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小沢一郎は悪魔なのか 分裂しろ野田と闘う小沢を支持の選挙民
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2012/7/2 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
◆政権交代後の理想の政治を実現するためにはまだ彼が必要だろうという声
この国の言論は増税に反対する小沢はワル、野田は救国の政治家というが、果たして実相はどうなのか
この国で今増税したら景気経済はどうなるのか、増税する必要があるのか、政官財の改革は進んでいるのか、なぜ野田首相はやりたい放題なのか
毎日新聞の最新世論調査で、「増税法案に反対し、新党結成の構えを示す小沢元代表の行動」を24%が支持すると出た。同調査で民主党の支持率は10%だから、これはスゴい数字だ。
この調査では「消費税率を段階的に引き上げる法案が今国会で成立することを望みますか?」とも聞いている。「望まない」が63%と大多数だ。
ところが、この世論調査を報じる見出しは「元代表の行動不支持71%」になってしまう。
多くの国民がこの増税に反対で、だから小沢は法案を潰そうと動いた。その行動は民主党支持の倍以上の支持を集めた。それなのに、新聞は「小沢不支持」の数字を大きく取り上げ、“小沢賊軍”をことさら強調するのである。自民党の茂木政調会長の発言も「時代の空気」をよく表している。小沢と輿石の会談を「党議違反を犯した人に処分をどうするか聞くのは、裁判長が被告に『罪はどうしましょうか』と相談するようなもの」と切り捨てたのだ。こういう発言を聞いていると、“魔女狩り”ではないかと思えてくる。
かつて、自民党時代の野中広務は小沢の政治手法を批判し、「悪魔」とまで呼んだ。99年、「悪魔にひれ伏してでも」と言って自自連立が実現した。その当時からずっと、小沢=忌まわしい存在であり、抹殺の対象なのだろう。そこに冷静な議論や理屈はない。とにかく、排除。小沢は常に極悪人なのである。
当然、前提として「裁く側」の野田首相は救国の政治家であり、正義の英雄ということになる。多くのメディアが当たり前のように、こう色分けして、報じている。果たして本当にそうか?
◆正義を貫いたのは誰なのか
「新聞テレビは公正な報道をしていないと思います。小沢グループなんてとっとと切って政治を前に進めろ、という論調です。野田首相が『国民に不人気でも、国の将来を考えると増税法案を成立させなければいけない』などと言って英雄気取りなのも、大手メディアの後押しがあるからですが、笑止千万です。公約を完全無視したうえ、自民党・公明党との密室談合で民意に反する増税を決めるなんて、民主主義を否定する暴挙です。増税というと、庶民は必ず反対する。だから、ダマシ討ちが許されると思っているのでしょう。しかし、国民だってバカじゃない。これだけ叩かれ、いたぶられてきた小沢一郎が2割の支持を集めるのも、彼だけが正義を貫いたからですよ」(政治評論家・本澤二郎氏)
国民はそれをよく知っているのだ。
◆経済破滅を承知で増税強行の暴挙
国民との約束をアッサリ破った野田は大嘘つきのペテン師だ。この一点だけでも、彼に正義はない。
しかも、この時期に大増税を強行すれば、日本の景気・経済はどうなるか。「待ったなし」と増税を急ぐ必然性が本当にあるのか。
経済アナリストの菊池英博氏は「増税はあまりにナンセンス」と、こう言った。
「特別会計には、まだ約70兆円の埋蔵金があるのです。まずは官僚機構のムダを吐き出させるべきで、急いで増税する必要はまったくありません。いま増税すれば、デフレが長期固定化してしまう。景気は悪化し、株価は暴落。GDPが400兆円を割り込んでもおかしくない。すると税収は減る。国民はますます貧乏になる。格差が拡大する。許しがたいのは、野田首相は増税が日本経済を破壊することを分かっていて、強行しようとしているフシがあることです。今年1月、ある議員が『不況時の増税は経済に大ダメージを与えるのではないか』という質問主意書を提出したところ、政府はそれを認める回答をした。野田首相は、増税自体が目的になっている。その結果、日本の経済や国民生活がどうなろうと構わないのでしょう」
それだから、政治改革も公務員改革も全く伴わず、社会保障改革は切り離して棚上げし、消費税率の引き上げだけを先行可決したのである。もちろん、大不況になることも分かっていて、だから、これから補正予算を組んで景気対策を打つ。ドロナワというか、マッチポンプというか、もう支離滅裂だ。こんなムチャクチャがなぜ許されるのか。
「本来なら、メディアが真っ先に野田政権の公約違反を追及すべきです。野田首相は、国会答弁でも『埋蔵金はない』などと平気でウソをつく。メディアはそれを追及するどころか、『歴代政権が成しえなかった増税の道筋をつけた』と、偉業のように礼賛している。国民にウソをつく政治がまかり通り、それをメディアが肯定する現状は異常です。増税で喜ぶのは政府と霞が関。得するのは大企業。大マスコミはスポンサーに迎合し、野田首相を全力で支えている。既得権益にどっぷり漬かった連中にとって、野田首相ほど都合のいい存在はいないからです。小沢氏が闘っている相手とは、こういう既得権益の連合体なのです」(菊池英博氏=前出)
◆庶民は直感的に気づいている
そういう意味では、国民が増税に反対するのは当たり前だ。庶民には既得権の恩恵なんてないからだ。増税でむしり取られ、弱者は切り捨てられる。そんな社会はたまらない。
小沢に支持が集まるのは、増税分のカネが惜しいからだけではない。こんな暴挙を許していたら、野田と自民一派に骨の髄までしゃぶられてしまう。それを庶民は感覚的に分かっているのだ。
先週末の「朝まで生テレビ!」で、最後に視聴者アンケートを取ったら、小沢の行動を「評価する」が66%だった。有効回答数が392件と母体が少なかったが、司会の田原総一朗も「新聞と全然違うねぇ」と目をむいていた。
前出の本澤二郎氏が言う。
「日本でもようやく、大マスコミのウソに気づいた国民が行動を起こし始めた。原発反対の官邸デモがいい例です。先週金曜日は15万人(主催者発表)が集結して官邸を包囲した。無視できない規模になって、さすがにマスコミも報道せざるを得なくなった。増税についても同じで、野田首相の強引なやり方が、かえって国民の怒りに火をつけたのです。今回の増税法案をめぐって、民主党の中でも誰が旧態依然の体制派で、誰が本当に国民生活を考えているのかが浮き彫りになった。今の政治に怒りを感じ、行動を起こした人々の声は、各地の大規模デモという目に見える形で広がっている。これは必ず大きなうねりになります」(本澤二郎氏=前出)
その時、国民は誰に希望を託せばいいのか? 小沢にまだまだ暴れてもらうしかない。そう感じている国民は少なくないのだが、新聞はそれを報じていない。
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