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神保哲生 「震災瓦礫の広域処理の問題点」 2012.07.10
神保哲生さんのオンザウェイ・ジャーナル 震災瓦礫の広域処理について
おはようございます。神保哲生です。
今日はですね、震災がれきの広域処理という物についてちょっとお話をしたいと思います。
6月の22に日にですね、私が取材していますビデオニュースドットコムというインターネット放送局で、
環境学者であり、環境研究家である青山貞一さんという方がおられます。
僕がもう20年来ですね、環境の事でいろいろと教えていただいていたり、
情報源にしているですね、非常に信頼のおける環境の専門家の方なんですけれど、
青山貞一さんをお招きして震災がれきの広域処理について青山さんが反対されておるので、
どこに問題があるのかという事をうかがうという形で番組を進めていきました。
またほとんど、これが報道されていなかった事なので、私は最初は非常に驚いた。
驚いたんですが、
逆にそれがなぜ報道されないのかという構造までいろいろと見ていくうちにですね、
これは結構重大な問題が起きているなというふうに非常に強く思いましたので、
是非また皆さんにもその話をしたいと思います。
●被災直後の被災地
まずですね、これ当初ですね、数千万トンのがれきがあるという事で、
僕も震災直後からですね、陸前高田とか気仙沼とか、まとにかく釜石とかあの辺に行って、
まあ、あのがれきの、
ま、がれきと言ってもですね、最初は、がれきもなにもなくて全部フラットなんですよね。
その後に道路をまず復旧しなくてはいけないという事で、
道路にあるがれきを全部その周囲に山積みにするので、ま、がれきの山ができる。
最初山にもなっていないんです、実を言うと全部平らなんですよ、最初は。
それが道路をつくると道路を見ると、ま、山になっているように見えるので、積み上げた訳なんですけれど、
がれきの山ができると。
「これでは復興もなにも何にもない」という話はですね、
震災直後は本当に私も自分で実感しました。
最初は数千万トンと言われてですね、
この、宮城・岩手両県でですね、それを独自に処理をしようとすると、
まあ10年以上、10数年はかかると言われたと、
本当にそれが復興の妨げになるんじゃないかという事で、
「ならば」と。
「これをみんなで分かち合おうじゃないか」という事で、
北九州市とかですね、静岡県の島田市とかがですね、ま、手をあげたりして、
「これをみんなで分かち合おう」というような大キャンペーンが繰り広げられる。
これも今回「みんなで分かち合おう」という気持ちを持った方というのは非常に素晴らしいと思います。
●がれき広域処理プロジェクトの意味を見る
必要性と妥当性と正当性
ただですね、この中身を見ていくとちょっと、まあ、ビックリします。
まずですね、
最初にこのようなプロジェクトの意味を見る時にはですね、いくつかの段階を見なきゃいけないんだけれども、
最初にまず、
そもそも、その必要性があるのかどうか?という第一段階があると。
で、それが確かに必要であるという事が分かったら、
その次に妥当性という物を問うというのが次の段階になります。
「果たしてそれでいいのか?」って言うことですね。
そのやり方でいいのかどうか?
だから必要なんだけれどもそのやり方でいいのかどうかという事
で、その下にさらに「正当性を問う」といって、
それが正しいやり方か、正しいプロセス、
しっかりとしたニュープロセスによっているかどうかとか、不正がないかとか、ズルがないか、インチキがないか
利害相反が、利益相反がないかとかそうしたことを見るのが、正当性の三段階。
だから必要性・妥当性・正当性というのを見ていくといういのが通常大事なんですけれども、
1.必要性
今回驚いてしまったのはですね、
実はあの、あれだけ大変そうに見えた物がですね、
実際もうほとんど必要性もなくなっている。
実際必要性が無くなっているという事がまず共有されていないという問題があることがわかりました。
これは何か?というとですね、
もともと、宮城県でも岩手県でも、想定されていた処理しなければいけないがれきの量という物がですね、
見直しが行われた結果大幅に減って、大体3分の2ぐらいにそれぞれ減ったという事があります。
これは、最初にちょっと過大に見積もられたという部分があったのかもしれないのと同時に、
これはいい事ではないんですけれども、決して、
かなりの部分が、実は海に流されてしまったという事なんですね。
実際はもともとの量よりも、随分減ってしまって、
そもそも広域処理、つまり県外に処理をお願いしたいと言っていた分を含めてもですね、
最初に想定していた県内処理できる範囲で全部が、まずほぼ全部が入ってしまうという事が、
明らかになってしまったというのが一つ。
ほぼ全部という言い方は、なぜほぼと言っているかというと、
実は被災地内部にもですね、仮焼却炉というのが31基も増設されたために、
そもそも、被災地内のがれきの処理能力というのが大幅に上がってしまったために、
もともと最初に想定していた処理能力というのも大きく上がったと。
なので、もともと量が増えて処理能力も高まってその中に収まったというのが一つなんだけれども、
そもそも、ま、その必要性という物が無くなってしまっていたというのが一つなんですね。
それからもうひとつはこれは非常に重要な事なんですけれども、
なにか、このがれきの広域処理をですね、みんなでやろうというような政府広報。
環境省の広告なんですけれども、
新聞やテレビに出ているのを見るとですね、
なんか、町中にそれがあって
復興の邪魔になっている、妨げになっているかのような情報が出回っていますけれども、
まぁ、実際に被災地に行ってみれば分かりますけれども、
ほとんど町中には、実は瓦礫は残ってないんですね。
全部郊外というか、邪魔にならない所に、ほとんどの物は実際に移動されてしまっていて、
「がれきがあって復興の妨げになっている」というような状況がそもそも、
いわゆる広告で権原されているような状態になっていないという事があります。
なので、まずその二つがですね、もともとの必要性という大前提になる部分が無くなってしまったのではないか。
というところに問題があります。
2.妥当性
ここで一番実は大事なのは、
「必要性が無くなってもみんなで分かち合うっていう事があってもいいじゃないか」という事が
あり得なくもないと僕は思うんですよ。
本来必要無くなったけれど、それをみんなで協力しようとしていくこと自体は悪くないじゃないかという
ね。ま、実は移動するとお金がかかるので、それがいいか悪いかという議論はまた別にあるんですけれども、
ただそ来で問題になってくるのはこの二つなんです。
・がれきの本当の放射線量
まず一つはですね、
放射性物質を僅かとはいえ、含む、このがれきの移動というのは、
本来の放射性廃棄物。
それは低線量であったとしてもですね、非常にリスクが大きいということが
必ずしも認知されていないのではないかという事で、
非常に低線量と言っても実際に空間線量で測っているので、
実際にがれきにどれだけの放射性物質を含んでいるかは実は簡単には測れない。
これは食べ物を測るのと非常に似ていてですね、
実際粉々に砕いて測るようなプロセスが必要なんだけど、
単純にそこに線量計を当てて測っているだけで、
実はその放射線量の実際は分からないというものが一つと、
・焼却して濃縮
それからそれを結局、動かしたうえで焼いてしまいますので、
焼いた場合に、実はそれが非常に濃縮されるというかですね、
放射性物質が、
結局全体の容積、全体の体積が減るという事なので、
非常に濃い放射性物質の濃度を持った灰が残ってしまうと。
で、バグフィルターでほぼ100%除去できるというふうに言っているけれども、
これは100%というのはあり得ない。
何%ぐらいかというのは、実は最初のうちは、
これ皮肉なものなんですけれど、
フィルターの目が最初のうちはあまり詰まっていないので、
こうどんどん出ちゃっていて、だんだん目が詰まってくると出にくくなるという事も、
専門家の先生から取材で聞いたこともありますが、
いずれにしてもこれはまず100%フィルター出来る訳じゃないという問題があると。
なので、
「必要性は無くなったけれどもみんなで分かち合うのは良いじゃないか」というのが
あってもいいじゃないかというのは分かるんだけど、
これにかかるコストの問題と同時に、
それを動かすことのリスクというのが、どうも過小評価されているのではないかという指摘があります。
3.正当性
・広域処理の国の予算
ーゼネコン
そして、さらに、これを聞くとですね、本当に嫌になっちゃうようなところがの話なんですけれども、
えー、これは最初に特措法をつくって、もう予算を組んでしまったと。
これ3年間でなんとですね、総額1兆円を超える予算が投じられてしまったんですね。
がれきの広域処理のために。
で、これが、もう完全に大手ゼネコンの利権になってしまっているということです。
2012年の3月期末の段階でですね、
大手ゼネコンの受注額というのは、土木受注額の総計。
鹿島建設が3052億円
清水建設が2454億円
大成建設が2447億円
大林組が2449億円
というような、こういう単位のお金がですね、こうしたゼネコンに発注されて、
これが「分かち合い」とか「絆」という言葉で、
みんながそれに対して批判しにくいような環境の中でですね、
完全にゼネコンの利権というか、既得権のようなものになってしまっているのではないか。
つまり「一回発注しちゃったんでもう止めない」と。
必要性が無くなっても、もうとにかくやるんだというようところがあると。
ーメディア
さらにこれは僕が許しがたいと思ったのは、
非常に国費を実はこのプロジェクトで使っていたという事なんですね。
2011年度に8億から9億。
2012年度で30億円。
2011年度が博報堂。
20121年度が電通です。
これによってですね、まぁ、39億円ほどのお金が使われたわけですけれども、
これは何を言っているかというと、
結局、たとえば朝日新聞に3月6日にですね、
これは2012年の3月6日ですけれども、
見開きのカラーの
なんていうんですか?これ、1面じゃないな2面見開き大広告というのが環境省から掲載されています。
「復興を進めるために乗り越えなければならない壁がある」
「2012年2月24日 宮城県石巻市」
というコピーが書いてあってですね、広告代理店が作りそうな感じの広告なんですけれども、
これも結局その政府の39億円が国家予算の中からこういうものが出ると。
そうするとですね、
もうメディアは基本的にはこのプロジェクトを批判、
あるいは問題点は指摘しなくなってしまっているわけなんですね。
今ここで、言っているような事というのも、まあこうした広告を全面的に掲載しているようなメディアが、
一方で、このプロジェクトおかしくないか?ゼネコン利権になってないか?
なんていう事を言う筈がないので、
どうもその広告費によってメディアが、いわゆるメディア利権にもなった。
それからゼネコン利権にもなった。
それからもうひとつ、僕は本当に、もう本当に困ったもんだなと思ったんですけれどもね、
じゃあ、まあ、だとしたら、
その何とかゼネコンに発注したいというのは分かるんだけれども、
でもね、別にゼネコンに発注するだけだったら被災地内で処理したって、
ゼネコンはもう受注できているんだからいいんじゃないの?
というふうに思ったらですね、
ー自治体
もうひとつ焼却広域の処理を受注した自治体の側にも、
また、「是非受注したい理由がある」というんですね。
ゴミ問題とかをずーっとやっている青山さんならではの視点だと思いました。
僕は若干「目から鱗」だったんですけれども、
今回ですね、広域処理を受けるとですね、
当然それは国から補助金というか予算が出ます。
これは広域処理をやって予算が出るだけでは、
別にそのかかった費用が出るだけ何で自治体にうまみも何にもないはずなんだけれども、
実はそれは、広域処理を受けるためには、焼却炉の建設が必要で、
その受け入れた自治体が焼却炉を建設する場合に、
なんと95%の焼却炉の建設費が国の予算で出るという事なんです。
ね。
つまり、まず焼却炉が造れる。
「これを受けるよ」というと焼却炉が造れる。
それもほとんど全部国のカネで造れるという事なんです。
で、「なんだ焼却炉利権か」というふうにね、聞く方もいるかもしれない。
焼却炉利権っていうのは実はデカイんですよ。
焼却炉っていうのは学校の校庭にあるようなちっちゃい焼却炉じゃなくて、
もう、大きなビルみたいな焼却炉ですよ。
ゴミ処理場のようなでっかい奴ですからね、焼却炉っていってもね、
この辺のちょっとした2mくらいの高さの煙突のものじゃないのでまずそこは間違えないで欲しいと。
遠くから見ても見えるような、赤と白で色分けしているような煙突のような焼却炉という事なんですけれども、
問題はそこではなくてですね、
もちろん焼却炉利権にはなっていると。
ただ、もっとびっくりしたのはですね、
実は、いま、日本中の自治体が、焼却場をつくりたくても近隣の住民の反対によって、
ほとんど焼却場が造れなくなっていると。
造ろうとすると反対運動が起きてですね、いわゆるNIMBY(ニンビー)っていうやつですね。
Not In My Back Yard 「自分のうちの近くには造らないでくれ」ってみんな言うから、
焼却炉が造りたくても造れないでいたと。
これは一時ダイオキシンが出るとかでないとかですね、
いろんな事があって、焼却炉はみんなが嫌がっていると言う事があって、焼却炉が造れないでいると。
しかし、
そんな「広域処理で引き受けるんだ」と、「被災地の復興を助けるために建てるんだ」って言うとですね、
反対しにくいと、住民が。
だからこの際「ずーっと倦厭だった焼却炉を造るためにはこれはもってこいだ」って言って
手をあげるっていう面が、もう一方であるんではないか?というのが、
ゴミ問題をずーーっとおっかけている青山貞一さんの見立てなんですね。
で、これは必ずしも、
これでこうだった、この人がこう言ったからこれで間違いないっていう話ではなくて、
ま、そういう動機が働いている可能性があるよという、
あくまで仮説のレベルの事なので、
さらにそれを断定的に言うところにはもう少ししっかりと検証が必要なのかもしれませんけれども、
ーことば
結局どうも、必要性が怪しい、あるいは無くなった、
この3年間でおよそ1兆円というこの広域処理がいまだに続いている理由というのは、
「絆」とか「分かち合い」という言葉とは
どうも裏側では違うメカニズムが、違う動機づけが動いているようなんだというところが、
今回私は非常に気をつけなければいけない点だと思いました。
つまり、
なにかこれに反対すると、
ヘンな話し「非国民」ですとかね、
「全くその被災地を君は助けないのか!」
「日本人か、きみは!」みたいなですね、
そういうふうなある種なんか、同調圧力のようなものが働きやすい時に、
こういう事が得てして起きる可能性があると。
しかも今回は広告で打って出て、メディアが黙らされてしまっているのではないか?という可能性が、
もちろんこれも誰も証明できないですよ。
広告を出しているのは間違いないけれど、自分の社の中で会議があって、
こういう記事を書こうと思ったら、部長が飛んで来て
「こういう記事書いちゃダメだ」なんていう
「社は広告貰っているんだ」と、こう言ったという議事録かなんかがあれば証拠になりますけれど、
そんな証拠なんか全く無いわけですね。
だけれども、かなりの金額の広告を、
たとえば朝日新聞のこの見開き、2面カラー広告というのが、
実際に環境省からの予算で、この39億円の予算の一部として、朝日新聞に出た。
それからテレビでも、こういう広告、CMが流れているのを何度か見た記憶があります。
だからそういう事でメディアに対しても発注する。
ゼネコンに対しても発注する。
自治体からすれば95%の補助金を受けて、懸案だった焼却炉が造れる。
というようなですね、そういうような違う動機づけが働いて、
で、文句を言うやつには
「君は分かち合いをしないのか」と、言うふうな殺し文句が待っているというようなですね、
どうも、ちょっと、なんか、あんまり、えー、楽しくないというかですね、
問題があるというような事が起きていると思って、
そこに一番の問題はやはりさっきの妥当性のところだと思うんですね。
つまりそういうメカニズムが働いている
ま、みんなで金分けてハッピーで、それはそれで、ま、良いじゃん。っていう考え方も
その妥当性の部分がなければ、あり得るのかもしれないけれど、
ま、そのかわりこれ税金ですから、お金も大変な無駄になるんですけれども、
ね、このお金がメディアやゼネコンにいっちゃうわけですからね。
●結論
ただ、一番大きな問題は、
やはりこの、低線量とは言え、一定の放射性廃棄物。
放射性物質を含んでいるようながれきというようなものに、
なんか、妙な基準を決めて、
実際に測定をするのはなぜか空間線量で測定しただけで基準を検査してしまって、
「あ、低いから大丈夫ですよ」って言って、
95%の補助を受けた焼却炉で燃やして、ということで、
本当にそれでいいのか?と。
つまり他の動機が働いていると、
本来はすべきじゃないことが流れてしまうリスクが、どうも出ているのではないかというのが、
実は僕が今一番気にしているところです。
これ今日はあんまり回答というか答えになるものではなくてですね、
ちょっと問題提起、
あるいはこういう事が裏にあるので、その辺はもう少ししっかり見ないといけないんではないかというようなですね、
報道としては必ずしも十分なものではなかったかもしれませんが、
ちょっと背後にあった物、
それからそれが報道されないという現状に若干危機感を覚えていましたので、
みなさんに、今分かっている範囲の事をできる限りお伝えしてみようと思いました。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2110.html
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