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■7月某日 分裂した民主党野田執行部が右往左往している。消費税増税に反対票を投じた鳩山由紀夫元代表らに次の総選挙で民主党として公認を出すのかと自民党に問われた野田総理は「公認しない」と断言。ところが、その国会答弁の直後に行われた憲政記念会館で開かれた民主党衆参両院議員総会の挨拶で急遽、修正した。輿石幹事長によると,なるべき現状の議員でたたかいたいために、公認はその時に考えると事実上の訂正。野田総理としては、自民党への気配りと小沢新党「国民の生活が第一」にこれ以上民主党員をもっていかれないために、恫喝をかけたつもりだろう。
それより驚いたのは、前原政調会長が、「消費税増案は衆議院で成立し、まもなく参議院でも可決されるので、次の総選挙であえて争点にする必要はない」。公約破りで、自民党、公明党と野合した消費税増案は次の衆議院選挙で有権者に信を問うと語っていたのは国民をだますために財務省と組んだサル芝居だったのか。この前原なる人物、口先男だけではなく、恐るべきナルシズムのファシストではないのか。八ッ場ダム建設再開、沖縄泡瀬干潟埋め立て工事でも、いったんストップをかけたのに、いつのまにかGO!を出してしまった。政治家の中でももっとも信用されないタイプではないのか。前原は典型的な親米派で、霞が関と財界の使い走り。その意味では、小沢元代表や鳩山元総理から民主党を乗っ取った、菅直人前総理をはじめ、野田総理、前原、仙谷、玄葉、枝野、安住、小宮山なども人種も思想性も同根である。こんな連中が大臣をやる民主党なんて、早く潰れてしまえ!である。
原発再稼働、オスプレイの普天間基地配備と全国各地での訓練、そして米国追従もここに極まれりともいうべきTPPにしても、国民の信を問うべき大テーマである。民主党野田執行部と官僚たちは、政治の混乱に乗じて国民に目隠ししてでもやる気十分なのだ。これは、民主主義ではなく、独裁政治である。せっかく政権交代を勝ち取った民主党、特に野田執行部が、有権者の期待を次々に裏切るのは、自民党時代と同様に官僚との二人三脚を指向しており、米国絶対服従の方が政権運営には都合がいいという権力亡者の常道手法なのだ。
今月30日に「戦後史の正体」という本が出る。筆者は外務省の国際情報局長を務めたのち、防衛大学で教授をつとめた孫崎享(うける)氏だ。孫埼氏は沖縄の地元紙にも時々寄稿しており、その慧眼ぶりには前から注目していた。これまでの外務官僚や防衛大学関係者とは明らかに目線が違う。よくいる御用評論家のスタンスとは真逆で、日本の戦後史に冷静かつ客観的にメスを入れた本だ。なぜか、孫埼氏の本が出る創元社の担当編集者がパイロット版を事前に送ってくれたのだ。
本の帯に書かれた一文を紹介しておこう。「原発事故、与党の公約違反、検察不祥事、普天間基地問題、TPP参加問題、そして大手メディアの暴走――、崩壊寸前の日本、そのすべては占領期に始まった」とある。更に、表紙には<元外務省・国際情報局長が最大のタブー「米国からの圧力」を軸に、戦後70年を読み解く!>とある。米国に切り捨てられた田中角栄から鳩山由紀夫、小沢一郎まで登場する。日本の政治家は米国追従か、自主型しかいなかった戦後史を明確に抉っており、筆者としても最近では一押し本だ。混迷する日本政治を理解するためにも、ぜひぜひ、ご一読を進めたい。(岡留安則の幻視行日記より)
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