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ロンドン五輪の開会式では、英国の歴史・文化を彩る出来事や人物が次々と登場した。ひときわ異彩を放った場面がある。
青い光のなか、320の病院ベッドが並び、患者役の子どもと看護師600人が踊る。浮かび上がったのは「NHS」という文字だった。
「国民保健サービス」の略称だ。英国に住む人なら原則、だれでも無料で医療を受けられる制度のことである。1948年に創設され、「ゆりかごから墓場まで」の言葉を生んだ。
式の総合演出は、映画「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー賞を受賞したダニー・ボイル監督。「誰でも平等に医療が受けられることは、英国社会の核となる価値」と語る。
税金で賄われるNHSは、長らく予算不足の危機にさらされてきた。病院のベッドや人員が不足し、手術を受けるのに何カ月も待つ事態が発生した。
変化が起きたのは90年代後半だ。労働党のブレア政権が医療の具体的な目標を設定し、予算を毎年7%以上増やした。
その流れは、増税と歳出削減に取り組む保守党のキャメロン政権下でも変わらず、NHSは予算が増える数少ない分野となっている。
日本の医療も「国民皆保険」が達成されて50年が過ぎた。
もし東京で五輪があったとして、医療保険を祝う開会式など考えつくだろうか。
社会保障と税の一体改革をめぐる関連法案が現在、参議院で審議されている。しかし、与野党から「増税先行」との批判が絶えない。
5%幅の消費増税のうち、社会保障の充実にあてられるのは1%分だけで、4%分は財政赤字の縮小に使われる。そのことへの不満がつよい。
だが、年間35兆円の医療給付費は社会保険料だけでは賄えず、国庫から約10兆円が入っている。このうち4割は借金である。自分たちが受けている医療の対価を払い切れず、将来世代にツケ回ししている計算だ。
私たちは「保険証1枚で、どこの病院でも診てもらえる」という今の制度に慣れてしまい、空気のようにその存在の大切さを忘れてはいないだろうか。
医療サービスの維持には、大変なお金がかかる。英国の制度は日本と違いはあるが、今の世代が負担を受け入れていることは覚えておくべきだ。
私たちだけでなく、未来を生きる世代のためにも、財源不足で「空気」を薄くするようなことはしまい。その決意がいま、問われている。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1
(引用ここまで)。
朝日新聞さんは、相変わらず消費税増税推進派です。
消費税法案が通ったら、次は三度(みたび)TPP推進記事です。
こんな新聞をリベラルと言う人がいる。
というより、多くの人がそう言っている。
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