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小沢一郎 “乾坤一擲の大勝負” 完全に政局の波動、野田内閣の崩壊近し!
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2012年08月03日 世相を斬る あいば達也
それにしても凄い。8月1日、小沢一郎の「国民の生活が第一」が党本部において事務所開きを行ったのだが、それが野田内閣倒閣の“号砲”であったかの如く、財務党野田佳彦に向かって、あらゆる政治勢力が満を持して動き出した。野党3党(共産、社民、みんな)幹事長書記局長会談を持ち、今国会での消費増税関連法案の成立を阻止。参院での法案採決前に衆院に内閣不信任決議案を提出すべきで一致した。正式の呼びかけがあれば、“生活・きづな”も同調するものと見られ、不信任決議案が衆議院に提出される可能性は強まった。筆者の予感より、1カ月以上の前倒しだ。
これに対し、野田官邸は動きがとまっている。動きたいのだが、動くべき政治権力闘争の術を知らない。彼らの唯一の政治的拠り所は“民主党衆議院議員の数”である。ところがこの唯一無二の政権維持源泉が極めて怪しくなってきている。なにせ野田衆議院民主には、党内完全野党が20人、準野党が30人はいるわけで、この半分が不信任に賛成又は棄権に回れば、唯一の拠り所、衆議院の数は脆くも崩れるのである。早速2日夜、鳩山由紀夫がコアメンバー10人と会談。野党側の内閣不信任案提出時の対応について意見交換を行っている。
それに対して、中途半端な動きをしているのが、谷垣自民党だ。参院で審議中の社会保障と税の一体改革関連法案の採決について、要求している8日に行われない場合は参議院への問責決議案を出そうかな?等と悠長なことを言っているが、谷垣はまったく本気で考えてはいない。ところが、事態は急変している。おそらく小泉の倅が“3党合意を破棄すべし!”と申し入れに行ったようだが、オヤジ・小泉純一郎の差し金だろう。小泉純一郎は政局に関して、博徒的臭覚があり、小沢の政治権力闘争の仕掛けに気づいた可能性があるのだ。
谷垣と云う政治感ゼロ男は“気持は、小泉君らと同じだ”等と言い、でも財務省が怖いので、そうも行かないムニャムニャと云う体たらくなだけである。いずれにしても“解散総選挙”は避けて通る手立てはないわけで、消費増税賛成のまま、選挙戦に突入した場合、民主のボロ負けは確実だが、第三勢力の台頭如何では、現状維持が精一杯という可能性がある。小泉純一郎はそこを読んだのだろう。この儘、3党合意で消費増税が選挙戦で際立てば、法案成立後に“不信任案提出”等と云う、小沢ではないが政権の常道ではあり得ない、理解不能な行動に出ざるを得なくなり、現状維持さえも危うくなる。
ここが小沢一郎の目のつけどころだったのだろう。3党合意で消費増税には賛成したが、野田内閣は不信任だ。まったく理解の埒外にある。これほど国民生活に直結する生活上の死活問題を、権力を弄ぶ如き所業を有権者が許すわけがないのだ。「庶民の敵、民主・自民・公明」が選挙戦の合言葉になることは必定と小沢は読んだのだろう。おそらく小泉もそのように読んだ。故に、倅の口を通じて、谷垣に3党合意を破棄してしまえと、警鐘を鳴らしたのだろう。
今回の大政局を仕切る主役が誰か。この事は、今後の政治権力の行方に非常に影響を及ぼす。この儘だと、民主党は蚊帳の外だが、自公連合も主役にはなれない。小沢一郎が主役になってしまう。8日までに法案採決しないのなら、問責出しちゃう等と云う子供染みた政局遊びは、まったく意味をなさない。仮に倒閣が本気であるなら、内閣不信任案提出以外ないのである。故に、小泉(オヤジ)は政治上の筋を通すために“3党合意破棄”をアドバイスしたわけだ。
ところが、そのような政治上筋の通らない政党であることを、選挙戦の攻め道具として駆使しようと考えている小沢一郎の動きは機敏だ。直に見聞したわけではないが、7月の上旬に行われた小沢と社民党の又市征治副党首との会談の席上、この話題が出たに違いない。又市が共産党に繋げ、みんなの党側にも、社民党仲介で話が通じた可能性もあるし、小沢側からの直の連携かもしれない。橋下維新の会が1日に国政への参加表明にも、何ならかの意味合いがあるのかもしれないが、この辺は定かではない。
それでは、“生活・きづな・共産・社民・みんなの”によって衆議院に提出される“野田内閣不信任案”に対する自民党、公明党の対応は如何なるものになるのか。今回の不信任案は消費増税法案が参議院を通過する前に出すことを前提としているので、来週早々にも提出される可能性がある。谷垣は不信任案に消極的姿勢を示しているが、あくまで財務省への義理立ての判断であり、己の地位まで捨てて、野田や勝栄二郎につき合うつもりはないだろう。少なくとも、小沢らによって法案が阻止されたと云う形が整えば、不信任への賛成もやぶさかではないはずである。或る意味で、渡りに船と思うだろう、そこを読んだのが小沢の小沢たる所以である。
谷垣が不信任案を出さない理由は「出して通らないかったら、野田内閣を信任した事になるから」と云うもので、不信任案成立確実となったにも拘らず、まさか消費増税法案成立後が3党合意だからといって、まさか、野田内閣の不信任決議案に反対票を投じると云う事は、政治的に無理なのである。そもそも、公明党支持母体は増税に反対なわけで、歓ぶべき事態と考えているだろう。共産党の市田書記局長の言ではないが、「まさか自民、公明両党が野田内閣を信任することはないだろう」と言っているが、政治権力の選択肢として、野田内閣信任はあり得ない。
理論上は民主党内から15人の衆議院議員が不信任に賛成すれば、万事窮す(休す)。小沢・鳩山の連携は密で、この15人以上は余程の工作がなされても動かし難い数であり、不信任成立はほぼ確実と云う事だ。この場合、民主党内がどのようになるかと云う問題なのだが、再びクーデターが起きるのかもしれないし、鳩山ら不信任賛成議員が参議院議員も引き連れ離党するのか、そこまでは今夜は考えが至らない。まぁ政治の一寸先は闇と云うだけに、理論上不信任案成立間違いなしと読んではいるが、何せ自分達の生死が掛かる官僚ども、策謀家仙谷らが、クーデターのクーデターなんて行動に出ないとも限らず、予断は許さない。簡単に野田総辞職なんてこともあり得るかもしれない。
それにしても、本当に小沢一郎は凄い。おそらく、此処までの政局を仕掛けたのは小沢一郎だろうし、これっぽっちも民主主義に反することもせず、数的不利も、数的優位に覆してしまう、政治権力闘争の炯眼には感服のひと言だ。不正義の検察や裁判所との闘いでは、必ずしも丁々発止とは行かなかったが、「政治権力闘争なら、誰にも負けない」そんな気概を感じてしまうのは、筆者だけではないだろう。それでは、国民の為の朗報を、近々耳に出来ることを愉しみに。では、オヤスミナサイ!
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