http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/360.html
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長いあいだ消費税問題に関する投稿を行っているので、すっかり諦めがついた最近はカリカリすることもないが、消費税制度に関する理解があまりにもグチャグチャな状況には少々めげてしまう。
消費税推進派は、消費税を維持し、消費税の税率をさらにアップしたいと考えているから、その目的を達成するために、もっともらしいウソやゴマカシを流布しても理に叶っている。(但し、政府や公的機関がそのようなウソヤゴマカシを流布するのは犯罪行為)
私にとって厄介なのは、消費税増税反対派の言動である。
消費税増税に反対していることはありがたいが、消費税の理解が消費税推進派的説明の枠内にとどまっていれば、足下をすくわれる局面も出てくる。
そのことは何より、消費税が1989年に導入されて25年になろうとしているが、税率アップはあっても、廃止に向かう気配さえないことでわかる。
今回の増税に反対する人たちのある割合が、近い将来の増税はダメでも、先々の増税なら認めるという姿勢を見せていることもその現れだと思う。
消費税増税への反対は当座の戦術としては必要かつ有効であっても、戦略は、消費税を廃止することでなければならない。
そのため、消費税増税への反対活動も、それを通じて、消費税の非を明確にするものでなければならない。
消費税は、法律などで明示することなく、国策でGDP=付加価値の分配を変える仕組みである。その結果、国家社会の在り様は大きく歪められてきた。
どれだけの国民がこのような事実を理解するようになるのかが、消費税増税の反対や消費税の廃絶に大きく関わると思っている。
昨日投稿した「海外配信問題:国内広告主への消費税課税の意味と論理:課税≠税負担増加の消費税構造:広告主への“利益供与”の可能性」(http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/312.html)へのコメントして、
「09. 2012年7月01日 00:41:13 : 7LjmKYLguU
ホント、投稿者は消費税を理解してないよね。それとも、消費者の負担増から目をそらすための工作ですか」
というものをいただいた。
私が消費税について何を理解していないのか、具体的な提示はなされていないので想像するしかないが、「消費者の負担増から目をそらすための工作」という文言から、消費税の増税が消費者の負担増加につながることを問題視していないことを指しているのだろうと推測する。
「消費者の負担増」問題についても、これまでの投稿で書いている。
消費税の負担や消費税の納付が財やサービスを売ってお金を得た事業者であるにしても、消費税及び消費税増税でより大きな負担を強いられるのは、消費者のなかでも低所得者であり、消費税の負担転嫁がもっとも厳しいと予測できる代替えが存在する(一般的な)ビジネスを行っている中小企業である。
そうであっても、消費税増税の問題が「消費者の負担増」であるのなら、政府が「消費者の負担増」を打ち消す政策を実施すれば“問題解消”である。
「簡素な給付」でも、年金加算でも、「給付付き税額控除」でも、消費税増税で増加すると見積もられた金額相当を低中所得者に補填すれば、消費税増税で起きる問題は解消することになってしまう。
今回の消費税増税は、先行させた法人税減税の“穴埋め”という要素はあるが、かつてのような高額所得者向け減税は付随していない。
「三党合意」で棚上げされたくらいだから、かっこうだけかもしれないが、所得税の最高税率を引き上げる政策も用意されている。
消費税増税の目的は財政健全化にあるわけではないので、歳出の増加も厭わないはずだ。
何より、「消費税の最終負担は消費者」論や「消費税は転嫁できる」論を少しでももっともらしいものと思わせるためには、GDPレベルで消費需要を増大させなければならない。
消費需要の規模が消費税増税前と同じであれば、「消費税の最終負担は消費者」や「消費税は転嫁できる」といったマヤカシの説明は“寝言”になってしまうだけではなく、日本経済が破滅的状況に陥ることになる。
「税負担+社会保険料負担」の増加金額=可処分所得減少が、所得移転なのか赤字財政支出なのかという方法論を問わず、政府により補填されなければ、輸出の飛躍的な増大がない限り、否応なく国民経済(名目GDP)は縮小していくことになる。
このことは、政府(統治機構の官僚)も消費税増税派の面々も十二分に承知である。財務省の官僚たちも、97年増税で失敗した轍を踏まないよう心しているはずだ。
公明党(創価学会)が「三党合意」の一翼にいることも含めて考えれば、消費税増税で打撃を受ける低中所得者の可処分所得実質減少を補填する政策が積極的に採られるだろう。
だからこそ、消費税の内実を理解しその問題点を明らかにしていかなければ、増税さえ潰すことができないとも考えている。
消費税増税の是非や消費税そのものの認否をめぐる議論は、最低限、消費税という税制の基本に関する共通認識がベースになければならないと考えている。
事実にかかわる基本認識を共有するなかで、消費税に賛成するも良し反対するも良しという状況が生まれなければならないと思っている。
少し前の対イラク戦争や日本のアジア太平洋戦争を顧みればわかるように、人々は、虚と実がないまぜになった情報を浴びるなかで、徐々に“虚の情報”に引きずられて戦意を高揚させていくものだ。
消費税制度も、その存続と増税をはかるため、法を遵守しなければならない政府が、法律の規定に反するウソやゴマカシの説明を(主要メディアとタッグを組んで)流布し、国民を自分たちのめざすほうに誘導するという犯罪的行為を続けている。
消費税に関心を寄せる人々には、できるだけ“虚の情報”を切り捨て、“実の情報”で理非を判断し、消費税の取り扱いに関する声を上げて欲しいと願っている。
その一助になればと思い、「海外配信問題:国内広告主への消費税課税の意味と論理」のコメント欄に寄せられた別のコメントを対象に、消費税という税制に説明を行いたい。
対象とさせていただくコメントは、「04. 2012年6月30日 20:46:06 : NqKKFdPfQo」である。
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【引用】
「消費税の話になるとこの輸出免税が分が還付になりけしからんという議論がいつも出てくるが、消費税はまさに消費税であり最終負担者は消費者であり、生産者たる企業は単に税金を預かっているだけの税金である。」
「消費税とは消費者にかかるもので、企業活動には原理上は中立的である。消費税を事業者にかかっている税金だ等と勘違いすると輸出免税を益税だと大騒ぎすることになるが、そもそも消費者に転嫁できない消費税を企業が負担するなどというのは消費税ではない。それをしたら、国内販売は消費者に転嫁できるが、輸出販売は企業が負担するなどというおかしな制度になってします。あくまでも消費税の負担者は「国内」の消費者であることをお忘れなく。」
【コメント】
日本は、法治主義国家です。
政府は、国会で成立した法律に基づいて統治活動(行政)を行わなければなりません。
それは、消費税の広告活動についても同じです。消費税の仕組みを人々に教える解説的な説明であっても、政府が主体となって発するのであれば、法律と合致していないものは犯罪です。
以前にもどなたかに回答を求めたことがありますが、消費税法のどこに、「最終負担者は消費者」とか、「生産者たる企業は単に税金を預かっているだけ」とか、「消費税とは消費者にかかるもの」といった規定があるのですか?
法律に規定があるというのなら、その条項をきちんと示してください。
消費税の負担者は、財やサービスを販売した事業者で、納税義務もその事業者です。(消費税法第4条及び第5条)
あなた(NqKKFdPfQoさん)の取引に関する説明は、消費税制度を日本に持ち込み根付かせるために、そうであるかのように錯覚させたり、そうなって欲しいと思う取引の流れとは言えても、消費税の課税論理には適合していないものです。
適合性は、せいぜいのところ、消費税で負担を強いられた事業者(企業)は、その負担を第三者に転嫁しようとするという見方の“別表現”という範囲でしかありません。
「最終負担者は消費者」といったようなことは、消費税の負担に限ったことではなく、仕入原価の負担、人件費の負担、家賃の負担などなどあらゆる負担について言えることです。
消費税の負担は、付加価値の獲得がなければ発生しませんから、何より優先的に転嫁しなければならないのは仕入原価の負担です。仕入原価の転嫁ができなければ消費税の負担はゼロです。
さらに、消費税法でいう仕入はより広い概念ですから、それらの転嫁(本体価格+負担したと主張できる消費税の合計について)が達成されなければ、消費税の“預かり”がどれほどあろうとも、消費税を納税する必要はありません。
これら原価や諸経費を販売先に転嫁する経済行為と、消費税の負担を販売先に転嫁する経済行為は、法規定的にも経済論理的にもまったく同じなのです。
別の言い方をすれば、政府が、個別事業者の原価や諸経費が誰かに転嫁されることを保証していないことと同じように、政府は、消費税の負担を誰かに転嫁できる保証なぞしていないのです。
日本は、東電など特殊な事業会社を別にすれば、自由競争を基礎にしている経済社会です。
消費税の「転嫁」や「最終消費者負担論」は、たばこ税のように小売価格が届け出制で再販規定まである税なら別ですが、消費税の転嫁は仕組みや権力行使で保証されていないのですから、虚しい“願望”でしかありません。
そのような“願望”は、企業の存続には利益が必要だから、利益の「最終負担者は消費者」だとか、「利益は消費者にかかるもの」と言うのと変わらないレベルの話なのです。
「利益の最終負担者は消費者」は経済論理的には間違いではありませんが、それがどの企業にも通用するのなら、倒産する企業なぞ発生しないことになります。
それと同じように、消費税の「最終負担者は消費者」というのも、消費者に転嫁できている事業者がいるとしても、保証のない掛け声でしかないのです。
あなたは、具体例として「仮にA社が自分の山から取れた鉱石を105円(税込)売るとする。A社は5円を預かることになる。次にB社をそれを仕入れて210円(税込)で最終消費者のC氏に売る。この場合は、B社はC氏から10円預かることになる」と、物として同一のある商品の流通過程に即して発生する消費税を順次説明されていますが、的確な説明ではありません。
説明に近い考え方として、会計処理で使われている「仮受消費税」や「仮払消費税」という仕訳方法があります。この仕訳方法も、消費税を区分けして管理するための便宜的概念でしかなく、たとえ伝票に消費税額の区分けが残っているとしても、取引を計算でそのように仕訳ができるというものでしかありません。
それは、伝票に消費税額がゼロ円と記載されている取引で、事業者が消費税を受け取れなかったからこの取引で消費税は発生しないと抗弁しても、課税当局が、その言い分を認め、その分の消費税を免除することがないことを考えればわかることです。
課税当局は、38万円の売上があれば、消費税として1万9千円を上乗せできなかったとしても(消費税ゼロと記載されていても)、38万円×5/105=1万8千円の消費税は発生すると説明するでしょう。
(現在は内税だからなおさらですが、私に言わせれば“違法”である行政指導があるとしても、消費税の転嫁を受け入れない事業者が罪に問われることはありません)
あなたが提示された取引を、消費税法及び消費税申告書の説明に則って説明すると、
「仮にA社が自分の山から取れた鉱石を105円(税込)売るとする。A社は売上にかかわる消費税として(105円×5/105)で5円が発生する。次にB社がそれを仕入れて210円(税込)で最終消費者のC氏に売る。この場合は、B社はC氏への売上で(210円×5/105)の10円が「売上にかかわる消費税」として算定される」
となります。
違いがわかりますか?
要は、売上で、消費税を預かっていようが預かってなかろうが関係がないということです。
とにかく、売上にかかわる消費税額として、「総額(税込)売上×税率/(税率+100)」で算定されるということなのです。
続いて、「実際の納付は、A社が自身で預かった分5円、B社はC氏から預かった10円からA社に預けた5円を引いた5円を納付し、合計10円が国等に入る」と説明されていますが、消費税における“仕入”の概念に照らすと、そうとは言えません。
ある事業者の納付する消費税がいくらになるかは、商品仕入原価・設備投資・事務用品・派遣労働者費用など、売上にかかわる消費税額から控除できる消費税を算定するための仕入総額が確定しないかぎり未定だからです。
ですから、これから説明する消費税のあれこれも、ある種の虚構(個別商品の仕入と売上が消費税を考えるすべてであるかのような)に基づく便宜的なものであることをご承知おきください。
「輸出戻し税」の正当性を説明したと思われる「今度は、A社が自分の山から取れた鉱石を105円(税込)売るとする。A社は5円を預かることになる。次にB社はそれを仕入れて200円で国外の最終消費者のC氏に輸出する。この場合は、B社は国外のC氏から10円預かることはできない。実際の納付は、A社が自身で預かった分5円を納付し、B社はA社に預けた5円を国等から返還してもらうことになる」も、あなたの思いは別として、詐欺的説明です。
結論を言えば、「B社はA社に預けた5円を国等から返還してもらうこと」なぞできないのです。
5円はB社がA社に支払ったとみなしてもらえる消費税額であっても、国にまったく支払っていない税金をB社が還付してもらうということなぞありえない詐欺のロジックだからです。
消費税は、A社が販売して得たお金に課されるものであり、B社の仕入に課されるものではありません。
消費税という名称もマヤカシですが、「仕入税」であるとの説明は、消費税推進派でさえさすがに行っていません。
納付すべき消費税額は、「売上にかかわる消費税」から「仕入にかかわる消費税」を控除した値です。
この算定方法は、「(売上−仕入)×税率/(税率+100)」と表現することができます。
なぜなら、「売上にかかわる消費税」から「仕入にかかわる消費税」を控除した値という文章表現を数式で表すと、「売上×税率/(税率+100)−仕入×税率/(税率+100)」になるからです。
数式としては、「(売上−仕入)×税率/(税率+100)」のほうがすっきりまとまったかたちと言えます。
これを文章表現にすると、「売上から仕入を控除した金額に消費税率を乗じた金額が納付すべき消費税」となります。
しかし、この式を前面に出すと、消費税=付加価値税であることが見えやすくなり、「仕入にかかわる消費税」がなくなってしまうことで、「還付金」(輸出戻し税)の正当化をはかる目的に利用することもできません。
本来なら、まったく同じ算定式でよりすっきりした表現である「(売上−仕入)×税率/(税率+100)」という規定を政府が意図的に避けているのも、「輸出戻し税」を正当に思わせるマヤカシ手法の一つなのです。
消費税が付加価値税であることを知らずB社に代わりA社が国庫に納めていると考える人はこのような主張はピンとこないかもしれませんが、A社に“預けた”5円が国庫に入る保証はないことは次の事例でもわかるはずです。
トヨタ自動車と新日鉄は、ともに消費税の還付を受けているグローバル企業です。(10年度の推定でトヨタ2246億円・新日鉄346億円)
そして、トヨタは新日鉄から自動車用薄型鋼板を大量に仕入れています。その仕入でトヨタが新日鉄に“預けた”消費税は、新日鉄も消費税還付を受けていることでわかるように国庫に入ることはありません。
消費税還付制度は、仕入れ先に消費税還付があるかなしかで調整するような仕組みにはなっていません。
輸出事業者が返還してもらって当然というもう一つの根拠は、「B社は国外のC氏から10円預かることはできない」ことだと推察します。
まず、貴殿が言われるように、消費税が「企業活動には原理上は中立的」なら、輸出でB社がC氏から“預かる”金額は10円ではなく5円です。
輸出は免税ですから、輸出売上200円に消費税は発生しません。ですから、A社からの仕入にかかわる消費税5円を輸出価格に上乗せすれば、消費税から中立になります。
先ほども説明しましたが、国内課税取引でも、売上の消費税は預かっているものではなく、「総額売上×5/105」で算定されるものです。
(B社は国外のC氏から10円(5円)を預かることはできない)というのは、輸出価格が国家により統制されているのなら言えますが、自由主義を基礎とした貿易ではそんなことは言えません。輸出業者が10円(5円でも)高く輸出することは大変だという話なら理解しますが..。
そのようなことが言えるのなら、“B社は国外のC氏からこれまでよりも10円(5円)多くマージンを得ることはできない”ことになります。
消費税分であろう、仕入原価分であろうが、最終利益分であろうが、支払う側にとっては関係のない話です。
空港などにある免税店は、タバコを市中より安く売っていますが、市中よりマージンが少ないわけではありません。タックスフリーではあっても、ベネフィットフリーではないからです。
マージン=消費税の課税ベースは、販売(輸出)価格が同じでも仕入原価が下がれば増加し、仕入原価が同じでも販売(輸出)価格が上がれば増加するものです。そして、消費税の税率が上がれば、他の条件が同じとして、消費税の負担増加でマージンは減少します。
ドル建ての輸出であれば、円安になれば、それに応じて円ベースのマージンが増加します。(80円が85円になれば、消費税率5%を超える6.2%のマージン増加)
日本の貿易は、管理貿易でも統制貿易でもありません。輸出でいくらのマージンを稼ぐかは、輸出事業者の腕次第なのです。
「B社は国外のC氏から10円預かることはできない」という理由で還付を受けるとしたら、B社が国外のC氏との取引でそれまでより10円(5円)多くマージンを得た場合、消費税の還付を中止しなければ筋が通らなくなります。
そんな管理をしないのが自由主義経済であり、それをサポートするのが簡素な税制なのです。
貴殿のような消費税制度に関する説明は、マージンの取り方にまで首を突っ込むような統制経済ならともかく、儲かるのも損をするのも勝手という自由主義経済では虚構でしかないのです。(但し、安売りについては、輸出も国内販売も様々な規制があります)
“B社は国外のC氏からこれまでよりも5円多くマージンを得る”に似た話は、消費税絡みで実際に追求されているものです。
住宅賃貸事業者は、法律の規定で、家賃に消費税を上乗せすることができません。
しかし、建設費や修繕費などの仕入は課税取引なので、消費税が転嫁されているとみなすことができます。
消費税の導入や税率アップでその負担が増加した場合、賃貸事業者は、消費税ではなく、個別の家賃そのものに、仕入にかかわる消費税額を振り分けるかたちで引き上げようとするはずです。
このご時世ですから、その実現はなかなか厳しい道です。
ともかく、消費税の負担(納付)は、仕入原価と同じように、販売にかかわるコストの一部と考えるべきものなのです。
消費税がない場合、仕入原価100円の商品を150円で販売すると50円のマージンを得ることができます。
5%の消費税が存在するのなら、同じ50円のマージンを得るためにどういう価格設定をしなければならないかという問題になります。
仕入原価として105円支払い、販売価格を158円にすると、消費税処理前のマージンは53円です。消費税額は(158円×5/105)−(105円×5/105)=2円ですから、消費税処理後のマージンは51円になります。
どうしても、仕入原価105円を値切ることができず、販売価格も158円に上げることができない状況になったら、国家の徴税が優先ですから、事業者はマージンを減らすことになります。
消費税が10%にアップされた場合も同じ考え方です。
仕入原価として110円を支払い、販売価格を165円にすると、消費税処理前のマージンは55円です。消費税額は(165円×10/110)−(110×10/110)=5円ですから、消費税処理後のマージンは50円です。
同じ商品を輸出して50円のマージンを得るためには、消費税10%のとき、次のように値決めをしなければならないのです。
その値決め方法こそ自由主義経済にふさわしいもので、「輸出戻し税」という詐欺に代わるものでなければならないものです。
むろん、消費税そのものを廃止し、別の税制で補う選択もあります。消費税を「小売売上税」に変更するだけで、「輸出戻し税」問題は解消され、消費者が負担したと考えられる額のほとんどが国庫や地方自体の金庫に入るようにもなります。
輸出は免税ですから、仕入原価に110円を支払うと、50円のマージンを得るための輸出価格は160円です。
国内課税取引よりも5円安い価格で輸出することで、同じ50円のマージンを得ることができます。
輸出価格160円を構成するものは、「仕入原価110円(これを本体100円・消費税10円に分けるのは自由)+マージン50円」です。
国内販売価格165円を構成するものは、「仕入原価110円(これを本体100円・消費税10円に分けるのは自由)+消費税負担額5円+マージン50円」となります。
消費税の負担はコストの一部ですから、消費税が課されている商品のほうが課されていない商品よりもマージンが多いと決まっているわけではありません。
自由主義経済は、特殊な事業者を除き、仕入原価に上乗せするマージンに“制限”や“規定”はないからです。
ここまでの説明で、消費税の「最終負担者は消費者」とか、「生産者たる企業は単に税金を預かっているだけ」とか、「消費税とは消費者にかかるもの」といったお考えを保持し続けるのであれば、私自身の説明能力の不足を恥じ入るしかありません。
説明で不明の点はコメント欄に質問をお寄せいただければ幸いです。
※ 参照していただきたい関連投稿
「A:消費税増税法案をめぐる政局:「小泉改革」を超える“日本破壊政策”が「野田改革」:小沢判決との関連」
http://www.asyura2.com/12/senkyo128/msg/903.html
「B:消費税(付加価値税)と経済成長:デフレ下での消費税増税はその破壊力を生々しく実証する“経済学的社会実験”」
http://www.asyura2.com/12/senkyo128/msg/905.html
「C:消費税増税は「社会保障の維持」とは無関係:竹中平蔵氏「社会保障のためなら高中所得者対象の所得税増税以外にない」」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/194.html
「D:「財政再建」に寄与せず逆に足を引っ張る消費税増税の論理:フロー課税の連関性だけで見えてくる消費税増税の結末」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/198.html
「E:消費税増税の目的は、「社会保障」や「財政再建」ではなく、「国際競争力の回復」である:付加価値税と“国際関係”」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/400.html
「消費税シリーズ番外編:「輸出戻し税」妥当説の妥当性を簡単に説明」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/466.html
「消費税シリーズ番外編:消費税と法人税は基本的に同じ税金:消費税と法人税の転嫁について」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/504.html
「EkRMugNzZkさんへの質問:「消費税還付」は“坊主丸儲け”!?:消費税還付金の会計処理について」
http://www.asyura2.com/12/senkyo129/msg/523.html
「消費税増税法案だけを急ぎ成立させようとする大政党の動きに“待った”ではなく称賛を贈る主要メディアの倒錯ぶり」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/566.html
[消費税を考える]軽減税率:新聞に軽減税率が適用されると購読料は値下げ?それとも...
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/634.html
[消費税を考える]負担問題:消費税は、消費者も仕入事業者も負担する必要なぞまったくない税金
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/646.html
「もう少し冷静にしっかり考えようよ。」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/668.html
「「増税の前にやるべきことがある」というスローガンの危うさ」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/675.html
「消費税とは?賛否はさておき、その認識の共有が出発点:「消費税とは」「利払いと消費税」「輸出戻し税」など独歩さんへの回答」
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「国税局と追徴課税でもめているアマゾン(Amazon.co.jp)は消費税の申告・納付をしているのか?」
http://www.asyura2.com/12/senkyo131/msg/745.html
「ネット配信、消費増税なら外国勢有利 各社、募る不公平感 「国外取引」も課税求める」
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「新設されそうな「社会保障制度改革国民会議」のメンバーになる可能性が高い吉川洋東大教授の妄言」
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/188.html
「「財政危機」論のマヤカシ:消費税増税法案の“上がり”が見えた途端、民主党も自民党も、選挙対策を含む“放漫財政”へまっしぐ」
http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/232.html
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