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このまま、米国と防衛省がオスプレイの配備を強行すれば、沖縄は復帰40年前の怒りの島と化すだろう。消費税増税、原発再稼働、オスプレイ配備、この三点を争点に解散総選挙で民意を問うべき時期である。(岡留安則の「東京ー沖縄ーアジア」幻視行日記)
2012.06.15
■6月某日 国会では翼賛体制ともいえる野田民主党と自民、公明の密室修正協議が大詰めを迎える中、大飯原発の再稼働も着々と進んでいる。地元のおおい町町長が賛意を表明し、福井県知事や滋賀県知事、大阪市の橋下市長も容認に傾き始めた。誰が、どんな圧力をかけたのか、メディアは調査報道すべきである。
再稼働への動きは安全性の担保もなく、電力需要の逼迫という不確定の予測のみでの原発推進。福島第一原発の事故の教訓など、どこ吹く風の国策推進に雪崩を打っていく状況は空恐ろしい限りだ。
しかも、橋下市長が期待する今夏だけの限定稼働ではなく、原子炉寿命40年などという方針が打ち出されるに至っては、脱原発ではなく、原発推進と原発海外輸出という国策を見直す気持はさらさらないのだろう。
この国の政治は完全に機能マヒ状態にある。危険な原発を捨てて、再生エネルギー政策に大胆に転換していくためには国策を方向づける政治の責任が重大である。国として再生エネルギーへの積極的な投資を促すべきなのに、いわゆる「原子力ムラ」の権益派が「そうはさせじ」と妨害しているとしか思えない。
本来は、国策としての原発に鋭くメスを入れるのはメディアの社会的役回りのはずだが、今やメディア企業が権益派に組み込まれた状況では期待はできない。
仮に、多くの活断層が確認されている大飯原発で、第二の福島第一原発のような事故が起きれば、どうするのか。予想できることは、関西電力も、関連自治体も経産省も内閣も誰一人責任を取らないということだ。それは、福島第一原発でも証明済みではないか。
日本は明治の近代国家になって以降、誰も責任を取らない無責任統治システムを存続させてきた。例え、天皇を元首にしても、その体質は変わらないだろう。すべての元凶は、日本の支配システムの権限を強固に守り続けてきた「官僚内閣制」にあるというのが、筆者の結論である。
同じことが言えるのが、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄全域への配備である。防衛省が県にその方針を説明した翌日には、米国フロリダ州の訓練場で同型のオスプレイが墜落し、5人の空軍兵士が負傷した。4月に発生した北アフリカのモロッコで死傷者を出したオスプレイの事故原因も究明されない段階なのに、である。
米国は人為的ミスといち早く発表したが、機体そのものが持つ欠陥ではないかとの疑惑は解消されていない。原因不明の段階で、米国は、オスプレイを普天間基地だけではなく、北部訓練場の東村高江のヘリパッドから、伊江島補助飛行場、キャンプシュワブ、ブルービーチ、キャンプ・ハンセン、ホワイトビーチ、嘉手納基地と、ほぼ沖縄本島全域での配備と訓練を発表した。普天間基地の危険性除去どころか、普天間の危険性の全島への拡大である。
防衛省は長い間、オスプレイの普天間基地への配備説を否定してきた。欠陥機との認識があったがゆえに、県民にひた隠しにしてきたといわざるを得ない。正式発表した途端に、フロリダでの墜落事故である。おそらく、沖縄県民でオスプレイ配備に賛成する人はいないはずだ。県民全体が怒り心頭というのが現実だろう。
このまま、米国と防衛省がオスプレイの配備を強行すれば、沖縄は復帰40年前の怒りの島と化すだろう。消費税増税、原発再稼働、オスプレイ配備、この三点を争点に解散総選挙で民意を問うべき時期である。修正協議の行方がどうなろうとも、このままでは野田政権と自民党の談合政治が横行するファシズム政治でしかない。民主党解体、分裂、もはややむなし、だ。
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