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http://www.asahi.com/paper/editorial20120807.html
社会保障と税の一体改革の行方に、暗雲が垂れこめてきた。
自民党の谷垣総裁が野田首相に対し、関連法案成立後の衆院解散を、参院での採決前に確約するよう迫っている。
応じなければ、7日にも衆院に内閣不信任決議案、参院に首相の問責決議案を出すという。
不信任案はいまのところ可決の可能性は低いが、問責決議案が提出されれば可決される公算が大きい。そうなれば民主、自民、公明の3党合意は空中分解し、法案成立は難しくなる。
だが、ここで改革を頓挫させることは許されない。将来世代に負担をつけ回しする政治を続けるわけにはいかないからだ。
民主、自民両党は互いに譲るべきは譲りあい、法案成立を最優先にすべきである。
まず理不尽なのは自民党の姿勢だ。
「民主党が公約にない消費増税をやれば、国民に信を問うのが筋だ」。谷垣氏ら自民党執行部の指摘には、一定の理があると私たちも思う。
だとしても、いま解散を約束しなければ法案が潰れてもいいということにはなるまい。
衆院議員の任期満了まであと1年。いずれにせよ総選挙はそんなに先の話ではない。
自民党は2年前の参院選で10%への消費増税を公約した。3党合意は、それに基づいての決断だったはずだ。
これを実らせてからの解散・総選挙ではなぜだめなのか。
野田内閣の支持率が低迷している間に総選挙をやれば、自民党に有利だ。9月の党総裁選前に解散を勝ち取らなければ谷垣総裁の続投は難しい。
自民党内ではそんな声が聞こえる。
もしそれで解散を迫っているのなら、まさに党利党略、私利私略ではないか。
公明党が自民党の姿勢に「説得力がない」と自制を求めているのは当然のことだ。
民主党の言動も不可解だ。
党執行部は、一体改革法案の参院採決より前に、赤字国債発行法案や衆院の「一票の格差」是正法案を衆院通過させるべきだと主張してきた。
きのうになってやっと一体改革法案の先行処理を受け入れたが、参院採決でさらなる離党者が出るのを恐れて先送りを図っていたとしたら、これもまた党利党略というほかない。
私たちは、一体改革をめぐる3党合意を「決められる政治」への第一歩に、と期待した。
首相と谷垣氏は党首会談も含めあらゆる手立てを尽くし、すみやかに事態を打開すべきだ。
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