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尖閣諸島魚釣島に、香港からの中国人が上陸し不法入国の現行犯として逮捕された。尖閣以外にも、10日に李明博韓国大統領が竹島に上陸し、1時間半ほど滞在した。7月5日にはロシアのメドベージェフ首相が、北方領土・国後島に行った。このように日本を取り囲む周辺3ヶ国との間に、日本は領土問題を抱えている。この状況について、孫崎亨著「戦後史の正体」には、次のように書かれている。(以下引用)
日本と周辺国の関係を見ても、ロシアとは北方領土、韓国とは竹島、中国とは尖閣諸島と、みごとなくらいどの国とも解決困難な問題がのこされていますが、これは偶然ではないのです。どんな国にも国境をめぐる対立や紛争はあります。しかし、日本ほど、その解決に向けて政府が動けない国はありません。それは米国に意図的にしくまれている面があるからです。(引用終り)
おそらく多くの日本人は「米国が意図的」になどと書くと、「信じられない」と言うだろう。だが、孫崎氏は、これは国際政治の世界では常識だという。英国は植民地から撤退するとき、インドとパキスタンとの間にカシミール紛争という火種を残した。これと同じだとして、孫崎氏は、米国の歴史学者・アリゾナ大教授マイケル・シャラー著の「日米関係とは何だったのか」から米国の意図を紹介している。(以下引用)
千島列島に対するソ連の主張に異議をとなえることで、米国政府は日本とソ連の対立をかきたてようとした。実際、すでに1947年にケナンとそのスタッフは領土問題を呼び起こすことの利点について論議している。うまくいけば、北方領土についての争いが何年間も日ソ関係を険悪なものにするかもしれないと彼らは考えた。(引用終り)これは北方領土に関してだが、尖閣諸島についても、沖縄返還時の佐藤・ニクソン会談後に米国が態度を豹変させている。以下「戦後史の正体」よりの引用である。
一方、その後のニクソン大統領の佐藤栄作への報復は継続します。そのひとつが尖閣諸島に対する米国の態度です。シャラーは次のように書いています。「ニクソンの訪中のあと、尖閣諸島について(米国)国務省は日本の主張に対する支持を修正し、あいまいな態度をとるようになった。佐藤の推測によれば、ニクソンと毛沢東のあいだでなにかが話しあわれたことを示すものだった」。(引用終り)
今回の尖閣問題で、米国務省のヌランド報道官は15日の記者会見で、不法上陸した事件について「圧力や押し付けがましさは問題の解決に有益ではない」と述べ、挑発的な行動への(日本の)自制を促した。一方で、米国は尖閣諸島の領有権に関して日中どちらかの主張を後押しすることはないと、従来と同じく強調した。(ワシントン発産経)米国は中国軍が尖閣諸島に上陸しても、竹島同様、我関せずということだ。
その竹島は、1952年1月に、李承晩韓国大統領が、韓国付近の公海に一方的な軍事境界線(=李承晩ライン)を引き、その中に取り込まれた。それに先立つ51年7月、韓国政府はサンフランシスコ講和条約草案を起草中の米国政府に対し、竹島を韓国領とすることを要請したのだが、同年8月に他の要請と共に、米国政府から拒否された経緯がある。米国の認識は日本領土であったのだが、今では知らぬ顔である。
領土問題の根源には、サンフランシスコ講和条約や沖縄返還に絡んで、日本の領土が米国によって意図的に紛争のタネになるよう仕組まれていたということだ。当時は、些細な事柄の為に、講和条約や沖縄返還が遅れたり、破棄させられたりしてはならないとの判断が優先した。まさか後日に、深刻な領土問題に変じるとは考えもしなかったのだろう。島国日本の常識と、国際政治の常識との違いが生んだものである。
過去の歴史を知るだけではなく、学ぶことが如何に大事かである。戦後史を学ぶと、多くの問題の根源に、サンフランシスコ講和条約にあることが分る。東西冷戦と朝鮮戦争の最中での講和条約であった。日本にとって決して満足できる内容ではなかったが、日本が米国に毅然とした態度で臨めば、それなりに日本の国益を守れた。だが、孫崎流史観で言えば、対米追従外交路線が常に日本の立場を弱めてきた。
そう見ると、不法入国者の強制送還を批判する自民党は、何様のつもりなのだと言いたい。野田内閣の外交に得点を与えるような実績は全くないが、領土問題について、ほとんど何もしなかった自民党の罪はそれ以上に大きいのではないか。国民が知恵を出し、対米自主路線での超党派外交に取り組まないと、国益を失うことになる。
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