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小沢新党と総選挙の行方 小沢勝利か敗北のそれから
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2012/7/19 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
野田民主も谷垣自民も大敗するという次の選挙予想の中でこの国の政治はどんなことになるのか
今秋、遅くとも年内といわれる解散・総選挙。永田町は完全に浮足立っているが、今度の選挙の焦点はハッキリしている。どれだけ民主党を負けさせられるかだ。それくらい、国民は怒っている。だから、選挙を心待ちにしている。
その怒りはストレートに数字に表れている。民主党の政党支持率は、共同通信の調査で15・4%、産経が13・7%、時事通信に至ってはたったの6・7%で、09年の政権交代後の最低記録を3カ月連続で更新中。目も当てられない不人気ぶりだ。
さて、となると自民党が勝つのか? いや、そうじゃない。民主に期待して裏切られた有権者が、いつの間にか民主と握って大増税を強行しようとしている自民支持に戻るわけがない。今度の選挙が面白いのはここなのだ。
「これまでは民主が勝てば自民が負け、自民が勝てば民主が負けた。09年の選挙も、05年の郵政選挙もそうでした。しかし、この構図は一変したと言えます。民主も自民も勝たせたくない、そうした有権者が激増しているのです。このことは、無党派層の多さにきっちりと表れています。時事通信の調査では、09年の選挙直後は43・9%だった“支持政党なし”が、いまや71・4%に膨れ上がっている。こうした層の票がどこへ行くのか。それが今度の選挙の争点なのです」(政治ジャーナリスト・山田恵資氏)
2大政党が共倒れになれば、必然的に第三極が躍進することになる。そうした勢力がどこまで票を伸ばすのか。果たして過半数を超えられるのか。そこが大勝負なのである。
◆2大政党の過半数割れはもはや確実
もちろん、民主、自民の政治家だって、自分たちが今度の選挙で大苦戦することは分かっている。だから、選挙後は一緒に組んで、国会運営をするべく、裏でつるみ、皮算用している。
現有議席数は、衆院は民主248議席、自民120議席。参院は民主91議席、自民86議席だ。両党が組めば、まさか衆院での過半数割れはないし、参院のねじれも解消する。そんな魂胆なのだが、果たして、そんな翼賛政治を国民が許すと思うか。この感覚こそが、彼らの甘いところなのだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「民・自の過半数割れは、ほぼ必至」と、こう予想する。
「個々の選挙区を取材しても、民主党は大惨敗が確実な情勢です。せいぜい60議席から、かなり甘く見積もっても90議席に届くかどうか、といったところでしょう。自民党は少し議席を増やすが、それでも150〜180議席の間くらいです」
政治評論家の森田実氏の見立てはもっと厳しい。
「民主党は小沢氏の離党にとどまらず、この先、第2、第3の分裂があると思います。最後に残るのは、野田首相を筆頭とした“松下政経塾民主党”ですが、彼らじゃとても選挙には勝てない。小選挙区、比例区ともに25議席ずつ、計50議席がいいところでしょう。自民党も20議席の微増で、140議席ほどではないか」
これがプロの見立てなのだが、データを分析すると、もっとシビアな数字が出てくる。
◆民主「選挙区9議席」の仰天予測も
民主党の支持率は、09年の政権交代前後と比べて、3割程度にまで落ち込んでいる。単純計算でも、前回、選挙区で3300万票だった得票数は、1000万票にまで激減することになる。似ているのが00年の衆院選で、この時は選挙区で1600万票。議席数は比例と合わせて80議席。それが1000万票まで減れば50議席程度。選挙区で生き残れるのは一握りだ。 実は自民党は、民主党の票が5割減って、そのうち半分が自民に行くケースなど、さまざまなシミュレーションで選挙分析をやっている。「そうしたら民主の選挙区が9人になってしまった」なんて話があるくらいだ。
では、第三極はどうか。鈴木哲夫氏(前出)が言う。
「小沢新党は30議席、公明党も30、みんなの党は40以上、維新の会は80〜100議席は取るでしょう。残りはそれ以外の政党ですが、こうして見ると、民・自以外の改革政党が団結し、さらに公明党が加われば、過半数を取れる可能性は十分にあります」
森田実氏(前出)はこうだ。
「続々と飛び出す民主党分裂派が、反増税や脱原発、TPP反対を掲げてまとまれば、大きな支持が集まるでしょう。私は計150議席は取れるとみています。一方、維新は50程度。大統領制の選挙なら橋下人気で大勝するでしょうが、衆院選は候補者のタマ次第ですからね。維新は素人が多く、有権者の目も厳しくなると思います。公明は30くらい。民・自はもちろん、公明を加えた3党で過半数を取るのも無理です」
フタを開けてみれば、民主、自民が泡を食う。そういう展開が大いにあり得るし、そうしなければダメなのだ。
◆第三極束ね、リードできるのは小沢一郎ただひとり
第三極が民主、自民といい勝負になれば、たとえ過半数には届かなくても、地殻変動が起こる。
時代遅れでアタマの古い既成政党のレッテルを貼られた民・自に残っても、上がり目がないことがハッキリするからだ。年寄りの歯が抜け落ちるように、ボロボロと離党者が出てくる。そうなれば公明党だって、もう彼らとは組まない。第三極に色目を使って、キャスチングボートを握ろうと動き始める。
いよいよ政界再編だ。もちろん、その主役は小沢になる。前出の鈴木哲夫氏がこう指摘する。
「維新がいくら100議席を獲得しても、メンバーは1、2回生議員ばかり。橋下氏は出馬しないから、顔になる議員はいない。そうなると、第三極を束ねて引っ張れるのは、権力の裏側を知り尽くした小沢氏くらいしかいません。事実、小沢氏の考える“最後の仕事”とは、改革勢力をまとめて、既成政党への対抗軸をつくることです。本当の2大政党制をつくるための触媒になるつもりでいる。自らが権力を握ろうとか、総理になろうという野心はない。みんなの党などから、清新な顔を総理候補に立てようと動くでしょう」 そうなれば、小沢が束ねる改革勢力VS.民・自増税連合の構図になる。少数意見や庶民の声を聞こうとせず、自分たちだけで「決められる政治」なんて言っている翼賛政治をぶっ潰せる。その裏に蠢く霞が関支配にもメスが入る。ようやく日本は変わっていくことになる。
◆有権者の選択次第で世の中は変わる
ただし、言うまでもないが、逆の展開になったらこの国の未来は地獄だ。民・自の大連立で翼賛政治体制ができあがってしまえば、何でもありのファシズム国家になってしまう。国民の生命や生活は二の次、三の次。大増税による景気低迷、米国従属化の加速、沖縄の基地固定化が次々と決められ、最後はおそらく、憲法改正まで突き進む。この国は暗黒時代に逆戻りだ。
「国民の多くが望んでいることは、消費増税よりデフレ不況からの脱却。原発再稼働ではなく、新エネルギーへの移行です。米国の言いなりで、オスプレイの配備やTPPへの参加なんてとんでもないし、まして翼賛政治などもってのほか。国民の怒りは頂点で、全国あらゆるところで巨大なデモのうねりが広がっています。彼らの声を無視すれば、この先は大マスコミも潰れる。3党談合に走った議員たちだって生き残れない。そういうふうに世の中が大きく変わろうとしているのです」(森田実氏=前出)
さあ、有権者はどちらの選択をするのか。次の選挙では、真に民主主義が問われている。
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