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霞が関官僚の大勝利の前祝いだろうか、法務、検察庁が田代検事を「嫌疑不十分」で不起訴とし、佐久間ら上司は「嫌疑なし」で、最下限の懲戒処分・戒告で店じまい。消費増税法案の政局ドサクサに乗じた猛烈スピン報道誘発の処分発表だ。最近では目くらましすら省略して、何やっても、無知無能な国民が気づく筈もない。仮に、気づく国民がいても、無価値と云う事で報道しなければ無きも同然。そのように、マスメディアも思っているようで末恐ろしい。
既得権益の影響力は我が国の末端にまで行き渡っている。絶対に既得権益内で生きていると思えない人々でも、既得権で守られていると云う錯覚を抱いているのだから、どうにも処置なし、と云うのが感想だ。このような人びとに、“あなた達は騙されているのですよ”と語りかけても、自らは“恵まれた人種”と云う錯覚を持たせているのだから、霞が関官僚組織のシステムは、未だに有効に機能しているのだろう。正直、このパラダイムの破壊を構想すると、無限の闘いが待っている気がする。
そんな風に考え出したら、筆者のような人間がシコシコとコラムを書き続けること自体が無意味で虚しいものになる。ネットメディアや個人ブログやツイッターの量的拡がりは充分に機能するようになったが、その質においては、目を蓋んばかりの現実もある。しかし、そこに期待するしか、日本人が目覚める道はないのだろう。目覚めても、あらぬ方向に噴き上がる人種も多いわけで、日本人の自立の道は、ことのほか厳しいと言わざるを得ないのだろう。それでも、日々、一歩一歩ギブアップせずに語り続ける価値はある、と己を鼓舞するのが関の山である。
とまぁ、偶には愚痴の一つも言いたくなるような政治の惨状だ。この先、日本の政治家、政党は、何処まで霞が関官僚の手の平で政治を行うのか、そこが知りたいわけである。現在の民主・自民と云う、名目2大政党は小沢一郎が構想した政党ではなかった。小沢も、霞が関官僚らの心根が、此処まで国民主権の民主主義を踏みにじる組織とは思っていなかったに違いない。正直、小沢の認識以上に、霞が関組織は腐り、同時に国民に刃を向けるシステムになったいたと云う事だろう。我々が、彼らの包囲網から抜け出す方法は、政権選択選挙の投票行動で行われるのが筋である。
勿論、その政権選択選挙に至るまでの、様々な言論、デモ等の運動は必要だが、最後は選挙によるしかないのである。最近、特に「維新の会」は、“小沢新党との連携はあり得ない”発言に終始しているが、未だ国政に何の責任も持たない勢力の立場にある限り、何でも言えると云う環境を考慮しておく必要がある。つまり、今は、彼らは国政に関して無法地帯に居るわけで、発言のすべては治外法権だ。つまり、国政に関し、彼らの言った言葉の責任はゼロである。嘘を言っても許される環境だと云う事、肝に銘じておくべきだ。
さて、見出しになっている直近の民主党内の政治権力闘争に目を転じてみよう。原口一博の総務委員長辞任に触れるつもりだったが、触れること自体コラムの文面が穢れる(笑)のでやめておく。マスメディア全体に流れている、反対した議員たちへの対応に関する論調は、時事通信の記事に象徴される。
≪ 除籍見送りの公算=28日に輿石・小沢会談−民主
民主党は27日午後、臨時の常任幹事会を開き、小沢一郎元代表ら消費増税法案に反対した造反者への対応について、党のルールに従い厳正に対処することを確認した。輿石東幹事長は28日、国会内で小沢氏と会談する。輿石氏ら執行部は離党者の規模を最小限に抑えたい考えで、除籍(除名)や離党勧告は見送られる公算だ。
増税法案を採決した26日の衆院本会議では、小沢氏ら57人が 反対票を投じた。党の決定に従わない造反議員への対応に関し、党倫理規則では「注意」から「公職の辞任勧告」まで5段階の措置と、より重い「党員資格停止」「離党勧告」「除籍」の3種類の処分がある。
常任幹事会では、野田佳彦首相と輿石氏に小沢氏らへの対処方針を一任することを確認した。輿石氏はこれに先立ち都内で講演し、「除籍だ、除名だと、そんなことをしたら党はどんどん分裂という流れになる」と述べ、除籍には否定的な見解を示した。
輿石氏は小沢氏が離党、新党結成を視野に入れる中で除籍に踏み切れば、党分裂を加速・拡大させかねないとの判断に傾いている。小沢氏との会談では、党を割らないよう説得する意向だ。
ただ、首相が「政治生命を懸ける」とした法案に反対した議員には厳しい姿勢で臨むべきだという声も強い。法案に賛成した岸本周平氏ら当選1回の議員11人は27日午後、「厳正な処分をお願いしたい」と首相に申し入れた。
一方、首相は同日、党の参院議員総会に出席。「政権与党として、法案を全力で成立させなければならない」と訴え、7月から始まる見通しの参院審議での協力を要請した。出席者からは「社会保障の姿が見えず、決まったことは増税だけだ」などと異論も出 た。
総会後、小沢氏に近い森裕子氏は参院での採決で反対する意向を記者団に表明。小沢氏が離党を決断した場合、「行動を共にさせていただきたい」と同調する考えを示した。≫(時事通信)
(http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012062700792)
小沢一郎の腹は、解散の時期の見極めと云う部分に差し掛かっているだろう。フレッシュな印象の中で「新党立ち上げ」はポピュリズム政治において不可欠な要素なのだから、致し方ない選択だ。今国会で解散総選挙があるのかないのか、必ずしも明確な見通しがあるわけではない時点で手を挙げる馬鹿はいない。フライング気味に離党してしまった議員らに言いたかった事は、そう云うことなのだろう。まぁ9人くらいは良いとして、本体はそう云う訳にはいかない、と云う事だ。
また、小沢一郎は善きにつけ悪しきにつけ、新党結成、解党、分党のオーソリティでもある。今回の、党議拘束に反対した行動には「マニュフェストを堅持する」と云う明確な大義と正当性があり、現民主党執行部も、仙谷や前原等の何でありクーデター執行部とは一線を画している。輿石・小沢会談がどのようなものか判らないが、野田政権及び野党が望んでやまない「小沢切り」を実行したのなら、「分党の手続きを行え」と小沢は主張するだろう。
これには、充分小沢側に言い分はある。党則がない民主党の党則(あるのは規約)・党綱領は「マニュフェスト」である。故に、国政選挙を経ずに「マニュフェスト」を変更する事は許されない。現内閣が、その党綱領とも言うべき「マニュフェスト」を変更する以上、その考えに従えない議員達に対して、それまでに蓄積した党の財産を分与し、分党する事を実行するのが、フェアな公党のなすべき姿である。つまり、今回のマニュフェスト違反法案採決に対し、反対する議員達には、分党、財産の分与と云うものを主張する権利が存在すると云う事だ。
ちなみに、現時点で民主党の政党助成金等々を含む繰越金は180億円を超えているわけで、分党議員は、それを受け取る権利を有すると云う事だ。日和見議員らは「盗人に追い銭だ〜」と叫ぶだろうが、政治の世界とはそう云う理屈も成り立つ世界なのである。「だったら、俺も出たい!」等と言う民主党議員も出てきそうだが、そうは行かない(笑)。君らは「福祉の前にやることがある、増税だ」と云う幟を立てて選挙を戦うのみである。
この荒唐無稽に思える論理が成り立つ、もう一つの理由がある。こちらの方が有力かもしれないが、法案に反対した小沢グループを厳しい処分にしたいのだろうが、鳩山由紀夫と云う創業者までを巻き添えに、厳しい処分が可能か?と云う問題でもある。おそらく、鳩山の最大の反対の理由は、此処にあると筆者は読んでいる。鳩山由紀夫は、小沢一郎にから大きな借りを幾つもしているわけで、ここで一つお返しをしようとしている、と筆者は読んだ。
つまり、今回の法案反対の側には、民主党の党綱領同等のマニュフェストを守ると云う正当性があるわけで、その正当性を無視して、党の絶対的創業者である鳩山由紀夫と政権交代における最大の功労者小沢一郎を厳しく処分する行為は、公党としての政治行動として許されない。また、その残された公党・民主党にとっても、正義の通用しない政党の謗りを永遠に背負う事になるのだ。仙谷や前原は岡田は考えないだろうが、輿石は考える。そこが今後のポイントである。まぁ、相当の我田引水な論だが、今夜のコラムの締め括りとしておこう。オヤスミナサイ!
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