http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/379.html
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最初に、タイトルとした消費税の仕組みに関するざっくりレベルの見解を提示せていただく。
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消費税は事業者が負担する。
そのため、事業者は、その負担をなんとか販売先に転嫁しようとする。小売段階では、消費税の負担を最終消費者に押し付けようとする。
しかし、消費税負担の転嫁は政府によって保証されたものではないから、経済状況などで転嫁の内実は大きく変わる。
消費税の負担を販売先に転嫁しきれない事業者は、利益や給与を含む諸経費を減らして消費税を納付することになる。
そのようななかで特異な存在は、「消費税還付金」を受け取っている事業者である。
「消費税還付金」を受け取っているという事実は、少なくとも消費税を負担していないことを意味する。
そのような事業者は、消費税の税率がアップされることで、謂われのない“利益”=「消費税還付金」をより多く受け取ることになる。
その“利益”は、他の事業者が稼いだ付加価値から納付された消費税を原資とする。 「消費税還付金」は、すなわち、他の事業者からの利益の移転である。
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この見解を補足するものとして、「[消費税をめぐる錯誤]日本は法治主義国家で自由主義経済社会:法律に違背する政府の説明に呪縛される増税反対派」(http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/360.html)のコメント欄に寄せていただいたコメントに回答するかたちで行わせていただく。
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05.のtrY2KTQMKcさん、こんばんは。
拙い投稿をお読みいただきありがとうございます。
【引用】
「「消費税が課されるのは、商品やサービスを販売している事業者ということになる。」
私の疑問は、よしんば消費税の負担が事業者であっても、事業者が、その税負担を消費者に押し付ける構図となっているのではないか?とすれば、消費税はまさに消費者への負担増となって生活圧迫の因となっていると思います。
何故、その構図を強調することが誤りであるのか?言い換えれば、消費税は事業者が負担することを強調することを通じてこそ、真の理解に達し得るというあっしらさんの論を咀嚼しかねています。」
【回答】
「消費税の負担が事業者であっても、事業者が、その税負担を消費者に押し付ける構図となっているのではないか?とすれば、消費税はまさに消費者への負担増となって生活圧迫の因となっている」という指摘には同意します。
違う点を二つだけあげます。
● 「その税負担を消費者に押し付ける構図」は「その税負担を消費者に押し付けようとする構図」だと思っています。
● 「消費税はまさに消費者への負担増」に加えるものとして、「一般的な事業を営み販売先(消費者を含む)に負担を押し付けきれない中小事業者の負担増」を提示します。
全体を表現すると、「事業者が、その税負担を消費者に押し付けようとする構図となっているのではないか?とすれば、消費税はまさに消費者への負担増や一般的な事業を営み販売先(消費者を含む)に負担を押し付けきれない中小事業者の負担増となって生活圧迫の因となっている」となります。
※ 今回は異なりますが、89年の導入時や97年の増税時のように、高所得者向けの所得税減税がセットになっているのなら、消費者一般ではなく、低中所得の消費者としたほうがいいと思っています。
97年の消費税増税は、消費税の負担増加分を消費者に押し付けられなかったからこそ、秋の金融危機につながり、日本経済を今なお続くデフレス状況に陥れたのです。
消費税の負担増加分を消費者や販売先に押し付けきれない事業者は、利益や給与などの経費を減らして消費税を納税するしかありません。そのことが、次のサイクルで需要減となって現れ、名目GDPを押し下げることになります。
続いて、「何故、その構図を強調することが誤りであるのか?言い換えれば、消費税は事業者が負担することを強調することを通じてこそ、真の理解に達し得るというあっしらさんの論を咀嚼しかねています」について:
まず、その構図(消費税の増税が消費者の生活を圧迫すること)を強調することが誤りだとは考えていません。その構図は、対策も示されない状況での消費税増税に対する異議申し立てとして有効だとも思っています。
しかし、その構図は、増税に対して有効であっても、負担が増加するわけではない消費税の存続そのものに反対する理由にはなりにくいと考えています。
また、「消費税は事業者が負担することを強調」しているわけではありません。それは、あくまでも事実の確認です。
消費税(増税)に反対であれ賛成であれ、事実は事実として認め合わなければ議論は噛み合いません。
事業者から消費者に押し付けられようとされるものは、消費税の負担に限っていません。
事務所の家賃、広告宣伝費、仕入原価、人件費、最終利益などのすべてが、消費者に押し付けられようとされます。そうでなければ、それらの支払いはできませんからね。
消費者に押し付けきれないときは、まず、最終利益がなくなり、次に広告宣伝費が減らされといった動きになるでしょう。
このような話は、消費税についてもまったく同じなのです。
消費税について言えるとしたら、事業者ではなく、国会や政府が物価の上昇要因(消費者の負担増)になるコストを持ち込んでいることでしょう。
しかし、消費税についてそう言えるのなら、法人税についても同じことが言えます。
法人税も、消費税と同じく付加価値から支払われるものですから、消費税についてそう言えるのなら、法人税の負担も、消費者に押し付けられていることになります。
であれば、「法人税はまさに消費者への負担増となって生活圧迫の因となっている」と言えます。これはこじつけではなく実際にもそうです。
但し、それができるのは、競争力に富んだ企業に限られるということです。それは同時に、消費税の転嫁ができやすい企業でもあります。
※ 物価の上昇要因であっても、可処分所得がそれ以上に増加にすれば、消費者の負担増にはなりません。また、今回のように法人税が減税されたからといって、それに見合って販売価格が下がるわけではありません。販売価格の引き下げは、自主的な判断ではなく、需要規模や競争など外的条件に対応して渋々行われるものだからです。法人税の減税は、最終税引き後利益の増加に貢献することになります。
消費税は、販売価格を構成する他の要素と切り分けてあれこれ言える性格のものではありません。消費税増税は販売価格を押し上げる要因ですが、もっと多く利益を得ようとするのも販売価格を押し上げる要因です。
内税制への移行で外見的にもそうなりましたが、消費者にとって、買い物で支払った金額は、対価として納得できるかどうかだけが問題です。その金額が、仕入原価にも満たないとか、最終利益を生み出すほどマージンが多いとか、消費税を負担しているのかなどは考える必要もなければ考えても仕方がないことなのです。支払総額に納得がいかなければ買わないだけの話です。
消費税は、いずれにしろ、購入した事業者が「売上にかかわる消費税−仕入にかかわる消費税」の計算で納付するものですから、売り場で負担(転嫁)のあれこれを考えても意味がありません。
「消費税はまさに消費者への負担増となって生活圧迫の因となっている」にとどまらない消費税に対する批判が必要だと考えている理由は、以下の通りです。
● 「消費税はまさに消費者への負担増となって生活圧迫の因」ですが、負担増に相当する給付があれば、その問題は解消するからです。
今回の消費税増税が実施される流れとなれば、財務省は97年消費税増税の失敗を認識していることから、公明党や民主党に強く主張させることで(財政危機を唱えている自分たちから言うわけにはいかない)、年金加算を含め低中所得者向け対策を大きく行うはずです。
公共事業の増大策も、事業者や従業者の所得増加を通じて消費税の打撃を緩和する働きをします。
来年の7月〜9月のあいだに二つの国政選挙がありますから、その対策(ある意味での買収(笑))の意味合いもあるので、来年の5月頃にはいろいろと見えてくるはずです。
それが、投票に行くような層の過半数にとって、消費税増税による負担増と相殺して経済的にメリットがあれば、消費税増税も受け容れられる可能性があります。
● 消費者の負担増を解消する給付を行っても決して解決できない問題が、数多くの事業者が生み出した付加価値が、「消費税還付金」によって、謂われもなく特定の事業者に移転されるというとんでもない歪みです。
これは、日本という国のかたちをどうするのかという根源的な問題にも関わってくることです。
消費税の負担増に耐えきれない一般商店は軒並み店じまいで、大型スーパーやショッピングモールだけが隆盛する。
農業も、青息吐息で後継者も事業継続に二の足を踏みかねない。
際だった技能はないが、こつこつと物作りに励んできたというような中小製造業は、消費税の負担増加で、給与を減らしたり、人を減らしたり、ひどい場合は会社をたたむことになりかねない。
● さらに、消費税の負担増は、それから逃れる方法の一つとして、直接雇用の従業員を派遣労働者に切り替えていく方向へと経営者の背中を押します。
その結果は、労働者総体の賃金減少(可処分所得の減少ないし将来の年金給付額の減少)です。
付加価値への課税は、付加価値を給与の原資としている勤労者の労働環境を徐々に悪化させていきます。
消費税の存在及び増税を通じて、有力企業の人事構造は、徐々に、直接雇用の幹部候補生&研究開発要員と製造現場に従事したり彼らをアシストしたりする派遣労働者という二層構造になっていくと考えています。
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