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http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120719/plt1207190714001-n1.htm
野田佳彦首相は「分厚い中間層の復活」と何度も繰り返している。この言葉を裏返すと、現状は格差が拡大しているとみていることが読み取れる。
民主党は、格差の拡大を問題視することが多い。特に菅直人前首相が小泉政権を攻撃していたことが記憶に新しいが、そもそも格差は拡大したのだろうか。
まず事実からみよう。格差を表す再配分所得(所得から税金・社会保険料を控除し、社会保障給付を加えたもの)の「ジニ係数」は、0〜1までの値を取り、1に近づくほど格差が大きいことを示す。
政権交代後の2010年9月1日に公表された、厚労省の「平成20年所得再分配調査報告書」によれば、ジニ係数は1996年に0・3606、1999年に0・3814、2001年に0・3812、05年に0・3873、08年に0・3758。小泉政権時代(01〜06年)に格差が拡大したという数字ではない。
また、社会保障や税による再配分改善度は、96年が18・3%、99年19・2%、01年23・5%、05年26・4%、08年29・3%と小泉政権の時の改善度はむしろ高まっている。その結果、小泉時代には格差は拡大するどころか、縮小している。これは最近のOECDの報告書でも書かれている。
もちろん、こうしたデータは民主党幹部にも届いているはずだ。だからこそ、2010年6月の菅首相の所信表明演説では「格差の拡大が強く意識され」と事実の問題から“意識”の問題に置き換えられ、同年10月の所信表明演説、11年1月の施政方針演説から「格差」という言葉が消えたのだろう。
当時の野党としては与党を攻撃しなければならないが、小泉政権では経済成長し国民所得が上昇していたので、経済成長に対するアンチテーゼである「格差問題」に走ったのだろう。また格差については、日本全体に関するしっかりした統計数字は遅れて出てくる特徴がある。このため、一部の格差を示して、全体的にも格差が広がっているという印象操作がしやすい。
経済成長すると格差は広がると考えがちだが、全体のパイが大きくなるから小泉政権のように再配分改善度を高めて格差の縮小もできる。その意味でも、中間層を復活させるためには、経済成長が必要だ。それにはミクロ経済政策というよりマクロ経済政策が重要となる。
ところが、今の野田政権は、財務省に操られた消費税増税路線であるとともに、日銀をうまく使えず、今回の日銀政策決定会合でも日銀は有効策を打ち出せなかった。中国をはじめ、ECB(欧州中央銀行)、デンマークなど欧州勢も相次いで利下げに踏み切った。利下げ競争、通貨安競争で世界の当局が機敏に動く中で、日銀だけは無策だ。
こうしたマクロ経済運営をする限り経済成長は見込めず、「分厚い中間層の復活」を口で言うが、それを達成する政策になっていない。また、ミクロ政策も「日本再生戦略」は古い産業政策で、官僚などの既得権者に好都合だが、成長に結びつくとは思えない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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