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2012.07.20 「市政改革プラン(素案)」のパブコメはいったい何のためだったのか、浮かび上がる公明党の役割、(ハシズムの分析、その27)〔リベラル21〕
〜関西から(70)〜
広原盛明(都市計画・まちづくり研究者)
大阪のシンボルである「中之島図書館を廃止して集客施設にする」と、橋下市長が府市統合本部の席上である日こともなげにそう言ったそうだ。誰からも「殿、御乱心!」との声が出なかったところを見ると、内心はどうあれ、もはや橋下氏に逆らう幹部は府庁や市役所にはいないのかもしれない。「思いつき独裁」ともいうべきハシズムの展開は、いまだにとどまるところを知らない勢いだ。
だが、それは橋下番記者が連日垂れ流す“蜃気楼”のような現象に過ぎないのであって、水面下では「反ハシズム」の動きが着実に広がっている。ハシズム批判を強める大阪の地下水脈は、いまや表面の濁流や逆流とは関係なく網の目のようにつながり、次第にその流れを強めつつある。そのことを象徴するのが「市政改革プラン(素案)」に対する市民の圧倒的な異議申し立て行動であり、それとは対照的な橋下市長の無責任(矛盾)きわまる対応ぶりだ。
もともと「市政改革プラン」と称する市民サービスの大リストラ計画は、庁内プロジェクトチーム案をそのまま市議会に提出し、一気に型をつける算段だった。しかし内容が公表されるや否や市民の間では蜂の巣を突いたような大騒ぎになり、市議会での公明党の動揺もあって(低所得層の公明党支持者に打撃を与えるような行政サービスのカットが多い)、形の上だけでも「パブリック・コメント」を実施せざるを得なくなったのである。
この事態は、市長に当選したこと自体が「民意」であり、その後の施策については「一任されている」という橋下市長の独善的主張から外れるものではあったが、維新の会が市議会の過半数を占めていない状況の下では、公明党の賛成を得るための「必要な妥協策」として実施されたものだ。
短い期間だったにもかかわらず2万件近くのコメントが寄せられ、意見総数は3万件近くに上った。コメントの提出者は、男女別では男性1:女性2、年齢別では30歳代以下2割、40・50歳代3割、60歳代以上5割と直接に影響を受ける女性や高齢者が多かった。またコメントを市役所や区役所に直接届けた市民が1/3もあったことは、自分たちの思いを何とか市政に反映させようとする熱意(怒り)のあらわれだろう。
パブコメの結果は、意見総数の94%が各種の「市政改革案」に反対を表明するという圧倒的なものだった。敬老パスの有料化、男女共同参画センターの廃止、市民交流センターの廃止、生涯学習センターの廃止などなど、市民生活の基盤(インフラ)を根こそぎ破壊する悪政に対して、圧倒的多数の市民が「NО!」が突きつけたのである。1歳児保育特別対策費の削減などは、寄せられた1119コメントのうち「賛成」はたった1件しかなかった。
ところが、パブコメの結果に対する橋下市長の言い分が振るっている。「この種のパブコメは反対の人ばかりが物を言う。賛成の人は言わない。だから統計的には意味がない」、「パブコメの後ろにはサイレント・マジョリティがいる」、「パブコメは読んでいない。詳しい説明も聞いていない」など、議会でも身内の会でも言いたい放題だ。要するに、市長に当選すれば全てが「白紙委任」されたと勝手に解釈して、自分の意に反する意見や結果を全て無視するか否定するのだから、これほど恥知らずで「民意=民主主義」を冒涜する為政者はいないだろう。
だが、この結果を見て困ったのはパブコメを仕掛けた公明党だ。国政でも大阪府市政でも公明党の本質的(犯罪的)役割は、「ワースト」(最悪)の法案を「セカンド・ワースト」(次悪)にして結局は通過させることにある。税と社会保障の一体改革法案にしても、野田政権が国民多数の反対世論を押し切った背後には、民自公3党合意に摺り寄る公明党の巧妙な(ずる賢い)露払いがあった。
大阪府市政でも数々の強権的条例(職員基本条例、教育基本条例など)を公明党が手助けして着実に成立させているのは腹立たしい。その“出来レース”の内幕は次のようなものだ。まず橋下市長が世論の反発を受けるにちがいない「ドギツイ政策」を華々しく打ち上げる。次に世論が騒然とした状況になると、その時点で公明党が尤もらしい顔をして修正協議を持ちかける。すると、橋下市長は公明党と協議して政策を若干修正することで妥協し、議会を通過させることを合意する。これを見て、マスメディアは橋下氏の“現実主義者”としての柔軟な対応を評価するーーーというわけだ。
今回の大阪市職員の政治活動を国家公務員並みに規制する「職員の政治的行為の制限に関する条例案」にしても、当初は条例違反者を「原則懲戒免職」としていた市長案を、公明党が「戒告、減給、停職又は免職処分ができる」との修正案を出して合意し、その線で7月市議会を通過させるのだという。何のことはない、憲法に保障された地方公務員の政治活動を公明党が橋下市長の側面援助をしてその剥奪に加担するのである。にもかかわらず、「修正させた」と手柄顔をして結局は悪法(条例)の通過を手助けするのだから、性悪なことこの上ない。
しかし「市政改革プラン」のパブコメに関しては、公明党がこんな狡猾な芸当を駆使するのは難しい。なぜなら、公務員バッシングなら支持者の共感を得られようが、維新の会議員ですら「支持者の理解が得られない」としり込みするほどの「市政改革プラン」に対しては、公明党支持者自身にも“火の粉”が降ってくるだけに、いかに公明党といえどもおいそれと賛成するわけにはいかないからだ。
7月市議会で「市政改革プラン」が予定通り上程されるかどうかは知らない。しかし公明党がそのカギを握っていることは間違いない。大阪市民は橋下市長だけでなく、もっと公明党にも攻勢をかけるべきだ。いつまでも「庶民の味方面」をしていられないように。
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