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政局的には頑張って欲しい民主党内の消費税増税反対派が掲げる「増税の前にやるべきことがある」というスローガンに違和感を覚えている。
スローガンの文句は舌足らずだが、時勢やこれまでの発言経緯を考えれば、増税=消費税増税だと受け止めて論を進める。
さらに、「増税の前にやるべきこと」も具体的ではないが、行財政改革や国会改革を指していると受け止める。
「増税の前にやるべきことがある」というスローガンは、社会保障の財源が足りないから消費税増税をするという宣伝が行き渡っている現状を考えると、国民を反対派の味方に付ける“政治的戦術”としては効果があると思う。
しかし、消費税増税に反対する人たちの反対理由に照らすと矛盾した言い分であり、将来を考えると危うさにもつながりかねないスローガンである。
まず、矛盾した言い分というのは、消費税増税は需要を縮小させてデフレ不況を悪化させると考えていながら、どうであれ需要を縮小させる歳出削減を先にやるべきと主張しているからである。
産業連関性や財政運営全体を度外視してざっくり言えば、10兆円の増税と10兆円の歳出削減は、どちらも10兆円の需要縮小を意味するから、経済活動(景気)に及ぼす影響は同じである。
消費者物価指数(CPI)の観点で言えば、歳出削減で公共投資が減るほうが、増税以上に物価を下押しすることになる。
(消費物資を生産しない公共投資に従事する人の所得が増えれば、CPIは上昇する可能性が高い。逆に、資本形成に従事する人たちの所得が減少すれば、CPIが低下する可能性が高い。公共投資に乗数効果はないとまで言われているが、なにがしかはある)
2年間限定の国家公務員給与7.8%切り下げは決まったが、増税の前に、さらに、独立行政法人の整理統廃合や国会議員の定数削減などを行い、公共事業や物品政府調達においてもシビアな査定を行うことで徹底的な歳出削減をはかり、財政赤字を少しでも減らすという政策は、好悪は別として、消費税増税と同じように経済を縮小させてしまうのである。
国民の多くが過酷な生活を強いられているなか、平均的公務員が平均的国民以上に恵まれた生活条件を得ているのはおかしいと思ったり、必要性があるとも思えないことや一緒にできることをばらばらと複数の機構で行っているのはムダという考えは正しいと思う。
今となっては嫌みとして使われている面もある「シロアリ退治」は必要である。
しかし、公務員給与の切り下げや行政改革で削った財政支出分を他の費目で支出しないでたんに赤字縮小に利用すれば、経済を縮小させてしまう。
デフレ基調で苦しい経済状況にある日本は、公務員給与の引き下げや行政改革で捻出したお金をより大きな有効需要につがなる使途に向けなければならない。
公務員給与の引き下げや行政改革は、そのためにこそ行われるべきであって、赤字財政の縮小のために行われるべきものではない。
民主党内消費税反対派のリーダーと言ってもいい小沢一郎氏は、消費税増税が、今や数年後ではないが、いつかはやらなければならない政治課題であることを認めている。
「増税の前にやるべきことがある」というのが反対の大義なら、行政機構と国会の歳出削減を実施すれば、消費税を増税してもいいという話になりかねない。
「増税の前にやるべきこと」は、唯一、政府と経済界が一体となったデフレ基調からの脱却である。
消費税はその本質的問題から廃止すべきであり、何か条件が整ったら増税してもいいという類のものではない。
直接税である消費税を間接税と勘違いしている人も散見されるが、間接税を好ましいと考えているのなら、正真正銘の間接税である米国州税流の「小売売上税」を求めるべきである。それには輸出免税に伴う「消費税還付」制度はありえないから、消費者が負担したつもりになっている消費税総額に見合う「小売売上税」の税収があるだろう。
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- 質問を含むコメントへの回答 あっしら 2012/6/21 16:43:20
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