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四面楚歌で船出した「小沢新党」があなどれない理由
http://diamond.jp/articles/-/21502
2012年7月13日 田中秀征 政権ウォッチ :ダイヤモンド・オンライン
7月11日、小沢新党が結成された。
党名は「国民の生活が第一」となったが、何とも風変りな党名だ。略称がどうなるかわからないので、以下「小沢新党」と呼ぶ。
小沢新党は文字通り四面楚歌の中での船出となったが、それにしては小沢一郎代表の顔は意外なほど元気に見えた。おそらく彼なりの戦略や展望があるのだろう。
私も小沢新党は決してあなどれない存在だと思っている。とりわけ民主党議員にとっては最大の脅威として立ちはだかるに違いない。
小沢新党は政界では珍しい武闘派集団。だから小沢軍団と言ってもよい。打って一丸となって動く。頭より先に体が動く。常識人ならためらうことも直ちに実践する。公卿集団と化した民主党はこれに対抗できるだろうか。それに誰が見ても大義は小沢新党にある。
小選挙区で、消費増税に賛成の自民党候補と民主党候補の間に増税反対の小沢新党が候補を擁立すれば、それだけで民主党候補は吹っ飛んでしまう。残るのはわずかに二世候補か労組候補の一部に過ぎなくなるだろう。
■首相の「増税反対なら公認せず」発言が総選挙にもたらすただならぬ影響
12日朝、野田佳彦首相は、国会で自民党議員の質問に答え、「消費税増税を民主党マニフェストに明記する」、「消費税増税に賛同しない人を公認しない」と明言した。
今までの野田流答弁なら「最終的には賛成してくれると信じている」と言うはずだが、一気に取り返しのつかない段階まで踏み込んだのには驚いた。
この首相らしからぬ発言は、早期解散を回避できないという不安と、一部世論調査の「民・自連立」、「3党協力」に関する数字の高さを読み違えたことによるものだろう。
この首相発言は、明らかに「消費税増税に反対の人は党を出ていけ」ということだ。
しかも、これは党の役員会や議員総会での発言ではない。国会という最も公的な場における国民に向けた約束である。
今後、この発言については当然党内から批判や不満が沸騰するだろう。“公認基準”という党に専属する重要事項を何の議論もなく独断で約束されては政党は成り立たなくなる。
それに、今のままでは、民主党のマニフェストに何を明記しようと信じる人は少ない。約束を破った張本人が新しい約束をしても耳を貸す人はほとんどいないだろう。
■小沢新党が第三極との連携に走れば労多くして成果の少ない結果に
さて、小沢新党は、第三極の新しい小政党の結集に向かうのだろうか。しかし、それは労多くして、成果の少ない結果に終わることが目に見えている。
小沢新党は、(1)社民党や新党きずななどの以前から友好的な既成の中小政党との連携を深めること、(2)民自両党が争う小選挙区に独自候補を擁立することに専念すればよい。
可能性を秘めた第三極の小政党と無理やり連携しようとすれば、お互いにとってプラスどころかマイナスになる。共通の方向に自由に競って全力で走る。それが成果を最も多くするだろう。小沢氏は地域政党など新しい動きを遠くから励ましているのがよい。
ところで、小沢新党の政策大綱は未だ明らかにされていないが、「消費税増税反対」や「脱原発」が主軸となると言われる。
小沢氏は、過去の言動から、今回の主張が政局重視の場当たり的なものと疑う人が多いことも留意すべきだ。この誤解を解くために明確な説明が必要である。
また、前回総選挙での民主党マニフェストの中でバラマキ政策と批判されたものをどうするのか。それも明確にしなければならない。
増税はしない、バラマキはする、というのでは小沢新党はこれから一歩も進めなくなる。
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