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小沢夫人の手紙
小沢夫人が浮き彫りにした剛腕の実像
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120701/plt1207010727002-n1.htm
2012.07.01 大前研一のニュース時評 夕刊フジ
「週刊文春」に載った小沢一郎夫人の“離縁状”は大きな衝撃だった。しかし、ほとんどの大手新聞やNHKがこの手紙について触れることはなかった。週刊誌の後追いなんかできるか、という記者の妙なプライドもあるのだろう。
おもしろいなと思ったのは、先週末になって日経新聞が「小沢夫人の手紙が各議員事務所に大量に送付されている」という書き方で報道したこと。こういう形で、やっと手紙の存在を明らかにした。
手紙によると、夫人が別居したのは小沢氏に隠し子がいたことが発端だが、昨年の大震災直後、放射能が怖くて地元・岩手に入らず、逃げ出したことが決定的になって別離を決意したとされている。
東京の水が汚染されているからと、料理や洗濯のときに水道水を避けようとしたとか、風評被害に苦しむ産地から送られた魚や野菜を破棄して鳥のエサにしたということまで書かれている。
ここに登場する小沢氏は、まさに我々が知る「小沢一郎」の実像だ。私には放射能を恐れた小沢氏の行動は実によくわかる。
小沢一郎という人は、米国に特別なパイプを持っていることが自慢なのだ。といっても、米国大使館の日本語が堪能な三等書記官クラスなのだが。
その米国大使館は震災直後に再臨界があると信じていた。大使館の機能も、東京から名古屋や大阪に避難させた。小沢氏はこういった情報を事前に米国から耳打ちされ、自分だけが持つ特別情報、ということで逃げ出したのだろう。
さらに、この人は、米国から言われたことを100%盲目的に信じるという特徴を持っている。
1991年の湾岸戦争の当時、自民党幹事長だった小沢氏は、クルド人難民支援を名目に、多国籍軍に対して合計130億ドル(当時のレートで約1兆8000億円)の支援をしているが、その期間中に円安が進行してドルベースで約束のカネがアメリカに届かなかった。この時も米国大使館の書記官に言われるままに「クルド人難民支援」という偽りの名目を作って5億ドルを差し出している。
小沢氏が米国の言うことに必要以上に追従するのは、親分の田中角栄元首相が米国の言うことを聞かず、インドネシアの石油利権などに手を出したため、ロッキード事件を仕掛けられて倒されたと思い込んでいるからだ。
しかし、米国から特別に情報を聞いて、自分だけが一目散に逃げ出したというのは、やはりみっともない。
小沢夫人は「郷里や日本の役に立つ人間かもしれない」とこれまで我慢していたが、大震災後の言動を機に、「こんな男に政治家が務まるのか」と離婚を決意したという。奥さん、それを言うなら20年前に言ってほしかったね、という気持ちだ。
「文春」というと、親分・田中角栄の金脈問題を月刊の「文芸春秋」が載せて退陣に追い込んだ歴史がある。今度は「週刊文春」によって子分のクビが切られる可能性も出てきた。
■ビジネス・ブレークスルー(スカイパーフェクTV!757チャンネル)の番組「大前研一ライブ」より
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