http://www.asyura2.com/12/senkyo133/msg/299.html
Tweet |
今週の月曜日の衆議院予算委員会から一昨日、昨日と開催された参議院特別委員会のTV中継を見ての感想である。
何より驚かされたのは、タイトルにもしたが、自民党国会議員の傲慢で横柄な態度である。実質的大連立である「三党合意」で、すでに天下を取ったかのように生き生きと振る舞っている姿にも驚かされた。
4日間連続で今週の国会中継を見た人であれば、政権与党の主導者は自民党で、内閣総理大臣の名札を付けている野田氏をはじめとした大臣諸氏は、さしずめ自民党に操られるパペット人形という感を持たれたであろう。
良く言えば、野田氏をはじめ民主党の大臣諸氏は忍耐強い。政治生命をかけた消費税増税法案を成立させるためなら、自民党の町村代議士や宮沢参議院議員の股をくぐることも辞さないということなのかもしれない。
もっと驚くのは、自分たちの党の代表であり日本国の内閣総理大臣である野田氏が理不尽な晒し者になっているのに、委員としてその場にいる民主党国会議員たちがその様子を静かに眺めているだけという無様だったことだ。
「三党合意」を基礎に進んでいる案件の審議の場で、自分が所属する政党やその代表であり首相でもある野田氏が、味噌糞になじられ、オリンピックの開会式に出席することさえ差配される状況でもヤジさえ発しない体たらくは、鈍感なのか腰抜けなのかわからないが見るにたえないものだった。
仮に私が民主党執行部派であったとしても、自民党国会議員の委員会での対応ぶりに直面すれば、「三党合意を経た後でありながら、ぐずぐずネチネチと09年マニフェスト問題を持ち出し続け、よその政党の内部規律問題をあれこれ言い募り、これはするな、あれはするな、これは認めろ、将来の消費税増税の必要性を明言せよ、などと責め立てるような政党と共に進むことはできない。自民党がそのような態度を続けるのなら今回の合意は破棄すべき」と主張する。それくらい見るにたえないものだったのである。
勘違いされている方もいるようだが、自民党の国会議員が野田首相に対し、ことあるごとに消費税増税関連8法案の成立後の早期解散を迫っているが、それは単なる野党としてのパフォーマンスである。(民主党内の消費税反対派を離党に誘導する狙いもあるが...)
昨日の参議院特別委員会でも、自民党の宮沢洋一参議院議員(町村氏とならびエリート臭をまき散らす鼻持ちならない男)が法案成立後の早期解散を野田首相に迫っていたが、発言をきちんと聞けば、そんなつもりはさらさらないことがわかる。
宮沢氏は、時の政府に実施の判断を委ねた消費税増税法案附則18条の規定から、来年秋の時点では消費税増税を是とする政党が多数派を占めていなければならないことを述べ、社会保障改革推進法案が1年以内に必要な法律を策定し国会に提出することを規定していることから、法案成立後直ちに解散総選挙を行い、社会保障の改革作業を推進する強い政府を確立する必要があることを根拠に早期解散を迫った。
8月に法案が成立し、9月解散・10月総選挙が行われれば、あの社会党でさえ大勝利した89年参議院選挙を超えるレベルで消費税増税推進派が敗北することは目に見えている。
早期に解散総選挙を実施すれば、せっかく「三党合意」という新しい政治的地平を切り開くことで、念願の消費税増税に道筋を付け、それを盾に公共事業をはじめとした“放漫財政”に舵をとれるようになった現実を捨て去ることをなる。自民党の老練な政治家が、そんな道を望むはずもないことは自明であろう。
さらに言えば、自民党が、早期の解散総選挙をホントウに望み、正論であるマニフェスト違反だから先に解散総選挙で国民に信を問うべきということを心底から追求するのなら、「三党合意」ではなく、参議院での法案否決が最良の選択であることも自明である。
それでも、野田首相はすぐに解散総選挙に応じないかもしれないが、特例公債法案など“人質”が数多くあるから行き詰まり、そう遠くない時期に解散することになる。
宮沢氏の発言要点は、早期解散総選挙ではなく、消費税増税について最終的なゴーサインを出す時点の政府は消費税増税派の手に握られていなければならないということなのである。
小沢Gが早期総選挙は追い風と考えるのなら、なおのこと、残念ながら逆に、早期に総選挙が行われることはないのである。
何はともあれ、国民を愚弄するにも程がある手法と国家社会をより激しく破壊する政策である消費税増税法案策謀の“A級戦犯”は、多数派であり、そこが決意しなければことが進まない野田首相を筆頭とした民主党執行部だと考えているので、彼らが来たる選挙で揃って“打ち首”になることを願っている。
阿修羅の政治板でアクティブな活動をしている人には小沢氏支持者が多いように見えるが、「三党合意」でものごとが進んでいる現状では、10年後の小沢氏の復権を願う人はともかく、“国民の生活が第一”という観点で言えば、小沢新党が選挙で勢力を増大できるかどうかは本質的なテーマではない。
現在の日本の政治状況は、民主・自民・公明(・たち日)と国会議員の2/3を超える消費税増税派は強固な連合まで組んでいる一方で、消費税反対を唱える政治勢力は、個別ばらばらでしか対応できていないというものなのである。
数で圧倒的に劣る勢力がばらばらで、数で圧倒的に勝る勢力が連合しているという戦いの決着は、世論を考慮したとしても、選挙制度を考えれば、わかりきったことである。
消費税増税反対派と言っても、理念や価値観が根本的に異なり、その他の政策でも違いが大きい。しかし、だからと言って、現状のようなばらばらの消費税増税反対派であれば、今後の日本の行方を左右する最大の政策テーマである消費税増税を潰すことはできない。
消費税増税反対派は、政治家としての資質と能力を問われているのである。自分の党ではなく、“国民の生活が第一”という党ならなおのことである。
消費税増税反対派が、トリックスターでないというのなら、消費税増税をただ一つの共通政策とした選挙対応を志向しなければならないはずだ。
極端に言えば、消費税増税法案を廃案にした後、直ちに解散総選挙を行う「消費税増税法案廃止内閣」の樹立をめざすかたちでもかまわないではないか。
最後に、小沢氏には、非自民党政権の継続か、自民党政権への回帰かという選択を迫られていることを忘れないでもらいたい。
国民は、嫌なことされたら、それを行ったときの与党に憎悪を向ける。たとえ「三党合意」で進められていても、国民は、民主党を最大の悪と考えるはずだ。であれば、国費を使った選挙対策を行うとしても、来る総選挙で決定的に議席を減らすのは民主党だと予測できる。
何が言いたいかと言えば、来る総選挙での消費税増税反対派の多数派形成が第一目標だとしても、小沢氏は、それが及ばない情勢になったとき、どのような政権なら“甘受する”のか、どの政党を勝たせないようにするかということも考えていなければならないということだ。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
※ TV中継の録画を見て、二人の参議院議員が目に付いたので簡単に触れたい。
一人は、プライベートで傷を持つようだが、小沢新党「国民の生活が第一」党の中村哲治参議院議員である。
TV中継を見ている国民、いや、委員会の国会議員のどれだけが、彼のやり取りの意味を理解したかは不明だが、安住財務相との消費税増税を必要とする「財政危機論」をめぐる質疑応答で、経済論理についての深い理解を示していた。
ただ、ほとんどの時間を財政危機論のマヤカシに費やし、消費税増税が、財政危機対応にも役に立たない税収減少政策であることにまったく触れなかったのは残念である。
なぜか小沢氏までが参議院特別委員会に顔を見せていたが、中村氏の質疑を見たかったのであろう。
一方の安住氏は、恥ずかしいことに、主要新聞の社説を持ち出して、消費税増税の必要性や正当性を主張していた。
中村氏は、来年が改選時期である。奈良県選挙区選出だが、プライベート問題で当選は覚束ないと思えるので、国会議員として残したいのなら所替えが必要だろう。
民主党の大久保 潔重参議院議員も、どうして離党しないの?投票では反対だよねと思わせる質疑を行っていたので、高く評価したい。
もう一人は、自民党の世耕 弘成参議院議員である。彼は、小泉郵政選挙時に広報本部長代理として活躍した実績がある。
昨日の参議院特別委員会で、他の自民党国会議員と同じように、“造反者”や造反見込み者への対応をあれこれ持ち出し、そのような状況では三党合意があっても協力できなくなると脅していた。
これだけなら放置しておけばいいのだが、なんと、彼は、「私は経済成長派(中川秀直氏の上げ潮派と同じ)だから、消費税増税には反対だったが、まわりが賛成だということで協力することにした。しかし、民主党が党内さえきちんと固められないようでは、消費税増税に反対する運動を起こす」(趣旨)と語ったのである。
ある政策に対する是非を自分の信念や思考で判断しなかっただけでなく、どういう経緯であれいったん下した判断を、今度は他党の状況次第で翻すといった言動は、政治家としてあまりに恥ずかしいことだ。
町村代議士、宮沢洋一参議院議員、世耕弘成参議院議員などが、今以上にでかい面をしてのさばるような政治状況にしたくないと強く願っている。
=================================================================================================
※ 関連投稿
「小沢一郎氏そして橋下徹氏は、トリックスターなのか、それとも稀代の政治家なのか」
http://www.asyura2.com/12/senkyo133/msg/124.html
「野田首相への評価が豹変したという問いかけへの回答で見せた橋下大阪市長の“素顔”」
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/793.html
「橋下大阪市長論再考」
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/906.html
「財政危機」のお化けは退散:剰余金の半額国債償還規定も外し、復興予算も上積みと、“財政放漫化”の動きが加速
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/532.html
「税収上振れ、補正予算検討 増税へ環境整備:小沢氏が本当に増税に反対なら、この問題を国民に強く訴えるべき」
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/280.html
「民主党主流派と自民党が揃って“大連立”に進む絶好機として仕掛けている小沢派大量離党を小沢支持者までが望む“異常事態”」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/898.html
「[政局を読む]小沢支持者が政局に煽られて反小沢勢力のサポートをするという倒錯:自身が進めた政治改革の捕囚となった小沢氏」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/828.html
「[政局の流れを読む]新党結成に向かう可能性もある小沢Gの“蹶起”は奏功するのか?:答えはNoである。」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/776.html
「証拠ねつ造3警官に求刑上回る判決:「陸山会虚偽捜査報告書事件」は、この事件や「大阪地検特捜部証拠隠滅事件」よりずっと悪質」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/307.html
「陸山会3秘書判決:状況証拠どころか「推定有罪」、公訴範囲も逸脱、有罪根拠もズタボロの“歴史的”トンデモ判決」
http://www.asyura2.com/11/senkyo119/msg/855.html
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK133掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。