天下り禁止に手をつけない。彼らは、財政が悪化したのは社会福祉が拡大したからだと国民のせいにし、それで増税を押し付けていますが、財政悪化の元凶は、政治家であり、役人なのです」
はるか昔から、この国はギリシャ化の道を歩んでいた。財務官僚が、ノーパンしゃぶしゃぶで遊んでいた頃から、こうなることは見えていたのだ。
「私は、国の借金が増えてもいいと思う。それが経済拡大につながり、法人税や所得税の税収が増えるのであれば、何の問題もない。しかし、政治家も役人も借金だけ増やすが、経済拡大の方策を考えない。国債を発行して不況対策をやるにしても、プラス効果が出るまで徹底的に対策を続けるいう大局観がない。ちょっとやってはやめだから、元の木阿弥になる。お役人を使いこなせない政治家に一番の問題があると思っています」
元経済企画庁の審議官だった宍戸駿太郎氏はこう嘆いた。
◆デマ記事で国民を騙し続ける"共犯者"大新聞
ところが、ここに至っても日本の政治家や役人は、ギリシャのマネをして恥じない。ギリシャは、06年に消費税を19%に、10年に21%、11年に23%にまで引き上げ、財政危機を食い止めようとした。しかし、逆に税収減とマイナス成長を招き、破綻寸前に陥っているのだが、同じ道を日本も追随だから、本当のアホと言うしかないのだ。
経済アナリストの菊池英博氏がこう呆れる。
「ギリシャは、財政赤字を少なく公表していたことがバレて、今回の危機を招いている。しかし、日本だって逆の意味で同じことをやっているのです。財務省と野田内閣は、日本の財政赤字が1000兆円近いことだけ強調している。でも本当は金融資産が500兆円近くあるから、実際の借金は半分なのです。大げさにウソを言って、増税で庶民の所得を強奪し、デフレ不況を悪化させる。ギリシャも日本の政府も、ウソをついて国家を破綻させるという点で何も変わらないのです」
「ギリシャの二の舞いになるゾ」ではなく、自分からギリシャ化の道を突き進んでいる日本のデタラメ政治。共犯者の大新聞は、デマ記事で国民を騙し続けるから、多くの国民に危機感はない。野田のような疫病神首相を続けさせ、モウロク知事の石原慎太郎が音頭をとる五輪メダリストのパレードには、50万人もが群がって喜んでいる。世も末だ。
この国はデフレ不況の長期化で、底辺が年々崩れ、生活保護が200万人を超えてしまった。だが、そういった社会保障も予算でカバーできず、増税で賄えという国になってしまった。三流国だ。それなのに、遊んでいる政治と役人に怒らない国民。これじゃあ、この国はどこまで没落するか、分かったものじゃない。
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