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会期末が迫るなか、劇場法案が議員立法で国会に提出された。全会派が賛成しており、順調に進めば今国会で成立する見通しだ。
正式名称は「劇場、音楽堂等の活性化に関する法案」。超党派の音楽議員連盟(中野寛成会長)が法制化に取り組んできた。ハコモノ中心の文化振興政策から、実演芸術を支える人材養成などのソフト面に重点を移す狙いを込めている。
根拠法がなかった劇場などを「文化施設」と定め、無形文化遺産である実演芸術を守り、育て、創り続けていくことは「今を生きる世代の責務ともいえる」とうたっている。
音議連幹事長の鈴木寛・元文科副大臣は「大学と劇場が一緒になって、制作者などの人材を育成する道が広がっていくだろう」などと意義を説く。自民党の河村建夫元文科相も「実演芸術をしっかり法律で支えていくのが狙い。劇場に携わる人材の強化について一番議論した」と語る。
2001年に施行された文化芸術振興基本法を肉付けする法案となる。
そこで問われるのが、橋下徹大阪市長の市政改革で揺れる、人形浄瑠璃文楽の行く末だ。橋下氏は検討中の市政改革プランで文楽協会への市の補助金を25%削減する方針を打ち出し、文楽の技芸員や愛好家の恨みを買っている。
文楽協会は文楽の保存・普及のために設けられた公益財団法人で、国や大阪府、大阪市などから補助金を受けてきた。橋下氏は府知事時代に府の補助金に大なたをふるい、今度は市の補助金削減に熱心だ。さらに補助金が減れば、若手の養成事業などに支障が出ると懸念されている。
文楽大夫で人間国宝の竹本住大夫さんは毎日新聞のインタビューで「文楽があまりに軽く見られておるんです。芸術や文化に対する理解がなさすぎる」と橋下氏を批判した。ある技芸員からは「文楽の世界に入ろうとする若い人をためらわせる風評被害も出ている」という嘆きを聞いた。
一方、橋下氏はツイッター上で住大夫さんの発言に反発。「なぜ文楽が衰退したのか。それは技芸員をはじめとする当事者の意識である」と突き放した。
松竹の大谷竹次郎会長が不採算の文楽を献納する決意を固め、自民党の大野伴睦副総裁に国の保護を求めたのは1962年のことだった。大野の尽力で国のほか府、市、NHKなどの助成金で文楽協会を設立することが決まった。
大谷は「血涙を流しつつ経営して参りましたのも無駄に終わらず、世界最高の文化的郷土遺産を守り得たことをいささか誇らしく感ずる」と記している。
商業ベースにのりにくい文楽のような伝統芸能は、パトロン抜きでは成り立たない。が、大野裁定の枠組みは風前のともしびである。
劇場法は国や地方自治体が「財政上、金融上の措置を講ずるよう努める」と規定し、自治体には地域の特性に応じた施策を策定し、劇場等を積極的に活用するよう求めている。
大阪は文楽発祥の地であり、大夫は大阪弁で義太夫を語る。国立の文楽劇場を抱える地の利もある。ユネスコの世界無形文化遺産に登録されたソフトパワーを生かさぬ手はない。
橋下氏は補助金がなくてもやっていける歌舞伎や落語が好みのようだ。それも楽しいけれど、文楽のない世界はちょっと味気ない。文楽劇場で、忠義のために我が子を犠牲にした松王丸(菅原伝授手習鑑)の姿を眺めながら、そんな思いを新たにした。
劇場法の制定が、文楽の衰退を防ぐきっかけになればと願う。
(編集委員 西田睦美)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS14019_U2A610C1SHA000/?dg=1
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かつて民放テレビ局には良心的なドキュメンタリー番組が存在した。TBSと日本テレビがそれである。しかし、いまやドキュメンタリー番組を放送しているのは実質的にNHK一局のみとなってしまった。
これも橋下徹大阪市長の言い方では番組製作者の意識の問題となるのか。そうではあるまい。昔からドキュメンタリー番組は視聴率が低かった。それでも継続できていたのはひとえにその番組の社会的意義に賛同するスポンサーが存在したからに他ならない。
しかしそれも今や昔である。スポンサーに昔のゆとりはなくなった。経済の悪化が低視聴率のドキュメンタリー番組の消滅をもたらしたのだ。同じことがオーケストラや民芸の運営にも言えるだろう。全国のオーケストラ楽団などは1つの例外もなく昔からスポンサーからの多額の支援があってはじめて存続できてきた事実がある。
橋本徹大阪市長は、文化的事業を商業的価値の側面だけからしか考えていない。そうではあるまい。音楽や民芸は商業的価値では測れない文化的価値を持っている。その価値は時代が変わっても守り育てていかねばならない性質のものだ。
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