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世界の漁業に被害が発生
国会は消費税増税論争に明け暮れているが、それより優先して決議をおこなうべきことがある。今週、米西海岸の放射線セシウム濃度が上昇したため漁が禁止された、との報道があった。巨額の賠償金訴訟に発展する恐れがあり、早急に対策が必要だ。
カリフォルニア州で出漁禁止
米カリフォルニア州海岸でセシウム濃度が上昇している。現地では日本近海を遊泳中に汚染されたクロマグロが漂着し始めたため、と見ており、漁が禁止された。
今後の推移を見守る方針だが、状況によっては賠償問題に発展する可能性が高い。その場合、裁判地は米国になるが、米国の民事賠償金は桁外れの高額になることもある。
「懲罰的賠償金」という独特の制度があり、被告側の過失が大きいときには、損害分の賠償にこれが加算されるためだ。
裁判地を日本にできる条約に未加盟
実はこういったケースで、損害賠償訴訟を自己発生国でおこなうよう定めた国際条約がある。国際原子力機関(IAEA)が採択した「原子力損害の補完的補償に関する条約」(CSC)がそれだ。
日本はこれまで米国から条約への加盟を求められてきたが、被害者になった場合の裁判管轄権を失うことを危惧して、これを拒否してきた。
加盟には国内法の改正なども必要とされるため、政府は昨年から法改正を目指してきたが、いまだに実現できていない。
訴訟を起こされる前であれば、事故後に加盟しても、相手国との交渉次第では、裁判の管轄権を日本に置くことができるという。
世界の海に拡散する放射性汚染物質
先ごろ、ドイツのキール海洋GEOMAR研究ヘルムホルツセンターが作成した海洋汚染図が発表された。福島第1原発事故から16か月後の今月7月11日現在、放射能汚染が世界の海にどのように拡散しているか、示すものだ。
それによると、太平洋のほぼ全域が高濃度で汚染されており、汚染の東端はハワイにまで達している様子がわかる。
今後、米国だけでなく太平洋で漁業を営むあらゆる国から損害賠償請求される可能性があり、その額は天文学的な数字にのぼるものと予想される。
被告は東電だが、賠償については政府が補填することになっており、そのまま国民の負担となる。消費税の前に、まずこの賠償額を少しでも抑えるべく、条約加盟に向けた法改正が求められる。
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