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2012年7月31日 (火)
財政赤字拡大を「構造的」とする安住財務相の誤り
民主党の鳩山由紀夫元首相と新党「国民の生活が第一」の小沢一郎代表が7月29日に仙台市で開かれた新党きづなの斎藤恭紀政調会長のパーティーにそろって出席し、野田政権が強引に進めている消費増税を批判した。
鳩山元首相は消費増税について、
「国民の暮らしを考えればとても理解できない。野田政権が前のめりになるのは心配でならない」
と述べた。
小沢代表は、
「国民との約束をほごにして強権的に実施しようとしている」
と批判した。
両者の協調行動は、次期総選挙における基本争点についての見解を示したもので、最終的に両者が共同歩調を示すことを示唆している。
次期総選挙における最重要争点は、消費税、原発、TPPである。
いずれも、日本の命運を左右する問題であり、同時に国論を二分する問題である。
安住淳財務相は、「消費増税法案には衆議院議員の75%が賛成した。国会議員は民意を受けた存在であり、消費増税法案の可決は民意を反映したものだ」との趣旨の発言を示した。
しかし、主権者である国民は安住氏の発言を正当なものだと評価していない。
衆院の75%の議員が賛成したが、これらの議員のなかの多数が、主権者国民との契約、約束を反故にして法案に賛成したからだ。
主権者国民は、これらの議員の行動を正当なものだと評価していない。
この重要点を明らかにするために、これらの議員を次の選挙で落選させなければならないと考えている。
議会制民主主義が正しく機能するには、以下のプロセスが厳しく守られることが不可欠だ。
1.政党は選挙に際して、責任ある政権公約を明示する。
2.主権者国民は政権公約=マニフェストを吟味して、政権政党を選択する。
3.政権を委ねられた政党は、責任をもって主権者との約束=契約を順守する。
このプロセスが守られて初めて、議会制民主主義は機能することになる。
このプロセスを重視し、議会制民主主義を正しく機能させようとして提唱されたのが「マニフェスト選挙」である。
この「マニフェスト選挙」を主導したメディア、21世紀臨調は、この点を踏まえた行動を示すべきだが、野田政権がこれらのプロセスを踏みにじる行動を示しているのに、これを正そうとしない。
また、安住淳氏は日本の国家財政の財源の半分を国債発行に依存しているのは異常であり、この「構造的」な問題に対処することが必要だと主張した。
この認識の下で消費増税が推進されているのだと思われるが、極めて重大な誤りが含まれている。
日本の一般会計の財政赤字=国債発行額は2007年度25.4兆円だった。これが、その後一気に倍増した。
倍増した理由は、サブプライム金融危機に端を発する世界不況が襲来したことにある。
グリーンスパンFRB前議長は、これを「100年に一度の金融津波」と表現した。
日本では麻生内閣が超巨大景気対策を発動したが、それでも景気後退を回避できなかった。
このために日本の財政赤字が急拡大した。
つまり、日本の財政赤字は「構造的」要因で拡大したのではなく、「循環的」要因で拡大したのだ。「循環的」の意味は、景気の好調、不調によっ
て財政収支が変動することを指す。
2007年度の国債発行額は25.4兆円だったが、他方で、歳出に14.4兆円の債務償還費が含まれていた。国債を25.4兆円発行したが、国債を14.4兆円返済したことになる。
つまり、2007年度の実質的な財政赤字は11兆円に過ぎなかった。
日本のGDP比2%強であり、2007年度には日本の財政収支は「健全」の領域にまで改善していたのである。
この財政収支が、世界的な大不況襲来で急激に拡大した。「構造的」要因で拡大したのではなく、「循環的」要因で拡大したのだ。
「循環的」要因で拡大した財政赤字を縮小させるためには、「循環的」要因を取り除くことが必要だ。
つまり、景気を回復させ、「循環的赤字」を縮小させることが優先課題なのである。
「循環的赤字」を解消しても残存する財政赤字が「構造赤字」であり、増税などの「構造改革策」で対応するべき対象は、この「構造赤字」なのだ。
いま、巨大増税を実施して日本経済を著しく悪化させれば、「循環的赤字」はさらに拡大する可能性が高い。不況下での緊縮財政が財政赤字を拡大させてきた歴史的事実を正しく踏まえる必要がある。
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