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「19兆円復興予算をネコババした『泥棒シロアリ役人の悪行』 福場ひとみ氏(ジャーナリスト)とポスト取材班」
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11315411375.html
週刊ポスト2012/08/10号 :平和ボケの産物の大友涼介です。
霞が関合同庁舎改修に12億円、大船渡税務署が建て直せないのに東京・荒川税務署ほか5億円、北海道・沖縄の道路建設に100億円、791人分の人件費に131億円、さらには」ディズニーランド割引、公務員年金、そして「原子力研究費」まで・・・「霞が関復興」に復興予算が消えていく。
震災復興に際し、「絆」という言葉が広まった。だが、未曾有の大災害から立ち上がろうとする国民の団結を断ち切ったのは、それを束ねるはずの政府と官僚だった。復興予算をシロアリ官僚たちが掠め取っている実態を徹底取材によって白日の下に晒す。
◆復興予算は被災地に回らない
東日本大震災からすでに500日以上が過ぎたが、被災地の復興ははるか遠い。
三陸沿岸には、津波で流された住宅の土台が無残な姿を晒し、瓦礫がうず高く積まれたままの集落が多く残っている。瓦礫の処理はまだ2割に過ぎない。
被災者の生活再建も進まない。岩手、宮城、福島3県の仮設住宅には約27万人が暮らしているが、これまでに着工した復興住宅はわずか229戸。計画の1・1%だ。高台への集団移転も希望している2万3300戸も実現にはほど遠い。
東北復興が進まないのには理由がある。被災者のための震災復興予算が、役人たちに掠め取られているのだ。東京・霞が関の中央官庁の建て替えや地方大学の図書館改修といった被災地以外のハコ物・土木工事から、役人の年金やディズニーランド割引券まで、とんでもないところに湯水のように使われている。
復興予算は海の向こうにも消えている。南氷洋での調査捕鯨に反対するシーシェパードの攻撃から捕鯨船を守るための護衛費用に約5億円。これがなぜ、震災復興事業なのか。
「被災地の石巻の人たちは捕鯨復活を望んでいる」
さすがは水産庁だけに我田引水がお得意のようだ。被災地の人々が今最も望んでいるのは、一刻も早い生活再建のはずなのだが。
本誌取材班は被災地のために使われない復興予算の実態を追跡した。カネが具体的にどこに消えているのかの詳細は後述するが、その前に思い出していただきたい。
1年半前、大震災と津波の惨劇を目の当たりにした国民は、「東北を必ず復興させる」と誓い合った。
政府は震災復興のため、昨年度は3次にわたって約15兆円もの復興補正予算を組み、今年度分と合わせて総額19兆円(当面5年分)の震災復興予算を東北に集中的に投下することを決めた。その財源を賄うために来年1月から25年間にわたる所得税引き上げと10年間の住民税引き上げ(14年6月実施)という、異例の長期間の臨時増税が実施される。「復興財源の足しにする」ために子ども手当制度の廃止(減額)、高速道路無料化実験の廃止、国家公務員の人件費削減などが決まったことは記憶に新しい。
それでも、国民は「欲しがりません復興までは」と負担増に堪える覚悟をした。
ところが、現実には復興予算の多くが被災地には届いていない。国の予算は制約ばかりで被災地が本当に必要としている事業には、使えない仕組みになっているからだ。地元自治体は津波で水没した地域の地盤かさ上げや流された公共施設の建て替え、小中学校の耐震工事、避難所までの道路整備の予算を要求したが、「施設の耐震化などは別の予算がある。復興と関係の薄い事業に配分したら納税者の理解が得られない」(復興庁幹部)と審査を厳しくして、大半は却下された。
苦労して予算を貰うことができても、復興にはつながらない。
震災被害が大きかった気仙沼市や南三陸町などがある宮城6区選出の小野寺五典衆院議員(自民党)が語る。
「被災地の自治体は壊滅状態だから税収もない。そこで復興に自由に使えるという触れ込みの復興交付金が創設されたが、使途が40事業に限定され、土地のかさ上げすらできない。気仙沼では水産庁の復興事業で漁港周辺の地盤を高くしたが、そこに以前あった商店を建てるのはダメだといわれた。これでは町の復興には使えません」
その結果、昨年度の復興予算約15兆円のうち、4割に相当する約6兆円が使われずに余った。自治体への復興交付金も8割以上が残り、前述の被災者向け復興住宅の整備予算に至っては1116億円のうちわずか4億円しか使われていない。
総額19兆円を注ぎ込む復興は、絵に描いた餅だった。
大新聞・テレビはそうした復興予算の使い残しの原因は自治体の職員不足や縦割り行政の弊害だと報じているが、真実を見ていない。
霞が関の役人は、わざと復興のカネを被災地の自治体には使えないように制限している。その証拠に、余った復興予算のうち「不要額」とされた約1兆円は、今年度から新設された「東日本大震災復興特別会計(復興特会)」に繰り入れられ、各省庁に分配される。この復興特会の使途を見ると、復興とは名ばかりで、国民・被災者が知らないところで役人の掴みガネとなっていた。不要とされたカネが、シロアリ官僚の餌に化けたのだ。
では、役人のネコババの実態を見ていこう。
◆普通の道路も「防災になる」
シロアリ官僚たちがまず目をつけたのが、官僚利権の王道である「ハコ物建設」だった。
復興特会には「全国防災対策費」という名目がある。「東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災等のための施策」に該当すれば、被災地でなくても復興予算が受けられる仕組みだ。
役人たちは狡猾にこれを利用した。
国交省は、復興特会から36億円を使って政府の官庁舎を改修する計画を立てた。そのうち12億円は、内閣府が入る霞が関の合同庁舎4号館の大規模改修に使われる。
「昭和47年に建てられた施設で耐震不足なので、免震構造に変えます。他に秋田合同庁舎、和歌山県の田辺合同庁舎の修理、他に名古屋や釧路などの全国の港湾合同庁舎の津波対策に使います」(官庁営繕部管理課・予算担当企画専門官)
一見、もっともな理屈だが、騙されてはいけない。国の施設の建て替えが進む一方で、肝心の被災地の整備には、予算が付いていないのである。
石巻市役所は1階部分が水没し、5・6階の吊り天井が壊れるなどの被害が出たが、「市庁舎改修工事」の費用はわずか2900万円。市の管財課担当者が、使い途を明かした。
「これは改修予算ではなく、加湿器と駐車場でのLED伝統の設置予算です。市庁舎を改修する予算は現段階ではありません。復興交付金には市庁舎の改修予算はメニューに入っていないので、付けられないのです。自治体が自腹で改修なんかしたら倒産してしまいますから、国に予算を出してもらう仕組みを検討中です」
実は同じ石巻市にある国交省の港湾合同庁舎には、今年4億円の改修費用が計上されている。国の出先機関と自治体で、これほどに差がつけられる理由がどこにあるのか。
復興予算を決定した安住淳財務大臣は石巻市出身である。昨年7月、安住氏はテレビ番組でこんな発言をしている。
「被災地の人は『助けてけろ』と言うが、こっちだって助けてもらいたい。国会議員が悪いなんて感情的だ。被災地の人のストレスが私のところにきて、それが野田総理に伝わってしまう」
その1年後、彼が決めた予算は、まさに被災地を助けず、こっち(中央の官僚たち)を助ける政策だった。
その財務省の外局、国税庁のやり口も酷い。
東京の荒川税務署など、被災地以外の税務署3施設の改修工事に5億円を計上。荒川が選ばれた理由は、「今回の地震でどこか崩れたとか、老朽化が著しいというわけではなく、耐震化工事に着手しやすい税務署だということ」(国税庁会計課)だそうで、ここでも被災地が後回しにされた。
被災した大船渡税務署職員の嘆きを聞こう。
「税務署の建物は津波で浸水したため、現在は法務庁舎の敷地に仮事務所を設けています。プレハブ造りの簡素なものなので、空調の効きが悪く、場所もかつてに比べ手狭ですが、元の建物が整備されてから移転となるので、移転はしばらく先になりそうです」
ハコ物と並ぶ巨大公共事業である道路にも、復興とは全く無関係ながら、全国で多額の予算がついている。
なかでも北海道と沖縄の道路整備事業にそれぞれ78億円、22億円が復興特会から拠出された。
国交省北海道局予算課に聞いてみた。
取材班:なぜ北海道の道路予算が復興予算に組み込まれているのか。
国交省北海道局予算課:「道路がないところに道路ができれば防災に役立つのではないでしょうか」
取材班:防災というけれど、特別仕様の道路なのか。
国交省北海道局予算課:「普通の道路です。河川沿いの道路であれば津波対策、橋であれば橋梁の強化につながるので、新しいものは防災対策になります」
沖縄でも道路整備に22億円が計上されているが、「沖縄は台風が多いので、台風のたびに波が道路に打ち寄せてしまう。そのためのかさ上げを行おうと思っています」(沖縄振興局)という。被災地の津波対策のかさ上げは許可されないのに、沖縄の台風対策のかさ上げは簡単に予算が下りる。理不尽と言う他ない。
◆役人の給料を勝手に付け替え
復興予算は、そのままシロアリ官僚たちの懐にも消えている。
前述の通り、政府は復興予算捻出のために公務員の人件費削減を標榜している。本年度は、各省庁合わせて6000人以上の定数削減を行う予定だという。ところが、総務省の審査結果を見ると、実際には合計1300人しか減っていない。
なぜか。削減分を穴埋めするために新規事業を立ち上げ、そちらに人員を移しているからだ。
その新規事業の最たるものが、「震災復興」である。新設された復興庁の定員は120人だが、復興特会には、791人分の人件費が計上されていた。財務省出身の桜内文城参議院議員(みんなの党)が呆れる。
「政府の言い分では、”職員の給与が復興特別会計に入っているのは、復興庁の職員と『折衝する』各省の職員の給与だから”だそうです。被災地に行く職員ならまだわかりますが、そうじゃない。霞が関の役人の給料なんです。本来は一般会計で計上すべき予算を、勝手に付け替えている」
総務省の行政管理局、「定数削減は『片道の減』というもので、減らすのはあくまでも既存の事業の見直しで、必要があれば新規事業の定員を増やすこともある」と白状した。
復興特会に109人分の人件費を計上した農水省文書課の職員は、本音を漏らした。
「復興予算で多少人件費を増やしましたが、農水省は定数を535人も減らしている。一番真面目に取り組んでいるんです。公務員制度改革で定員の削減をするからといわれて素直に削減してみたら、真面目にやっていたのはうちだけだった。他の省は新規事業をたくさん立ち上げてプラスマイナスゼロにしているんですから。後で気が付いてびっくりした」
なんともあけすけである。
復興特会のうち、人件費は総額131億円に上る。これには、通常の給与だけでなく、彼らの年金や福利厚生費用、さらには退職金(計7億円)まで含まれている。
たとえば、環境省は職員の年金保険料として1・8億円を復興特会から出させている。
福利厚生費用には、様々な特典がある。疾病手当や結婚手当などに加え、スポーツクラブの利用料割引や、東京ディズニーランドの入場料割引まである。
復興予算でディズニーランド割引?
文科省福利厚生室に確認すると、「スポーツクラブの割引には予算が使われているが、ディズニーランドの割引制度には国費の補助はない。広報活動の一環で割引してもらっている」と反論する。
つまりは、「あれは役得であって税金流用はしてない」と言いたいようだが、特権を大威張りとは呆れる。
◆「復興のため」核融合実験に42億円
シロアリたちは自分たちだけでなく、天下り先をはじめとする関係団体まで復興予算で潤そうとしている。
外務省は独立行政法人・国際交流基金に運営費として約1・2億円を支出。同基金は、外務省出身者が役員の天下り団体である。
「事業は、『文化・芸術活動を通じた震災からの復興に向けた記憶・体験の共有』というものです。日本の芸術家を海外に派遣して、文化交流を行うことによって、日本は元気だということを世界に伝えていこうとするもので、派遣する文化人の中には、東北人もいたらいいかと思っています」(外務省・広報文化交流部)
ちなみに、外務省はODA(政府開発援助)国際会議の予算として復興特会に約7000万円を計上している。復興にODA?いくらなんでも強引過ぎる気がするが、外務省会計課は、強烈な屁の臭いが漂う理屈を披瀝してみせた。
「今年7月3〜4日に仙台で外務省主催の国際会議を行ったのです。被災地で開催したのは、もっと被災地に観光客を呼び込んで欲しいという要望が被災3県からあったからです」
文科省所管の天下り先である全国の国立大学にも、施設整備費として435億円の予算が計上されている。そのうち直接被災地の大学に関わる災害復旧費は46億円で、残り389億円は全国の国立大の改修工事に利用されている。この事業は昨年度予算から既に行われており、北は北海道教育大学の体育館から、南は熊本大学の図書館まで、「全国防災」の名目で改修が進められている。
極め付きが、独立行政法人・日本原子力研究開発機構である。文科省や会計監査院からの天下り役員が所属するこの法人は、原子力ムラの中心として研究を行ってきた。驚くべきことに、この原子力研究にまで、復興予算が使われていた。復興特会から機構への拠出総額は何と107億円に上る。このうち、65億円は除染と廃炉の研究などに使われるが、残る42億円は、現在進められている「国際熱核実験炉計画」(イーター計画)の研究開発・設備費用に使われるのだ。
イーター計画は、2019年までに50万キロワットの核融合出力を長時間にわたって実現し、「未来の原子力」といわれる核融合エネルギーが実現可能であることを実証する計画である。
機構を所管する文科省の研究開発戦略官付の担当者は、復興予算が拠出された理由をこう説明した。
「実験を行っている日本原子力研究開発機構は、(被災した)青森県と茨城県にあります。同事業のコンセプトは、この研究所を日本と欧州が参画する『世界的な核融合の拠点施設』にして、イノベーションの力で復興に寄与しようというものです。世界的な研究拠点ができれば、被災地に活力を与えるという趣旨です」
質の悪いジョークにも程がある。進まぬ復興と原発事故の二重苦にある被災者たちに、面と向かって同じ説明ができるのか。
◆石巻とシーシェパードの関係は?
トンデモな復興予算はまだある。冒頭で紹介したシーシェパード対策費がそれだ。昨年度予算から、南極に行く調査捕鯨に18億円、それを妨害するシーシェパード対策費に5億円がすでに使われてしまった。
理由は「石巻はかつて捕鯨の町だった。石巻の再活性化のためにも商業捕鯨の再開がしたい」(水産庁国際課)からだという。が、調査捕鯨船の母船は広島港から出港しており、石巻とは何の関係もない。
そう記者が問うと、担当者は「南氷洋に行く乗組員には石巻周辺の人もいる」「石巻出身者には鯨を捌くのが上手な人が多い」などと、笑止千万の理屈を繰り出した。記者が「わかりました。石巻の復興と調査捕鯨費用は何も関係ないですね」と話を切り上げると、「クジラの町・石巻に、いつの日か捕鯨の復活で活気が戻ることを持ち望んでいます」と付け足す厚顔ぶりに、官僚の本領を見た。
これらの事業の中には、確かに必要なものもある。だが、それによって被災地の復興が先送りされている現実は、どう考えてもおかしい。復興庁に問うと、
「全国防災などは全体から見れば大きな額ではない。自治体にはもっと積極的に関与していく必要があるが、復興庁が統一した窓口であることは画期的なことだ」(予算・会計班)
と答えた。宮城県選出の斎藤恭紀衆院議員(新党きづな)は、こう憤る。
「国は予算が余った理由を、自治体計画策定が遅かったからと説明していますが、全く予算が下りていないところに計画を作れといっても作れるはずもありません。財務省や執行部は、震災復興を増税するための道具としてうまく使っただけで、その駆け引きのために震災復興が遅れてしまった。私や被災地の首長たちは、各省を渡り歩いて一刻も早く宅地災害の復興予算が出るように動いていたが、予算を待っている間に梅雨や台風がやってきて、二次被害の土砂崩れが起こってしまった。もう無茶苦茶ですよ。それで不要分は繰越だというのだから、地元は本当に怒っています。『使い切れなかったとはなんだ。こっちは本当に復興予算を必要としているのに』と」
震災復興を大義名分で国民に増税を強いながら、そのカネの大部分は被災者のためではなく、役所の利権拡大と役人の生活保障という「霞が関復興」に使われている。この現実はまさに国家犯罪というべきものだ。
しかもこの期に及んで、安住財務相は、「復興のフレームの19兆円を超える可能性が高くなってきた。新たな財源の調達をどうするか考えないといけない」(7月3日)と積み増しまで示唆している。
あの大惨事からの真の復興と、この国の立て直しをはかるには、国民を欺いて恥じない霞が関官僚と野田政権の政治家たちを叩き出すしかない。
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