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2012年7月21日 (土)
メディアによる政治家評価を読み解く心得
政治家を評価する際に、何よりも気を付けなければならないことは、マスメディアの論調に疑問を持つことだ。
マスメディアの立ち位置をしっかりと認識しておく必要がある。
日本のマスメディア体制は「16社体制」と呼ばれることがある。
NHK
読売−日テレ、朝日−テレ朝、毎日−TBS、産経−フジ、日経−テレ東、
共同、時事
北海道、中日、西日本
NHK、全国紙およびキー局5系列10社、2通信社、地方ブロック紙3社の計16社が日本のメディア情報空間を占有している。
私たちが得る情報の発信元には多種多様なものがあるが、そのなかで、この16社は圧倒的な影響力を有している。
ネット、単行本、ミニコミ誌、あるいは商業雑誌などからは草の根の情報が発信されるが、一般大衆が時事問題についての情報を得る、最大の窓口がこの16社になっている。
全国の各都道府県には基本的にひとつずつ地方紙が存在し、この地方紙がそれぞれの都道府県では圧倒的な高シェアを維持しているが、これらの地方紙は全国版のニュース報道記事を通信社から購入している。共同・時事の通信社が発信するニュース報道が、そのまま地方紙の記事として採用されている。
テレビ、新聞、の民間マスメディア企業の経営を支えているのはスポンサー収入である。とりわけテレビ局は圧倒的にこの依存度が高い。
このスポンサーによる資金提供の窓口となっているのが広告代理店である。電通、博報堂を二大企業とする広告代理店を通じてテレビ局にスポンサー資金が供給される。
したがって、民間放送、民間メディアの場合、このスポンサー収入が経営の基盤を形成しているため、企業経営の方向がスポンサーの意向に配慮するものにならざるを得ない。
この民間放送のなかで、象徴的な事例がある。
それは日本テレビ放送網である。
日本テレビ放送網を創設したのは、読売新聞の実質的な創業者である正力松太郎氏であるが、正力氏は戦犯容疑者として拘束されたのち、GHQにより釈放された人物である。
この正力氏が米国CIAのコードネームPODAMを持つ、いわば米国のエージェントとして活動していたことが、米国公文書から明らかにされた。
早稲田大学教授の有馬哲夫氏が米国公文書を調べてこの事実を明らかにした。
詳細は有馬氏の著書をご高覧いただくとして、日本のテレビ放送網は、当初から、米国による日本の一般民衆の世論誘導の目的を持って創設されたことが分かる。
CIAの情報戦略のなかに3Sという言葉がある。スポーツ、セックス、スクリーンの三つだ。
CIAが背後に存在する正力氏が創設した日本テレビ放送網は、プロレスや野球などのスポーツをテレビ放送網に乗せて、民衆の関心をスポーツなどに振り向けることに尽力してきた。
NHKのあり方については、第二次大戦後のGHQによる民主化措置により、根本的な大改革の試みが存在した。
GHQは政治から独立した「放送委員会」を創設して、この「放送委員会」にNHK運営の全権限を付与することを考案した。全国の放送受信者から選挙で選んだ30〜35人の放送委員により放送委員会を組織することが提案された。
放送委員会設置法案は大綱まで作られたが、状況変化によって立ち消えになった。
冷戦が激化したため、米国の対日占領政策が180度転換したのである。
敗戦当初の対日占領政策は、「徹底した民主化」であった。そのために「公職追放」、「労働組合の結成」、「財閥解体」、「農地解放」などの諸施策が矢継ぎ早に実施された。その一環としてNHK改革も動き始めたのだ。
ところが、冷戦の勃発により、米国の対日占領政策は、「民主化」から「反共の防波堤創設」に転換した。
この環境変化を受けて、NHK改革の方針は大転換され、「NHK民主化」から「NHKの政治支配化」に方向が大転換した。
NHKは放送受信者の意向ではなく、政治権力の支配下に置かれることになったのだ。
したがって、現在のNHKは「みなさまのNHK」ではない。「政治権力のNHK」である。だから、原発、TPP、消費税の各問題について、NHKは政治権力に阿(おもね)る放送しか行わないのだ。
政治権力の意向を全国に浸透させるには、通信社を支配することが重要だ。現状では共同、時事の二大通信社が政治権力に完全にコントロールされている。
中日新聞や北海道新聞など、地域住民からの支持が強い、ごく一部のメディアが、政治権力の完全支配下に置かれることなく、辛うじて政治権力から一定の距離をもった報道を多少展開しているのが現状である。
この事情を十分に踏まえて、政治家の評価をしてゆかなければならない。
マスメディアがいま一番攻撃しているのは誰か。
それは、小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏である。
ここは、逆に考える必要がある。
なぜ、マスメディアが小沢氏と鳩山氏を目の仇にするように攻撃しているのかということが重要だ。
この点に気が付くと、二人の政治家に対する評価は見事に逆転することになる。
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