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阿修羅投稿者の多くに、消費税が、納税額計算のみに着目して、法人税と同じ付加価値税であると一括りにして論じられている節がありましたので、消費税反対論を展開するにあたっての正確な消費税理論を構築して頂くためにも、消費税とは、本質的に、付加価値税とは性格を異にするものだということを知っていただきたいと思って以下を書きました。
消費税と、付加価値税である法人税との違いを書きます。
まず、税額を算出する上で基礎となる課税対象を意味する「課税標準」はあきらかに異なるものであることが法律においてもはっきりしております。
@法人税 / 内国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額とする。(法人税法21条) → 儲け(付加価値)
A消費税 / 課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする)とする。(消費税法28条1項) → 課税資産の譲渡(課税売上)
つまり税額計算上は、法人税額と消費税額、ともに基本は「課税標準×基本税率」となり、これで成立することになります。ですから法人税額を求めるには、売上から仕入を差引いた“儲け”(付加価値)に対して、課せられるものですが、消費税額を求めるには、課税資産の譲渡である売上のみに対して課せられるものです。
そして消費税計算において発生する控除対象仕入税額については、法人税額の特別控除などと同じように、次の段階の計算となり、最終的な納付税額を決定していくということになるのです。つまり“消費税額を求めた後”に、そこから控除対象仕入税額を求めたものを差引くという形で、納付税額を決定するというものです。
で はなぜ、控除対象仕入税額というものがあるのかということについては、消費税というものが、最終的に税を負担するのは、消費者(最終消費者)であることを意図したものだと考えられます。
これは、国税庁が、消費税の法令等に基づき「最終的に税を負担するのは消費者となります」と明言している(http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6101.htm)ことからも、それは、読み取れます。
次に、消費税と法人税において、税をどの段階で課すかという点から観てみます。
例えば、事業者が商品券、ビール券などの商品引換券を発行した場合、法人税については、その発行代金の“儲け”を計上する際は、原則その発行した時点で行うこととされております。しかし消費税については、発行行為そのものは、資産の譲渡とはみなされず、それを交付した相手先から収受する金品についても、資産の譲渡にかかる対価には該当しませんが、その後にその商品引換券と引き換えに物品の給付等をした時点において、課税売上として計上されるのです。
これは控除対象仕入についても同じ観点からの還付(控除)がなされております。例えば不動産会社が、建物などの商品を仕入れた場合、法人税においては、その商品が販売されるまで、その仕入れにかかる費用(損金)は、期をまたいで繰り越され、そしてそれを売上げた時点において、仕入れとして損金計上できることになります。しかし、消費税においては、その商品を購入した時点において、その仕入れ自体が“儲け”(付加価値)を生み出すかどうかに関わらず、控除対象仕入とみなされ、還付もしくは控除されるのです。
つまり、税をどの段階で課すかという観点からとらえると、法人税は、“儲け”(付加価値)に対して課されるものであり、消費税は消費そのものに課されるものであると、分類することができます。
それ以外にも法人税と消費税の違いについては、“儲け”(付加価値)に対して課されるものか、消費そのものに課されるものかの観点による相違点は、多く見られます。
例えば贈与についても、その一つでしょう。無償による資産譲渡を受けたときなどは、消費税の場合、「対価を得て」という消費税の観点から、それは課税対象外となりますが、法人税の場合は、受贈益として“儲け”があったものとみなし、所得計算に組み込まれます。
また、消費税特有の事例としては、売上に対して課税か課税対象外かを区分しなければならないということが存在しますが、法人税の場合は、売上高に計上されておれば特に問題とはなりません。
このように、納付税額の計算ベースだけを見れば、消費税も、法人税と同じ付加価値税と同じように看做されるかもしれませんが、その本質をみていけば、それが、付加価値税とは違う性質のものだということがわかるはずです。
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