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『メルマガNEWSポストセブン』では、ビートたけし、櫻井よしこ、森永卓郎、勝谷誠彦、吉田豪、山田美保子…など、様々なジャンルで活躍する論客が、毎号書き下ろしで時事批評を展開する。本サイトでは7月6日に配信された22号より「勝谷誠彦の今週のオピニオン」を2回に渡って全文公開する。
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かつて私は『偽装国家』という本を正続2冊、上梓した。国軍を自衛隊と言いくるめ、暴行窃盗恐喝をいじめと言い換えるようなこの国の虚妄を暴いたのである。しかし、今思えばまだしもそこには「民を騙す」というそれなりのテクニックがあった。今、日本国政府はそうした遠慮もかなぐり捨てて、文字通りの暴力装置と化しつつある。その手法は、国民に対する恫喝と、弱きもの貧しきものを「棄てる」ことだ。いくつもの現象面から、私はもはやこの国を『棄民国家』と呼ぶほかはない。
人々はどう「棄てられて」いるのか。まず思い浮かぶのが、福島の原発事故であり、大震災の被災地であり、再稼働を強行される原発を持つ地元だろう。低所得層や中小企業に「死ね」という消費税増税もまたそのひとつに違いない。これらに共通しているのは、さきほど触れたような「恫喝統治」だ。原発を巡っては「この夏、大規模な停電が起きる」と脅した。その数字的な根拠はついに示されずじまいだった。何よりも、もっとも停電などの可能性が高いと言われている関西の住民たちはある程度「覚悟」していた。これはいくつも番組を持っている私が皮膚感覚で知っている。原発の事故で命や故郷を失う危険性と、ひと夏暑さを我慢する努力とを天秤にかければ、子どもでもわかる理屈だろう。
消費税増税については「ギリシャになる」を野田佳彦首相は連発した。ならないことをもっとも知っているのはドジョウを踊らせている財務官僚であり、世界の市場だ。破綻が近づいている国の国債や貨幣をどこの馬鹿が買うのか。一方で円高でウンウンと苦しみながら、一方でデフォルトが起きるという。これまた子どもすら騙すことはできまい。
(次回7月9日火曜日7時公開予定に続く)
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