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「取調べ可視化」の問題は、陸山会事件をめぐる検察不祥事の本質ではない
http://nobuogohara.wordpress.com/2012/06/23/%e3%80%8c%e5%8f%96%e8%aa%bf%e3%81%b9%e5%8f%af%e8%a6%96%e5%8c%96%e3%80%8d%e3%81%ae%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%af%e3%80%81%e9%99%b8%e5%b1%b1%e4%bc%9a%e4%ba%8b%e4%bb%b6%e3%82%92%e3%82%81%e3%81%90%e3%82%8b/
2012年6月23日 郷原信郎が斬る
「陸山会事件の虚偽捜査報告書作成問題を受け、最高検は23日までに、再発防止策として、検察審査会の起訴相当議決を受けた再捜査の取り調べを、録音・録画(可視化)することを決めた」(時事通信)。
この記事を見て、私は唖然とした。あくまで新聞記事であり、検察が、本気で、この「起訴相当議決後の再捜査での取調べ可視化」を、今回の陸山会事件をめぐる検察不祥事の再発防止策と考えているのかどうかはわからない。しかし、もし、そうであるとすれば、問題は深刻だ。要するに、検察は、この問題の本質を全く理解していないということだ。
取調べの可視化は、特捜検察にとっても重要な問題だ。過去に「特捜検察の暴走」を招いた不当な取調べを防止するために、取調べの可視化は有力な手段だ。しかし、そのことと、今回の事件を、田代検事の取調べの不当性の問題として捉えるべきだということとは全く異なる。
改めて認識すべきは、陸山会事件捜査をめぐるの問題は、3年前の検察審査会法の改正で導入された「検察審査会の起訴議決による起訴」という制度の一般的な問題ではないということだ。
西松建設事件での小沢氏秘書の逮捕まで行った強制捜査が惨憺たる結果に終わり、政権与党の幹事長とうい立場に立った小沢氏に対して、まさに「遺恨試合」のような形で捜査を継続した当時の東京地検特捜部の「暴走」が、陸山会の土地取得をめぐる政治資金規正法違反事件だった。常識的には殆ど破綻したに等しい無理筋の事件で小沢氏の起訴をめざすとういう殆ど妄想に近い捜査が、結局、明らかな失敗に終わり、検察の組織としての決定は、小沢氏不起訴だった。
それで決着したはずの陸山会事件を、検察審査会という検察組織の外部の組織まで活用して、検察組織としての決定を覆そうとした、まさに組織に対する「反逆行為」の目論見が明らかになり、その過程での虚偽公文書作成等の多数の検察官の職務上の犯罪が問題になったのが今回の検察不祥事なのである。
このような事件の「再発防止策」は、一般的な検察審査会の議決を受けての捜査の在り方とは全く異なる。まずは、今回の事件の「組織の決定に対する反逆行為」としての本質を明らかにし、その背景と構造を解明した上で、特捜部による「組織に対する反逆行為」の再発を防止しなければならない。
「検察審査会の起訴相当議決を受けた再捜査」の一般的な問題として再発防止策を検討し、再捜査での「取調べの可視化」を打ち出すというのは、一般の事件における検察審査会の起訴相当議決を受けた検察の対応と同レベルの問題として、今回の問題を考えているということであり、問題のすり替えに過ぎない。
もし、検察幹部が、本気で、このような措置を本件の再発防止策として考えているとすれば、それは、今回の問題の本質が全く理解できていないということである。
他紙の報道からも、虚偽報告書作成問題に関する検察の処分は、来週中に公表される見通しのようだ。それが、消費税増税法案採決の方にマスコミや世の中の関心が向かっている間に、陸山会事件不祥事についての全面不起訴という社会に説明不能な処分を、できるだけ目立たない形で行い、この問題に対する説明責任から免れようとする意図によるものだとすれば、もはや検察の再生は絶望的だと言わざるを得ない。
我々は、この事件の本質を改めて認識した上で、今、検察の長い歴史に歴史上の汚点を残そうとしている検察の行動をしっかり見極める必要がある。最悪の場合は、東京地検特捜部の幹部等が悪用した検察審査会の議決に、検察の誤った判断の是正の最後の望みを託すことになるかも知れない。それは、長い検察の歴史の中で決してあってはならない「検察組織の崩壊」の事象である。そのような事態には決してなってほしくない。
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