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TPP参加は反対ながらも、日本政府は、TPP交渉から排除されたかたちで最後の署名だけをするハメになると警告してきた。
それはともかく、今回紹介する日経新聞社の社説は、大手メディアがかくも恥ずべき存在であることを如実に示すものだ。
鳩山元首相が普天間基地機能の海外移転や県外移設を掲げて動いたときも、その実現可能性や方法論を論議ないし模索するかたちでサポートするのではなく、“奇妙な鳩山がとんでもない主張をしている”という雰囲気を醸成し、背中から鉄砲を撃ちまくってぽしゃらせたのが主要メディアである。
昨年11月中旬にTPPへの(交渉)参加を表明した日本は、既存交渉参加国から参加の容認を得るべく事前協議を行ってきたが、未だ米国・NZからは交渉への参加を認められていない状況だ。
日経新聞社は、「メキシコとカナダが環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明した。素早く意思を決めた両国と対照的に、国内政局で金縛りの野田佳彦首相は一歩も動けず、貴重な外交機会を逃した」と社説を切り出しているが、意図的だと思われるがウソとマヤカシの説明である。
メキシコとカナダは、交渉への参加を表明したのではなく、交渉への参加を認められたのである。
また、日本は、既に、カナダよりもずっと早く、メキシコよりも少し早い昨年11月の段階で“環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明”している。
日経新聞社は、さらに、「このままでは日本は置き去りになってしまう。交渉は次の節目となる9月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を目指し、日本抜きで加速するだろう。日本の意見を協定に反映する余地はますます狭くなる」と嘆いている。
日経新聞は、少し前までは、TPPの交渉は、難問が立ちはだかっているため思うように交渉は進まず、妥結は来年まで持ち越することになると予測して見せていた。
日経新聞は、さらにウソとマヤカシを重ねている。
「TPP交渉への参加は、首相自身が指導力を発揮すれば決められることだ。国会に諮る必要はない。反対派の議員は、政府による情報提供の不足を批判するが、中身の正確な情報を得るには、まず交渉の仲間に入る必要がある」と提言している。
繰り返しになるが、日本政府は、既に、昨年11月に“環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明”している。
日経新聞は、「野田首相は諸外国から「経済外交を軽視している」と見なされる現状を重く受け止めるべきだ」と批判するが、TPPについては7ヶ月以上も前に交渉参加を表明し、日中韓FTAも、中国・韓国に早期の交渉開始を求めているのが実態だ。
日経新聞が問題にすべきとしたら、交渉を望んでいる日本が、なぜ交渉のテーブルに着けないのかということであろう。
日経新聞自身が世界で最も重要で強固なものとたたえる“日米同盟”でありながら、関税ゼロの自動車についてタメにするとしか言いようのない難癖をつけて交渉から遠ざける米国連邦政府の対応を何より問題にすべきなのである。
日中韓のFTAについても、中韓のほうが製造業・農業・サービス業で競合する度合いが強いにもかかわらず、対日FTAを置いてけぼりにしたかたちで、中韓が交渉を進め日本が取り残されているワケをきちんと分析しなければならないのである。
日経新聞社がまじめに日本のことを考えているのなら、「TPPは世界貿易機関(WTO)協定を超える新しい貿易・投資秩序を築く試みだ。米国にはできないが、日本なら提案できる自由貿易ルールとは何か。世界をうならせるような公正な「日本案」を打ち出すのが、通商国家である日本の政府の仕事である」というのなら、「早急な意思表明で、「決められない日本」の汚名を返上すべき」というトンチンカンの結論ではなく、対米交渉のやり方や米国側主張の理非について論じなければならない。
TPPへの参加には反対だが、ウソヤゴマカシで読者をミスリードすることは、百害あって一利なしだと断ずる。
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TPP交渉置き去りの危険
20カ国・地域(G20)首脳会議で、メキシコとカナダが環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を表明した。素早く意思を決めた両国と対照的に、国内政局で金縛りの野田佳彦首相は一歩も動けず、貴重な外交機会を逃した。
このままでは日本は置き去りになってしまう。交渉は次の節目となる9月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を目指し、日本抜きで加速するだろう。日本の意見を協定に反映する余地はますます狭くなる。
国内の政治状況の難しさと同様に、TPPをめぐり各国が戦略的に動く国際政治の現実も厳しい。野田首相は諸外国から「経済外交を軽視している」と見なされる現状を重く受け止めるべきだ。
税と社会保障の難題に取り組んでいる以上、首相に大きな決断は無理だと見なす声がある。本当にそうだろうか。いま日本が直面しているのは、協定をつくる共同作業に加わるかどうかという議論の「入り口」である。TPP協定を締結するかどうかではない。
TPP交渉への参加は、首相自身が指導力を発揮すれば決められることだ。国会に諮る必要はない。反対派の議員は、政府による情報提供の不足を批判するが、中身の正確な情報を得るには、まず交渉の仲間に入る必要がある。
批判はそれからすればよい。日本に不利な協定になるなら国会で批准しなければよい。これまでの交渉は、米国主導で進んできた。その議論の舞台に参加し、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の声も聞きながら、日本の国益に沿った提案をしていくのが通商国家である日本の使命ではないか。
TPPは世界貿易機関(WTO)協定を超える新しい貿易・投資秩序を築く試みだ。米国にはできないが、日本なら提案できる自由貿易ルールとは何か。世界をうならせるような公正な「日本案」を打ち出すのが、通商国家である日本の政府の仕事である。
早急な意思表明で、「決められない日本」の汚名を返上すべきだ。
[日経新聞6月23日朝刊P.2]
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