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<首相官邸を包囲する反原発怒りの渦>
誰が言い出したのか。何があったのか。全く知らない。毎週金曜日の夜に、市民が三々五々集まって、政治の中枢を包囲している。原発再稼働に抗議する市民の砲列である。怒りの渦には、10%消費大増税の強行、密室談合も増幅剤となっているのだろう。
72年から永田町を見聞してきた。20年は現役の政治記者・派閥記者として、この界隈を取材してきた。しかし、官邸が市民に包囲されると言う事態はなかった。ありえなかった。
この20年、人々を政治不信から諦めや無気力が襲いかかって、それに屈し、甘んじてきた東京である。それが今変化している。市民が行動を起こしている。本気で野田に怒り出している。まともな市民の行動を、ナベツネ支配のマスコミは報道しなかった。
だが、余りのすごさに一部メディアはナベツネ支配から抜け出して報道を開始した。報じないNHKに対して料金不払い運動に火がつくだろう。ともかく市民の怒りの官邸包囲網は、予想外の広がりを見せているのである。信じがたい情景である。日本のマスコミが報じなくても、東京に特派員が少なくなった海外マスコミも、間もなく気付いて報道するはずである。そうすると、世界人類が野田内閣打倒に動き出すことになる。
60年安保を想起する老人も多いだろう。あの時は過激な学生・若者も多かった。機動隊でも対応不能に陥った。政府は右翼暴力団を投入したほどである。岸内閣の黒幕はCIAと児玉誉士夫だった。後者はナベツネ・中曽根の盟友・同士だった。
今回は目下、60年安保の時のような暴走はない。ありえない。主役は平凡なサラリーマンや家庭の主婦、学生らのようである。動画でその様子を確認出来るが、すさまじい数の市民が原発再稼働反対を叫んでいる。脱原発・反原発・核NOの非組織的市民の非暴力抵抗運動である。ネット情報によると、1回目は1万人余、2回目は4倍に膨らんだと公表している。実際は、もっと少ないはずだが、それにしてもすごい数である。
金曜日の夜は、市民政治の爆弾が官邸に落ちる日なのだ。既成政党の無能・無力を笑っていることでもある。無党派の怒りなのだ。「東京の春」到来を印象付けている。
<米CNNも福島事件を報道>
昨夜、子供たちが集まった。中小企業で働く末っ子は「10%をつぶせ」と珍しく政治の話題を口にした。10%の恩恵は財閥・官閥など富裕層が受ける。弱者が、失政による日本の財政破綻を負担する、それが民自公談合政治なのだから、息子の言い分に賛成である。彼は反民自公派なのだ。日刊ゲンダイの購読者だ。「社長もよく読んでいる。お父さんのコメントが出ているよ、とよく声をかけてくれる」という。中小零細企業の社員・経営者が、政府の悪政に怒っていることを、息子の話から理解できる。
長男は官邸包囲網のことを知っていた。ネット人間の情報は豊富だ。「オウムと統一教会は関係がある」などと父親の知らないことを平然と言ってのける。
米CNNの電子版(6月21日付)に福島事件が報じられていた。悲しい事件報道だ。NHKが報じないような事件なのか。
昨年7月、一時帰宅中の川俣町の渡辺幹夫さん(62歳)の妻(当時58歳)が焼身自殺した。ここは計画的避難区域である。遺族が東電を訴えた。その経緯を詳しく報道していた。CNNとこれを書いた記者に感謝したい気分である。
思い出したが、以前の中国では農地を奪われる農民の怒りをマスコミが報道しなかった。思い余って、外国の特派員に泣きつくと言う場面があった。3・11後の日本でも、福島でも同じことが起きているのだろうか。
<崩壊するアメリカ>
日本のテレビ報道だったと記憶している。日本の真実を伝えない日本マスコミは、外国モノはそれなりに伝えるらしい。圧力が少ないからだろう。アメリカ社会の崩壊事例である。
それはギャンブルの都・ラスベガスの公立小学校である。「児童の9割がホームレス」という衝撃的な内容である。世界で軍事力を行使する最強のアメリカである。「まさか」と信じられないような話しである。
しかし、この金の鳴るラスベガスで家のない家庭が増大、それも児童の9割がホームレスというのだから、やはり仰天するばかりである。大軍縮・平和国家に変身しない限り、アメリカは崩壊するのかもしれない。
それこそ校長は、資金集めに必死だ。教育どころではない。その金で児童の朝食の面倒も見ている。
6月21日付の共同通信ワシントン電は「人種間格差が、リーマン・ショック以前の倍近くに拡大している」「白人資産は黒人の22倍に達した」と報じた。米国勢調査局の統計である。
アメリカ大統領は、富裕層への大増税を公約に掲げて選挙する。日本の首相は、公約しない弱者大増税で選挙をする。この格差も大き過ぎる。
<91年に李克強と会見>
苑さんからいただいた中国の緑茶を飲み干した。けさ蘇さんの中国茶・鉄観音に熱湯を注いだ。この香りは格別だ。東京にもいい香りが出てきたものだから、縁起がいいではないか。
体調不良の友人が近く大連に行くと言う。いいニュースだ。大連は日本企業が大活躍している。拘束されている薄煕来が基礎固めした大連である。彼の腐敗の原点がここにある。筆者も気にしている場所だ。新たないいニュースを聞かせてもらえるかもしれない。
先日のことだが、台風が早い速度で東に襲来してきた。たまたま埴生の宿の雑草と格闘していたが、止めて家の中の狭い書斎でひと休みした。机の中をかき回していると、古い手帳が現れた。偶然、91年の手帳を広げて見ると、12月が開いた。
懐かしい海南島を旅しているではないか。冬場は最高の保養地である。開発されていない自然の宝庫だったころである。直前のメモに李克強と記述してある。中国共産党共産主義青年団のトップ・書記だ。思い出した。
中国青年報の徐啓新記者の配慮によるものだった。彼は今副総理をしている。秋に政治局常務委員入りが確実視されている。徐記者は、その前は胡錦濤側近の劉延東と引き合わせてくれていた。彼女との会見は「大陸と台湾」(88年執筆)に掲載しているので、しっかりと記憶していたが、91年のことは忘れていた。
みな腰の低い穏健派である。穏健派というと、大平正芳もそうだった。類は類を呼ぶ。石原慎太郎とは対照的だ。79年12月の大平訪中に同行したのだが、それが初めての大陸との出会いとなった。
また偶然にも同じ机の封筒から白黒写真が出てきた。このとき北京で撮影したものだ。当時の市民の服装がわかる。79年当時を知らない若者ばかりの中国である。
この時のネガは東京タイムズ写真部にある。その後、どうなったものか。徳間書店の倉庫に眠っているのかどうか。過去にこだわりを見せる人間になってしまったものか。
しかし、未来は過去と現在の延長線上にある。中国も課題が多い。日本は悲惨過ぎる。人々が気付いた時に「東京の春」はやってくる。今こそ未来に希望を、である。
2012年6月24日9時10分記
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