http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/423.html
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gikou89さんが投稿された「特集〜消費税増税は必要ない!経団連が消費税増税に賛成なもう一つの理由マネーガイドJP中小企業から大企業への所得移転」(http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/372.html)に関する第2弾である。
「マネーガイドJP」は、「この問題を解決する最善の方法は、消費税自体を廃止することです。消費税率が上がれば上がるほど、大企業の「益税」は増え、中小下請け企業の負担は増えていくのです。輸出戻し税の実態は、中小企業から大企業への所得移転なのですから、こんな馬鹿げた税制は即刻中止すべきなのです」と主張している。
消費税の廃止が日本を現状から脱却させる有力な政策であり、消費税増税を通じてグローバル企業に“利益”を供与することで、国際競争力の強化を図ったり、産業空洞化を抑制したりしようという考えは誤りだと考えている。
それゆえ、「マネーガイドJP」の「こんな馬鹿げた税制は即刻中止すべき」という主張に強く同意する。
その上で、「マネーガイドJP」は、輸出戻し税について、「お金の流れが正常であれば、別に誰も得したり損したりする訳ではない」と判断したため、輸出企業の「輸出戻し税」による益税が、下請け企業イジメに由来するかのような説明になっている。
そして、その延長線上の話として、下請け企業イジメがなくなれば、「輸出戻し税」による益税がなくなるかのような説明になっていることに疑義を呈したい。
阿修羅のコメント欄でも、消費税絡みで大企業の仕入れ先企業への過酷な仕打ちが取り上げられているのをいくつか拝見したので、両者の関係を考察することに意味があると思っている。
考察のポイントは、「消費税還付」を受けているグローバル企業は、消費税があることで仕入れ先企業(下請け企業)に厳しい取引条件を押し付けているのか、消費税がなくなればそのような状況は改善されるのかということである。
あくまでも消費税と仕入取引条件の関係をめぐる説明であり、中小企業納品企業や下請け企業が過酷な取引条件に苦しめられていることを否定する説明ではないことを、予めお断りさせていただく。
大企業と下請け企業の「二重構造」は、消費税(付加価値税)導入から以前から日本経済に存在する大きな問題であり、消費税導入及び増税後もその「二重構造」は解消されていない。
消費税制度の内実に照らしても、消費税を廃止したからといって、その「二重構造」が解消されるわけではいない。「二重構造」の解消は、別の政策で進められるべき課題だと考えている。
【引用】
「大企業では、往々にして下請け企業に負担を押しつけています。消費税分の5万円は、実は最初から下請け企業が自腹を切っている(T社は100万円しか部品代を払っていない)というケースが、非常に多いと言われています。もしそうであれば、輸出戻し税は大企業は労せずして儲かり、逆に中小企業は損をする、弱肉強食の制度に過ぎません。」
【コメント】
経済的力関係で優位に立つ大企業が、価格交渉で下請け及び中小の仕入れ先企業に厳しい条件を呑ませているのは事実であろう。
そして、それによって大企業が得る利益も確かに大きい。
しかし、だからといって、「輸出戻し税は大企業は労せずして儲かり、逆に中小企業は損をする、弱肉強食の制度」と言える関係があるとは認められない。
“下請けイジメ”は、大企業の全体の利益とは関係があっても、消費税制度とりわけ「輸出戻し税」とは関係がないのである。
(何より、「輸出戻し税」と呼ばれる「消費税還付金」を受け取るグローバル企業は、消費税を負担しているわけではないので、それに起因する“下請けイジメ”をする必要はない)
ということから、「この問題を解決する最善の方法は、消費税自体を廃止すること」とか、「消費税率が上がれば上がるほど、大企業の「益税」は増え、中小下請け企業の負担は増えていく」という見方に与することはできない。
(ややこしくなって申し訳ないが、別の理由で、「消費税率が上がれば上がるほど、大企業の「益税」は増え」ると考え、「こんな馬鹿げた税制は即刻中止すべき」と考えている。念のため...)
まず、「マネーガイドJP」が「輸出戻し税」で「中小企業は損をする」というのは、輸出企業は輸出により消費税の還付を受けているが、自社が納品したものが輸出された製品にも使われているはずなのに、自分のところには還付がないというレベルだろうと思う。
(これは、「マネーガイドJP」自身が語っている「お金の流れが正常であれば、別に誰も得したり損したりする訳ではない」ということで納得してもらうしかない。そして、怒りを、消費税廃止の実現に向けてもらいたい)
その実態を考えると、“輸出戻し税は、大企業(グローバル企業)にとって、下請け企業との交渉も不要なほど、労せずして儲かる制度”と言ったほうが的確なのである。
他の利益を捨象し「輸出戻し税」のみを考えるのなら、下請け企業の納品価格を切り下げることは、「輸出戻し税」の金額減少につながり“損”だからである。
簡単なケースで説明する。
設定:輸出企業の総売上1兆円(国内課税売上4千億円:輸出6千億円):消費税控除対象総仕入7千億円
消費税額を計算する。
消費税額:(4千億円×5/105−7千億円×5/105)=▲142億8千万円
消費税還付金: 142億8千万円
“下請けイジメ”で総仕入を6千7百億円(4.3%)切り下げたとすると、消費税額は、
消費税額:(4千億円×5/105−6千7百億円×5/105)=▲128億6千万円
消費税還付金:128億6千万円
「消費税還付金」自体は総仕入が少なくなることで減少する。
最終利益や法人税の問題を脇におくと、「輸出戻し税」=「消費税還付金」は、“下請けイジメ”をしたからといって得になるわけではないことがわかる。
“下請けイジメ”の損得は、消費税絡みではなく、営業的な利益に関するものである。
消費税引き後のマージンは、「総売上−総仕入−消費税額」である。
総仕入7千億円:1兆円−7千億円+142.8億円=3142.8億円
総仕入6千7百億円:1兆円−6千7百億円+128.6億円=3428.6億円
“下請けイジメ”で仕入を300億円減らしたことで、消費税を差し引いたマージンが285.8億円増加した。
“下請けイジメ”で得をするパターンは、
● 製造原価が抑えられることで同じマージン目標でも販売価格を低く設定できること
● 同じ販売価格であればマージンが増加すること
であり、「輸出戻し税」とは関係ない。
それはともかく、「輸出戻し税」を考慮した消費税税引き後のマージンの多寡で考えれば、“下請けイジメ”をしたほうが得であることは確かである。
※ 取引にかかわる部分のみ参照のため引用
【引用】
「輸出戻し税とは、企業の売り上げの内、外国への輸出では消費税は取れないので、その分の仕入れ原価に掛かる消費税分が国から還付される仕組みのことです。
例えば、自動車を作るT社では、自動車一台あたりの部品代仕入れ(下請け企業からの納入)が100万円、そして自動車の最終販売価格が300万円だとします。仕入れ、売り上げ共に消費税が掛かりますから、実際には仕入れ代金は105万円、売上代金は315万円となります。そしてT社は、下請け会社に105万円を支払い、自らは利益(売上と仕入れの差額200万円)の消費税に当たる10万円だけを納税します。そして下請け会社は5万円の消費税を納税します。これが、国内で自動車が販売された場合の、消費税納税の仕組みです(下図)。http://rh-guide.com/tokusyu/syohizei_usotuki2_2.html 」
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