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「日本一新運動」の原点―114
2012年06月19日 :(日本一新の会。)
日本一新の会・代表 平野貞夫妙観
○20世紀の自社談合政治より悪質な政治が始まった!
消費税増税で、民・自・公の実務者協議が合意したことを知って、思い出したのは20年前、
平成3年12月26日に宮沢喜一総理に出した、衆議院委員部長時代の私の手紙である。
ここ数年来、日本の政治は機械か動物が動かしているという感じ
がします。とても「人間」がやっているとは思えません。
前尾先生は「人間とは何か」ということを常に追求され、それが、
政治運営や政策判断の基準にされていたように思います。内外とも、
何が起こってもおかしくないという世紀末の激動の中で、もう一度
「人間のあり方」、「日本人のあり方」について、政治家全員が考え
るべきだと存じます。
これは、自社55年体制の末期、宮沢政権がスタートした2ヶ月後のことである。宮沢総理は戦前の大蔵省時代から前尾繁三郎先生と師弟関係であった。昭和48年から51年まで、私は前尾衆議院議長の公務秘書を務め、薫陶を受けた人生の師である。宮沢総理は就任以前から、政治問題が生じたときに「前尾先生ならどう考えるか」と、私に相談があった。この手紙は、20世紀最後の自社談合政治の限界の時期で、平成4年の新年を迎えるにあたり、私に日本政治への感想を求めてきたことへの回答であった。
この時期の課題は、米ソ冷戦が終わり、日本が自立して国際社会で生きていくためにはどうするべきか、政権交代を避ける自社談合政治が、日本の経済的発展と、国民生活を困難にしている状況をどう改革するのかということであった。真の議会民主政治の確立が必要であり、まず政権交代実現のための「政治改革」、そして、良き伝統は発展させ、国際社会で活動できる社会・経済全般にわたる構造改革であった。これらの改革構想は、自民党の良識派から提示されたものである。
宮沢総理はこれらの改革の必要性を理解し努力したが、政治改革をめぐって自民党内の守旧派の抵抗により失敗する。自民党内の「改革フォーラム21」(羽田孜・小沢一郎氏ら)が、宮沢内閣不信任案に賛成し可決、衆議院解散となる。平成5年7月の総選挙では自民党を離党した羽田・小沢氏が率いる「新生党」などが勝利し、8党派による「非自民連立政権」が樹立され、40年にわたる自民党一党支配政治に幕が下りた。
以来、20年の歳月が過ぎた。改革派と称した8党派の中に、本物と偽物が混在していて、政治は混迷をくり返した。自民党守旧派の対米追随資本主義政策により、わが国は史上最大の格差社会となった。平成21年8月の衆議院総選挙で、史上初の国民の判断による政権交代が実現した。これは民主党が政権公約として国民に約束した「国民の生活が第一」の理念にもとづいて、21世紀にふさわしい国家社会をつくるための基本政策が支持されたからである。
民主党に政権が交代した後、国民が期待する政治はほとんど行われなかった。それどころか、あれほど排除することを宣言した「官僚支配の政治」を、「官僚の召使い政治」に堕落させたのが「菅首相」であり、「官僚政治池のヘドロ」で養殖された泥鰌が「野田首相」であった。その究極が6月15日の民・自・公3党による「消費税増税」と「社会保障改革の棚上げ」の合意であった。
民・自・公3党修正合意の内容は、文章を意図的に膨大なものとした官僚の作文であり、国民にはわかりにくいものだ。過去の20世紀資本主義を前提にしたものである。その中で、議会民主政治を崩壊させているのは、「社会保障制度改革国民会議」を設置して、有識者を参加させて基本問題を協議するいう合意である。これは国民の代表である国会議員の責任を放棄するもので、120年のわが国議会史になかった自己否定合意である。この合意に署名した国会議員は直ちに辞職すべきだ。
次に、民主党の存立・政権公約の最大の基本政策である年金・医療及び介護について「社会保険制度を基本とし、・・・・社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てる」と合意し、値上げを示唆したことである。これは自民党の「保険料」という自己負担制度に戻すことである。基礎的な社会保障は国が責任を持つという、民主党の基本方針を否定したものだ。
野田政権が「消費税増税10%」のため、社会保障の整備をすると約束した政策を、棚上げするか自己否定するという重大な事態が起こっていることを、きっちりと理解すべきである。政権交代総選挙で「やらない」と公約した消費税増税10%を強行するため、「実現する」と公約した社会保障制度改革を、棚上げや自己否定したわけだ。これは「正常な人間のやること」ではなく、嘘つきではすまされない。民・自・公の三党合意は、20世紀の自社談合政治よりもっと悪質である。この3党合意が、各党で党内手続きされ、党首会談を経て実現されると、わが国の議会政治はメルト・ダウン状況となり、国会は、致死量の放射性物質で汚染されることになる。
○日本国会メルト・ダウンの原因と救済!
@消費税増税10%の合意が出来た原因
6月8日(金)、小沢さんと最近の政治状況について懇談したとき、私は「野田民主党と自民党による政治」についてこう話した。「政権交代した民主党と野党になった自民党政治ではない。20世紀末期の自民党内の抗爭と同じだ。表の顔は野田民主党の馬鹿な自民党が、タチの悪い自民党の長老に潰されそうになっているのですよ」と。小沢さんは「わかっているよ」という感じで頷いていた。
合意ができた直接の原因は、まず、自民党の長老たちが政権から離れて3年近くになり、政治利権から遠のき、政治家を続けることができなくなった。消費税増税に賛成することと交換に民主党を潰すか、小沢グループを切って、自分たちが政権に復帰するためである。次に、9月の任期満了となる野田民主党代表と、谷垣自民党総裁は、何がなんでも再選されたい。そのための共通目標は「消費税増税」を成功させることだ。
要するに、民主党政権と自民党の指導者たちが、自分・個人・私的な利益を生かすために、「消費税増税10%」という国民・国家にとっての重大問題を、財務省のシナリオに乗って実現しようとしているわけだ。公明党は衆議院選挙制度を一部連用制とすることを交換条件とすることで、創価学会婦人部の反対を押し切って「消費税増税」に追随したわけだ。これも私的利益を優先させて、国民や国家を犠牲にした行為だ。民・自・公の消費税増税推進派は財界や巨大メディア応援のおかげで、6月19日現在、成功しているといえる。
A重要課題先送りの消費税増税への国民の反応
ダイヤモンド・オンラインの世論調査は6月18日現在で、増税反対約84%、賛成約15%、同じくYahoo!・ニュースは反対89%、賛成10%、Yahoo!・みんなの政治は(3党合意について)、支持しない86%、支持する10%である。ダイヤモンド・オンラインと、Yahoo!・ニュースの世論調査は従来から一般メディアと同じ傾向にあるといわれている。巨大メディアの調査発表はこれからだが、調整と称する作為がなければ、3党合意は国民の厳しい反応が予想される。
日本一新の会の調査によれば、自民党が党議拘束をかけなければ衆議院議員の約65%が消費税増税に反対するとの情報を持っている。また、民主党の小選挙区選出衆議院議員が採決で賛成すれば、約85%が次期衆議院選挙で落選するという調査もある。3党合意の実現は確実とはいえない。すべては、真の国民の声を国会議員がどう受けとめるかにある。
B国会メルト・ダウンを救済する方策!
野田首相が「消費税増税関連法案の衆議院採決を、6月21日までに行う」と宣言したのは最大の国会冒涜行為だということを、国会側が批判しないことがメルト・ダウンの証拠である。各党にその知識がないことが悲劇だ。国会が与党、ましてや民主党だけで構成されているなら野田民主党代表の指示で動くかも知れないが、立法権という独立した機関で、しかも両院は独立したものだ。それぞれ議長という代表者が存在し、提出された法案の審議権は各党で協議して決めるもので、野田首相の発言は立法権への干渉である。こういう基礎知識を国会議員がきちんと学ぶことが必要である。
「消費税増税」をめぐる政治抗爭の最大の山場は、6月21日の衆議院の採決でも、参議院の採決でもない。仮に今国会で成立したとしても、次期衆議院選挙でどういう結果が出るかにかかっている。増税反対派が両院で多数となれば、廃止もできるし改正もできる。総選挙では、小選挙区で民主党と自民党が争う場合が多いが、両党の候補者が消費税増税と社会保障改革の棚上げに賛成し、連立を組もうということでは、選挙戦が戦えるわけがない。
国家の安寧と国民の福寿のため、消費税・社会保障・環境保全・人間教育・脱原発によるエネルギー確保など、21世紀の新しい国家社会づくりを提唱する候補者が、民・自の談合選挙区に入っていけば必ず勝利できる。民主党には、新政研を中心にまだまだ議会民主政治の本旨を理解する政治家がいる。3党合意の談合政治を打破することが、国会メルト・ダウンを救済する最大の方策である。
追記
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元記事リンク:http://nipponissin1.blog136.fc2.com/blog-entry-157.html
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