http://www.asyura2.com/12/senkyo133/msg/557.html
Tweet |
http://diamond.jp/articles/-/22102
政権ウォッチ【第143回】 2012年7月26日
7月23日、12機のオスプレイが列島に渦巻く反対や不安の声を押し切って、予定通り岩国基地に陸揚げされた。
野田佳彦首相は24日の国会答弁で「安全確認ができなければ飛行・運用をさせない」と言い切った。事態の深刻さをようやく察知したのだろう。しかし、この答弁も今までの発言と比べて本質は変わっていない。
■拙速なオスプレイ配備が むしろ日米関係を揺るがす恐れも
今までは、オスプレイ配備は装備の重要な変更ではないから事前協議の対象ではない。だから日本側にこれを中止する何らの権限もなく、「日本がどうしろこうしろという話ではない」(首相)と突き放してきた。
しかし、この問題はもはや法的問題の域を越えて、社会的、政治的問題に発展している。すなわち、日米合同委員会での協議と言うより、日米首脳の政治協議の対象になる雲行きだ。
オスプレイの飛行訓練による墜落事故の危険、低空飛行がもたらす騒音や圧迫感。米国内でさえ強い反対運動が起きている。日本列島のほぼ全域で訓練飛行が予定されているから、日に日に全国的な不安が高まっているのは当然だ。
オスプレイが岩国基地に搬入された直後、森本敏防衛相は「ホッとしている」と語った。
オスプレイ配備が米軍再編の核心部分と認識する防衛相がそう言うのは理解できなくもない。
だが、この問題は短絡的に安全保障政策の次元で考えるべきではない。ことは何よりも「安全性」と「生活侵害」の問題なのである。
なぜ、安全性が確認される前にオスプレイの搬入を容認したのか。なぜ「待て」と言えなかったのか。米国や外務、防衛両省が何と言おうと首相は国民生活を守るためにそう出るべきだった。そうでなければ、首相という存在自体が「無用の長物」と化してしまう。
首相はかねてから「日米同盟を深化させる」と言ってきた。同盟を深化させる最優先の課題は、日米両国民間の信頼関係を深化させることに他ならない。拙速なオスプレイ配備の強行は、対米不信を強め、同盟関係を土台から揺るがすことになるだろう。
■「野田さんは民意を知らない」 菅直人前首相からの警告も
今回のオスプレイ配備の過程は、原発再稼働の過程とそっくり同じである。消費税増税のやり方も酷似している。
結論が先にあって、その後に議論、調査、説明の場を設けて“ガス抜き”をし、最後に「打ち切り」と「一任」で「決める政治」を行う。その間に、着々と実務上の準備作業を重ねて既成事実を固め、後戻りできない状態に持ち込む。そうすれば世論は諦めざるを得ないと考えているのだろう。
しかし、今の“民意”はそんなに甘いものではない。
既に何度も指摘したが、大震災後、日本の民意はより賢明で強靭になり、しかも、政党、組織、団体からも自立しつつある。とりわけ人命や生活に密着した問題に対しては容易に妥協しなくなっている。
報道によると、菅直人前首相が野田首相に対して「『野田さん、あなたは国民の怒りの対象になっていますよ。分かっていますか』と言うと、野田さんは『え、そんなことになっているの』と言っていた」と講演で語ったという。(7月22日毎日新聞)
首相がこのように民意を知らないとすれば、それを政治に反映できるはずがない。
最近、「決められない政治」や「決める政治」など意味不明な言葉が氾濫している。
野田首相は母校早大での講演で、「決める政治を果敢にやり遂げていく決意だ」と強調したという。
しかし、菅前首相が警告したように、野田首相の「決める政治」は民意を知らずに、ひたすら“官意”に従う政治という印象である。野田首相は、単に官意に従って決めているだけではないか。
搬入を受け入れたからには「オスプレイは安全」という結論は、前もって決まっているのだろう。このまま、安全保障政策をめぐる国内の亀裂が深まることになれば、それこそ安全保障体制が弱まる結果をもたらす恐れがある。それは日米両国にとって最も不幸な事態である。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK133掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。