http://www.asyura2.com/12/senkyo132/msg/232.html
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阿修羅においても今なお、日本は社会保障や財政を維持するために増税が必要と書いている人を散見する。
しかし、消費税廃止や所得税累進性強化などを通じた税収構造の変更は必要であっても、今のところ、増収をめざす増税はまったく必要ない。
今回の「三党合意」のえげつなさは、今年度から実施予定の所得税最高税率引き上げや相続税課税ベース拡大という、増収であるとともに税収構造の変更にもつながる肝心な政策を棚上げにし、2年弱先に実施する消費税の増税だけを先走って決めた経緯に象徴されている。
耳のなかで自己増殖しそうなほど聞かされてきた増税の必要性=「財政危機」は、消費税の税率を引き上げるための“理屈”や“言い訳”でしかなく、言っている当の官僚や政治家そして学者さえ、すべてが本気でそう思っているわけではない。
(ものごとをしっかり考えていない政治家や学者そして記者などには本気でそう思い込んでいる人もいるだろう)
■ 財政危機論のマヤカシ
政府の債務残高が1千兆円に達しているとか、将来の社会保障を賄うための財源がないなどと騒がれているが、それらは、現在の単年度の財政問題とは基本的に関係がない問題である。
財政は、国民経済の現在の活動状況にかかわる問題であり、過去に積み上がった債務や将来起こるかも知れない財政要因(過剰財政赤字)インフレは、今年や来年の財政政策をどうするかという課題にとってほとんど意味を持たない。
経済論理から言えば、現在の経済状況に応じて、名目GDPがプラスなのに実質GDPはマイナスという過度なインフレであれば財政支出を抑制し、デフレ基調であれば財政支出を拡大するという単年度の財政政策が必要なだけである。
膨大な累積債務も、この観点、すなわち、今年の債務履行が現実の経済にどのような影響を与えるかということが問題になるだけなのである。
● 将来に備える増税という錯誤
徴税権と通貨発行権を有する国家は、家庭や企業と違い、将来を心配して、“貯蓄”や“内部留保”に励んでも意味がない。
政治国家の統治機構である政府は、経済社会の現状を把握し、先走りすることなく、本当の意味で財源が不足するときに増税・増収に踏み切ればいいのである。
逆に、将来を危惧して、今の経済社会から必要のないお金を吸い上げることこそ、供給力の低下をわざわざ手前に引き寄せてしまう愚策なのである。
このままいけば日本もやがて陥る可能性がある供給力低下によって引き起こされる悪性インフレは、そのような事態を招来しない政策こそが求められるのであって、税や保険料を先取りしたからといって、防げるわけでも、悪性インフレ時に役に立つわけでもない。
(年金問題も、その視点が抜け落ちて論議されているが別の機会で..)
このようなことは、少し考えるとわかってくる論理である。
高度経済成長期に起こる固定資本形成及び輸出の増加に伴う良性インフレと違い、供給不足と“放漫財政”から生ずる悪性インフレは、供給の増加以上に需要が増加する、すなわち、供給不足で起きる経済事象である。
供給不足と言っても物の供給が不足しているという意味ではなく、供給活動に投じられるお金が不足しているということである。
より具体的に言えば、その国民経済を基盤としている国民すべてが一定水準以上で生活できる量の供給活動が行われていないということである。
(お金ベースの話なので、総労働時間とか就業率といった問題ではない。供給活動に投じられたお金で、国民全体がある水準以上の生活をするのに必要な物資やサービスが購入できるかどうかという問題である)
年金生活者や失業保険受給者そして生活保護受給者が増えるということは、供給が減少する一方で需要が増加する典型的な悪性インフレ・ポテンシャルの増大状況である。
(現状の日本では、悪性インフレの発現が、賃金切り下げと輸出増加で抑え込まれていると言うことができる。良い表現を使えば、生産性の上昇で乗り越えているということだ)
供給増加<需要増加になることでインフレが亢進する状況では、お金の積み立てがあっても意味がない。
積み立てたお金であろうが、日銀が新しく発行したお金であろうが、供給活動に裏打ちされたお金ではないことに変わりはないからである。
国家はお金を積み立てる必要がないというのは、この意味に依る。積み立てやお金が役に立つ状況なら、政府債務のかたちをとるにしろ、日銀が新しく発行したお金も同じように役に立つということだ。
もっと生々しい説明をすれば、今なら、1千億円で、自動車工場を新規に造ったり海外で天然ガス権益を入手できるとして、悪性インフレになれば、1000億円で自動車工場の組み立てロボット数台しか買えなくなる。財源不足になる将来に備えて積み立てるという政策は、お金を時機に応じて有効に使うのではなく、腐らせてしまう愚かな考えなのである。
(財務省官僚は、いやちがう、積み立てのフリをして、時機に応じて有効に使っているのだからご安心を、というだろうが(笑))
お金に囚われた考え方をしているために、貯蓄や積み立てに意味があるように思えるだけで、国家社会は、貯蓄や積み立てができない、すなわち、とっておくことなぞできない生の供給活動力に支えられているのである。
供給活動力は、供給と需要が表裏一体となったものであり、貨幣経済社会という呼称の真髄でもある。
輸出のための供給活動や固定資本形成のための供給活動は、本来、一致するはずの「供給=需要」を崩し「供給<需要」という状況をつくり出し、消費者物価を押し上げる働きをする。これが、利潤の源泉であり、経済成長の牽引力でもある。
(外貨の積み立ては、輸入決済に使うことで供給量を増加させ、インフレを抑制することができる。円も国際交換性があるから、輸入に使うことができるが、そのために円貨の供給を増やすことは日本経済のインフレ亢進要因になるのであまり意味がない。悪性インフレは円安要因だから、悪循環に陥る)
● 累積債務という亡霊(ゴミ)に怯える愚
過去の財政政策で澱んだ累積債務は、中央銀行との連携で、現在進行形の経済社会に負担をかけないかたちでゆっくり処理をしていけばいい。
これまで積み上げてきた政府債務は、過去に有効需要の創出のために使ってしまった“ゴミ”の集積であり、その利払いと償還のみが、現実の経済社会に影響を与える問題となる。
仮にではあるが、利払いと償還のお金がすべて日銀の金庫に入るのなら、そのお金が経済社会に流れ込んでどれくらいの需要になるのかという問題は、日銀の金融政策次第である。供給と需要のバランスで需要過多であれば、金融引き締め策を採ればよい。
年金特別会計などの政府機関に“返済”されるお金も、財政政策のコントロール下にある。
ゆうちょ銀行や生保などを含む金融機関への“返済”が及ぼす影響も、詰まるところ、預貯金者の預貯金取り崩し問題であり、それまでの運用先が国債であったかどうかは関係ない。人々が預貯金を焦って取り崩すほどの悪性インフレにしないことが重要である。
このように、たとえ1千兆円に達するものであっても、過去の債務は、その返済(債務履行)に伴うお金が、現在進行形の経済活動の場に需要としてどれくらい立ち現れるかということでしか問題にならない。
返済されたお金が“過剰”に使われることはインフレ要因だが、それが問題になる経済状況であれば、徴税を含む財政政策や金融政策でいかようにも調整することができる。
逆に、減税や支援金給付はどうせ預貯金に回るからデフレ脱却や経済成長に貢献しないという意見にもかかわることだが、政府債務を返済したお金が投資を含む需要に回らず預貯金の増加につながる状況なら、それ自体はインフレ抑制に働くものだから、財政・金融政策を拡張的に進める自由度・余白を得たことを意味する。
■ 消費税増税一丁上がりで“放漫財政”に走る民主党と自民党
だらだらと“財政危機”問題について書いてきたが、それは、昨日(27日)の日経新聞に、「自民党は復興投資を軸にした「国土強靱(じん)化基本法案」をまとめ、3年間で15兆円の集中投資を掲げる。民主党の前原誠司政調会長も今秋に景気対策を盛り込んだ補正予算案を編成する考えを表明した」という記事が載っていたからである。
笑えると言えば笑える話なのだが、その記事の見出しは、「財政健全化、まず一歩 消費増税 衆院を通過 収支均衡、なお遠く 給付抑制策、置き去りに 」というものである。
見出しだけ読んで記事内容を推測する人は、とてもじゃないが、終わりのほうに、民主党と自民党が揃って“放漫財政”に踏み切るという話が書かれているとは思わないだろう。
(日経新聞らしいと言えばらしいのは、“放漫財政”の動きがわかっているのに、見出しで問題にしているのが「給付抑制策、置き去りに」と、人々への給付を抑え込むことを主張していることだ)
社会保障の財源確保や財政健全化のために消費税の増税が必要と聞かされてきた国民は、記事のような話を聞けば、何がどうなっているのかさっぱりわからないだろう。
国民の多くは、統治者から徹底的にバカにされダマされているのである。
ここ数日の政局がらみの投稿のコメント欄を通じてやり取りしたなかでも書いたが、財政危機だから消費税増税が必要と言っている政府・与党が、この3年間どのような財政政策を採ってきたかを確認すれば、「財政危機」という煽りが真っ赤なウソであることがよくわかるはずである。
今なお、自身のブログで財政危機と消費税増税を結びつけて、マニフェスト破りの消費税増税が正当な政策であると語り、反対する小沢氏を批判している菅前首相は、大嘘つきか経済論理的思考力欠如のいずれかである。
リーマン・ショック後の09年以降の財政は、それまでの財政とは比べものにならないほど“放漫”が進んでいる。そうはいっても、消費税増税を実現するための策なのか、一般勤労者世帯にばらまいているわけではないから、一般国民は“放漫”ぶりにピンとこないかもしれない。
09年はリーマン・ショック後の不況対策ということも重なり20兆円ほど増えているが、10年以降も、景気対策と震災復興を除いた数字で、08年まで81〜85兆円だった一般会計支出が93〜95兆円にまで膨らんでいる。
社会保障費の自然増とされるのは1兆円ほどだから、その10倍にあたる10兆円も、「財政危機」のなかで歳出レベルが増大していることになる。
このため、各地の地方自治体では、消化しきれない予算の繰り越しが08年度以降の3年間でおよそ13兆円5千億円(1年平均で4兆5千億円)にも達している。
1年で4兆5千億円と言えば、消費税1.8%の税収に相当するお金である。今回合わせて5%の税率アップの36%にも相当する。
このような“放漫財政”を行いながら、低中所得者支援や社会保障の充実に向けることは避け、財政危機だ!社会保障が危ない!と煽って、消費税の増税を求めてきたのである。
唯一のバラマキとも言える子ども手当も、子ども手当の当初分(半額)2.5兆円は所得税の扶養関連控除廃止でチャラだから、実質的にはなきに等しい。
詳細は別に投稿するつもりだが、09年からの“放漫財政”は、メガバンクを中心とした金融機関に対する救済策として実施されているものである。
02年から08年夏まで続いた“異常円安好景気”で、優良企業のバランスシートは飛躍的に改善され(借入金の前倒し返済)、内部留保も膨らんだ。このため、内部留保を預かる銀行は、預金残高が増える一方で貸出残高は減少していくという厳しい資金運用状況に置かれるようになった。
現在、銀行の預貸率は70%ほどにまで下がっている。預貸率は、03年以降急速な低下を続けてきた。
銀行の預金残高と貸出残高を00年から11年までのグラフで並べると、右向きで大きく開いたワニの口になる。とりわけ、リーマン・ショックが起きた08年以降は口が一段と大きく開いている。
国債発行の増大は、そのワニの口に投げ込むためのエサなのである。
銀行の国債保有残高は、08年の70兆円レベルから、今では170兆円レベルまで急上昇している。
さすがに開いた口いっぱいの国債(公的貸し付け)を発行するわけにはいかないので、日銀当座預金も積み上がる。その日銀当座預金も、なかなかおいしい存在に変容し、それでも十分といえるような状況になっている。というのも、最近の10年物国債0.8%という利率は、日銀当座預金口座に法定準備率を超えて預けていることで受け取る利子と同じ水準だからである。
国債も極めて流動性と安全性が高いが、それを上回る流動性と安全性を誇る日銀当座預金で同じ収益を上げることができるという異様な金融状況になっている。
資金の運用難に苦しむ銀行に利益を供与する手段が国債の発行なのである。12年3月期のメガバンクは、国債関連で1兆5千億円もの利益を上げている。
グローバル企業に利益を供与するために消費税の税率をなんとしても引き上げたいと考えている支配層は、そのような目的で国債の発行が増えていることなぞおくびにも出さず、まるで歳入不足のために国債発行が増加(財政赤字が増大)しているかのように国民を錯誤させてきた。
消費税税率はグローバル企業への利益供与、国債発行増加は金融機関への利益供与というのが内実である。
これらについては、国家が付加価値(所得)の分配を歪める社会主義的ないし統制経済的政策であるとの観点から糾弾し反対している。
しかしそれでも、それが、現在の世界において、日本経済が高成長とは言わないまでも確実な成長を続けるために必要で、それを通じて、国民も先進国にふさわしい生活条件が保証されるというのなら渋々認めてもいいとさえ思っている。
詳しくは説明しないが、「供給=需要」という考えから、企業と人々(国民)を分離もしくは敵対的に分ける立場を採らないからである。
政局がらみの投稿でも書いたが、消費税増税を実現するための“言い訳”として使ってきた「財政危機」は、消費税増税法案の成立が見えてき今、次の消費税税率アップまでは神棚の奥にしまわれることになる。
(グローバル企業の税制的国際競争条件をドイツ並みに近づけるため、2、3年後にはまたぞろ「消費税増税」が政策課題として浮上してくるはずだ。「財政危機」という言葉とともに)
「三党」のこれからの1年は、強行的な消費税増税で不興を買った国民(有権者)を宥め、人気を挽回するために、バラマキ政策をぶち上げる期間である。
参議院選挙は来年7月、総選挙も、遅くとも来年9月までには実施される。これから1年かけて行う有権者の支持を回復するための政策は、参議院選挙・総選挙を串刺しで勝利する一石二鳥をめざして推進される。
消費税増税推進派は、なんとしても政権を維持したい。だからこそ、焦って、解散・総選挙は行わない。政局の主導権は首相がいる消費税増税推進派にあるのだから、国政選挙のスケジュールに合わせて、勝利を確実にする手立てを次々に繰り出すだろう。
添付する「一体改革、具体策後回し」という関連記事には、「自民党からは「住民税非課税世帯の約3100万人に1万円ずつ」(茂木敏充政調会長)との意見が出ている。財源は約3100億円で政府・民主党が描くイメージも近い。ただ公明党は「しっかりとした措置」(斉藤鉄夫幹事長代行)を求めており、兆円単位の財源が必要との見方もある」と書かれている。
選挙対策という観点と後述する理屈から、低中所得者向け“対策”は、兆円オーダーに達すると見ている。
消費税増税と財政との関係を少し考えてみる。
消費税5%の増税で13.5兆円の増収だと見積もられているが、現状の消費税税収に照らすと12.5兆円ほどの増収であろう。
それに対し、マイナス(減収及び消費税増に伴う歳出増)は、消費税増税に伴う法人税減収(3.1兆円)、消費税増税に伴う政府部門支出の転嫁分(1.5兆円)、「消費税増税対策費」(1.8兆円+1兆円?)と7.4兆円に達する。
企業経営への打撃や給与水準の低下といった複雑な経済変動を抜きにした算術だけで、消費税増税に伴う増収見込み額9.5兆円(国税)のおよそ78%が消えてしまうのである。
算術だけで、消費税の税率を2倍にして得られる実質的な増収は、2.1兆円しかないのである。どのみち、消費税増税は、増収が目的ではないのだから、それでもいいということなのだが...
(これに、先ほど紹介した、地方自治体の未消化予算、3年間でおよそ13兆円5千億円(1年平均で4兆5千億円)を加えて考慮すると、財政や社会保障のためになら、消費税の税率を引き上げる必要性も意味もないことがわかるはずだ)
社会保障政策抜きで一方的に消費税増税だけを成立させるというとんでもない手法を使っているからこそ、話だけは消費税増税分が財源というかたちで、一般国民向けに財政支出を増加させる必要がある。また、それを華やかに打ち上げることができれば、逆ショック療法で、無理強いだった消費税増税についても、国民の追認を得られる可能性がある。
消費税増税は14年度からだが、「“国民生活が第一”という考えから、来年からの消費税増税を先取りして国民福祉の向上をはかる」と言えば、国民の一定部分は、“差し引きで少ししか利益はないが、消費税増税のおかげだ”と思うかもしれない。
このような政策を打ち出しても非難する人は少ないだろう。消費税増税の目的は、社会保障の充実なのだから、その種の財政支出に文句を付ける人はあまりいないと思われる。 私も、消費税財源論は否定するが、政治的思惑であっても低所得者向け財政支出の増加は渋々ながら認める。
やるなと言いたいわけではないが、社会保障を含むこのバラマキも、一般国民のためにだけ実施するわけではない。
低中所得者向け支援策を実施しなければ、税率を2倍も引き上げる消費税はうまく回らなくなり、企業収益はズタボロになり、日本経済は崩壊の淵に立たされることになるから実施するのである。
それをそう説明せず、「消費税増税を原資として国民福祉を向上させる」と説明することで支持の拡大を図るわけだ。
消費税増収12.5兆円に加え、肝心要のグローバル企業への利益供与(「輸出戻し税」)が3兆円(現行分を合わせると6兆円)ほど発生すると見込まれる。
ということは、合わせて15.5兆円以上の財政的バラマキをしなければ、販売数量を確保したかたちでの消費税増税による負担増加を転嫁することはできないことを意味する。
言い換えれば、消費税税収はGDPにプラスされるので、名目GDPが消費税増税要因で15.5兆円ほど増加しなければ、消費税増税が日本経済を奈落へと引きずり込むことになる。
消費税増税反対派は、このような消費税増税推進派の動きを見据えながら、消費税増税を潰すための多数派形成をしなければならない。
小沢氏Gや亀井氏、そして、みんなの党・共産党・社民党は、日本経済への打撃や低所得者困窮化という問題をベースにしながらも、それを超えて、なんのために消費税増税が強行されたのかという問題を国民に明らかにしていかなければ、次の総選挙で多数派を形成することはできないと考えている。
消費税導入から与党中枢におり、細川政権時代に「国民福祉税」も仕掛けた小沢氏は、消費税の内実を知っているはずである。
小沢氏は、自分がトリックスターではないというのなら、“財政の真実”、“消費税の内実”を国民にしっかり説明しなければならない。
ただでさえ過酷な戦いなのに、それらを隠したまま、ただ「増税の前にやるべきことがある」では、消費税増税を潰すことはできないと断ずる。
消費税増税をめぐる対立は、これからの日本の在り様をめぐる対立でもあると考えている。
最後に蛇足にはなるが、衆議院での採決前にいくつか政局絡みで投稿をしたので、その締めくくりとして、「気をつけよう、メディアのマッチポンプに」と言いたい。
腐敗臭を漂わせている主要メディアは、挑発するかのように、勝手に、「小沢は離党!離党!」と煽っている。
“造反”の処分が出たあとも小沢Gが離党しなければ、小沢氏は、信念がない、決断力がなく優柔不安、新党を期待する国民への裏切り、嘘つきなど、あらぬことを言い募って叩きまくると思われるからだ(笑)
小沢問題で主要メディアが言うことには裏があるというのは、これまでの履歴で十二分にわかっているはずである。
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財政健全化、まず一歩 消費増税 衆院を通過 収支均衡、なお遠く 給付抑制策、置き去りに [日経新聞]
消費増税関連法案が26日、衆院を通過し、消費税率の引き上げへ大きく前進した。財政の健全化への一歩だが、社会保障を安定させる抜本的な対策は置き去りとなった。増税の環境を整えるための景気対策など歳出増加の圧力も忍び寄る。「際限のない増税」に陥る懸念は消えない。本当の改革が求められるのは、これからだ。
「目標に向かって大きく前進したことは事実」。安住淳財務相は衆院採決後の記者会見で、こう胸を張った。ギリシャやスペインなど南欧の債務国問題が世界の金融市場を揺るがすなかで、「(対策を決められない)欧州の政治状況と比べれば、日本の政治は言ったことを行動に移している」。
法案通り2014年4月の税率引き上げが実現すれば、1997年4月以来、17年ぶりだ。急速に進む少子高齢化で現役世代や若い世代が背負う年金や医療の負担はどんどん重くなる。消費増税は財政の健全化と社会保障の安定を両立させるための確かな一歩となる。
増加続く負担
財政健全化への道のりは遠い。政府は名目国内総生産(GDP)に対する基礎的財政収支(PB)の赤字を20年度に黒字にする目標を掲げる。内閣府の1月時点の試算では、消費税率を10%まで引き上げたとしても収支均衡のメドは立たない。すべて消費税で賄おうとすると、税率を16%まで引き上げる必要がある。
社会保障と税の一体改革と銘打ちながら、社会保障改革の多くは先送りされた。野田首相は26日の記者会見で「社会保障を持続可能なものにする」と訴えたが「増税先行」の批判は絶えない。
厚生労働省の推計によると、社会保障の給付を賄うための税金と保険料の負担総額は25年度で146.2兆円。高齢化に伴い今年度よりも45兆円、4割以上も増える計算になる。給付抑制は待ったなしだが、効率化の視点は置き去りにされた。
たとえば当初の政府案は高所得層の年金減額と低所得層への年金加算をセットで盛り込んでいたが、民主・自民・公明の3党協議を経て低所得層への給付は残す一方、高所得層の減額だけが削除された。医療では、本来2割である70〜74歳の自己負担を毎年1割に抑える予算措置をやめるメドが立たない。
安定した社会保障の仕組みをどう築くのかという課題も残る。現行の年金制度は国民年金保険料の未納率が4割を超え、持続性に疑問の声が出ている。民主党は政権公約に「最低保障年金の創設」など抜本改革案を掲げたが、その扱いは新設する「社会保障制度改革国民会議」に棚上げした。
歳出増へ圧力
歳出増の圧力も強まりつつある。自民党と公明党は景気対策の必要性を主張し、消費増税法案の付則に成長戦略や防災分野に投資する方針を盛り込んだ。自民党は復興投資を軸にした「国土強靱(じん)化基本法案」をまとめ、3年間で15兆円の集中投資を掲げる。民主党の前原誠司政調会長も今秋に景気対策を盛り込んだ補正予算案を編成する考えを表明した。
消費増税の実現に向けて財政出動で無理して景気を押し上げようとすれば、肝心の財政健全化が遠ざかりかねない。社会保障の効率化も置き去りのままでは「際限なき増税」が日本経済の活力をむしばむ。規制改革をテコに成長戦略を描く必要がある。日本経済の実力をどう高め、将来にわたって安定した社会保障の仕組みと財政の構造をどう築くか。急がなくては手遅れになる。
(経済部 大塚節雄)
一体改革、具体策後回し
社会保障と税の一体改革の関連法案では、消費増税で負担感が増す低所得層への対策や、子育て支援の財源など与野党にとって重要な課題の結論を軒並み先送りした。民主、自民、公明の3党がそれぞれの思惑で消費増税法案の採決を急ぎ、政策は折り合える部分のみ優先したためだ。社会保障分野で得た改革の成果は少ない。
低所得層対策は2014年4月に消費税率を8%に引き上げた時点では、一定の現金を支給する「簡素な給付」の実施を、増税の「条件」に位置付けた。その額や支給対象は固まっていない。
自民党からは「住民税非課税世帯の約3100万人に1万円ずつ」(茂木敏充政調会長)との意見が出ている。財源は約3100億円で政府・民主党が描くイメージも近い。ただ公明党は「しっかりとした措置」(斉藤鉄夫幹事長代行)を求めており、兆円単位の財源が必要との見方もある。
税率を10%に引き上げる段階の本格的な対策は減税と現金支給を組み合わせた「給付付き税額控除」と、食料品などの税率を低く抑える「軽減税率」を併記した。
政府・民主党が主張する給付付き税額控除は低所得層を幅広く支援できる長所がある。だが個人の所得を正確につかめなければ、不正受給につながる。自民党に推す声が強い軽減税率は、対象商品の線引きが難しい。
所得税と相続税の見直しは年末に持ち越しとなった。当初案はそれぞれ高所得層にかかる最高税率を引き上げる方針だったが、公明党は税率をさらに上げるべきだと主張。一方で行き過ぎた課税強化は経済の活力を失わせるとの声もあった。
会社員の厚生年金と公務員の共済年金を一元化する法案では公務員だけにある上乗せ給付の廃止を盛り込んだ。ただし代わりとなる公務員の新年金制度の検討はこれから。官民格差は残る可能性がある。
子育て支援の充実は、保育所の整備などに毎年1兆円程度が追加で必要になる。今のところ財源は消費増税に伴う増収分のうちの7000億円だけで、残りの3000億円はメドが立っていない。
[日経新聞6月27日朝刊P.3]
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