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◎大筋合意は事実上の「小沢切り」だ
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/2012-06-15
2012-06-15 06:32 永田町幹竹割り
最後までもめた消費増税法案をめぐる3党協議が自民、民主両党の大筋合意で、衆院での可決と会期延長へと大きく動き出した。この結果政局の焦点は民主党内の了承手続きに移行する。ここで潮流に待ったをかけて立ちはだかるのが民主党元代表・小沢一郎と元首相・鳩山由紀夫だ。この期に及んで消費増税法案に反対で足並みを揃えた。マニフェスト原理主義者の小沢と、「国民的冷笑の人」鳩山が、「総選挙圧勝をもたらした公約を棚上げにするのがけしからん」で一致したのだ。近ごろの「政局」にとっては欠かせないこのコンビだが、小沢も方向音痴の「鳩が出るぞ」が頼りでは、勝利はおぼつかない。昨年の首相・菅直人への不信任案への体たらくが如実にそれを物語る。
民主、自民、公明3党は14日までに、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連7法案の修正で大筋合意した。この結果、7法案とは別に自民党が“仕掛け”ている「社会保障制度改革基本法案」の扱いに移行した。15日未明までぎりぎりの折衝が続いた結果、民主、自民両党で基本合意に達した。焦点の最低保障年金の創設と、後期高齢者医療制度廃止の撤回問題で、自民党が文言で柔軟姿勢を示し、両党とも有識者による「国民会議」への“棚上げ”で決着した。筆者が7日の段階で予想したとおりとなった。自民党にしてみれば合意をしなければ解散が先延ばしになるとの判断がある。また大筋合意は政治的には自・民両党による「小沢切り」を意味する。自民党の関心は合意後の民主党の“分裂”に移行しつつある。首相・野田佳彦の姿勢は明らかに反対派の離党やむなしである。
こうした土壇場状況の中で、出てきたのがもっぱら政局を糧として生きる政治家達の“うごめき”だ。鳩山は自身のグループで「何のために消費税を増税するのかがまるで欠落しており、このままでは国民が納得するはずがない。今の野田政権は考え方が転倒しており、われわれとして何ができるか考えながら、行動で示していく必要がある」と“決起”を促した。だがこの鳩山の主張は相も変わらぬ「方向音痴性」に満ちあふれている。「何のために増税するか」などと今頃言い始めているのは、問題が自らの能力の許容範囲を超えていることを物語る。いまごろ破たんしたマニフェストにすがるようでは、「まるで欠落している」のが、自分の脳細胞であることが分かっていない。
一方で繰り返される小沢の発言は「国民への冒涜、背信」だ。14日も「政権交代で主張した、いろいろな政策をかなぐり捨てても、消費税の増税を実現しようという向きがあると聞いているが、それはわれわれ自身の自殺行為であり、国民に対する冒とく、背信行為だ」とボルテージを最高レベルに上げた。しかし国民の方は「待ってくださいよ、小沢さん」と言いたいだろう。自らの政治資金で4億円ものカネの動きを「知らない」で通すのが、国民の政治家への信頼に対する冒涜でなくて何なのだろうか。背信そのものでもある。これを言ってもカエルの面になんとやらで無駄だろうが。
その2人が14日会談して「民主党が政権を取ったときに約束したさまざまな公約が、棚上げされそうになっている。このまま消費増税だけに突っ走ることになれば、国民がとても納得できる話ではなく、そうなれば法案には賛成できない」(鳩山)という点で一致した。マニフェスト至上主義者の2人が総選挙で「政権を取れば16.8兆円がひねり出せる」とするばらまき公約で国民を欺いたものの、馬脚が現れて消費増税の選択しかなくなってきていることなど、知らぬふりだ。しかし、2人が反対で合意に達しても“勢い”が見られないのはなぜか。鳩山が「野田君に直談判する」と息巻いても、小沢は「おれも野田君に言ったんだが、言うことを聞かない」と乗り気を示さなかったと言われる。野田のぶれない勢いに気圧されているのだ。
小沢の脳裏には昨年夏に鳩山から食らった苦い経験がよぎっているに違いない。小沢と鳩山は自民党が提出する菅内閣不信任案に乗ろうということで一致していた。ところが鳩山が菅との会談の結果を踏まえて、小沢を裏切ったのだ。鳩山は不信任案採決当日である6月2日の代議士会で「民主党がバラバラに見えてしまっては国民から『何をやっているのか』とそしりを受けてしまう。一致して行動できるようにしたい」と小沢に置いてけぼりを食らわしたのだ。
小沢にとって鳩山は信用出来ないし、頼りにもならない。しかし利用できるうちは利用したいという魂胆があるに違いない。背景には小沢が信奉する“数の力”がある。ルーピーでも数のうちなのだ。小沢と鳩山が一致すれば、中間派も反対に向けて雪崩を打つという読みがあるのだ。小沢は野田がもう説得しても聞く耳持たずに、自民党と共に増税に突っ走ると読み切っているのだろう。しかし野田は、反対派を切る事態となれば、解散を決断することは間違いない。その場合はただでさえ8〜9割が落選する小沢チルドレンや鳩山グループに刺客を立てて、血で血を洗う激突も辞さないだろう。既に始まっている多数派工作の中で、チルドレンや鳩山グループにも迷いが生じ始めていることも確かだ。「民・自合意」は滔滔(とうとう)たる消費税成立への流れである。小沢は取り残され孤立したのが実態だ。総選挙の結果までのスパンで判断すれば、小沢の1人負けと「鳩山落選の危機」が濃厚であり、両者にとって展望はない。
◇
民主“内戦”状態 「反増税派」結集、執行部にも亀裂
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120615/stt12061508110003-n1.htm
2012.6.15 08:07 産経新聞
社会保障・税一体改革関連法案をめぐる修正協議が大詰めを迎え、民主党内の抗争が激化している。倒閣も辞さない小沢一郎元代表は14日、親小沢派でも反小沢派でもない「中間派」も巻き込んだ多数派工作に邁進(まいしん)。採決先送りを狙う輿石東幹事長は野田佳彦首相からの信頼を失いつつあり、今や不満分子の動きを黙認する立場をとっている。民主党は「内戦」状態に突入した。
14日夕、都内の憲政記念館に議員約120人が集結した。「消費大増税採決に反対する超党派国民集会」と銘打たれた集会は小沢系が主導。「大増税阻止」と書かれたのぼりが立ち並び、「野田政権打倒」に向けた決起集会の様相を呈した。
小沢氏は挨拶に立たず、代わってマイクを握ったのは鳩山由紀夫元首相。
「談合で増税だけを決めるのは主客転倒だ!」
会場のボルテージは最高潮に達した。その夜、「小鳩枢軸」の2人は都内のホテルで密会した。
鳩山氏「野田さんと近く会談するつもりです」
小沢氏「野田さんはかたくなに『賛成してください』と言うだけだ。会ってもそうだと思うよ」
民主党の創立者と自負する鳩山氏には、できれば党分裂は避けたいとの思いがある。しかし、小沢氏と首相の亀裂を修復することは、もはや不可能だ。小沢氏は14日昼のグループ会合でも、首相のとる増税路線を「われわれ自身の自殺行為であり、国民に対する冒涜(ぼうとく)だ」と糾弾している。
小沢氏と別れた後、鳩山氏は記者団に「国民に約束したことを棚上げし増税に突っ走れば、賛成はできないことで一致した」と明言した。
もっとも、小沢、鳩山両氏にとって戦況は不利だ。もし、一体改革関連法案をめぐる修正協議が調い、自民党が衆院採決で賛成票を投じれば、小沢系と中間派が手を握っても、成立を阻止することは難しい。
首相側はすでに「造反リスト」を作成済みで、採決で勝算ありと踏む。首相が強気なのはこのためだ。
前原誠司政調会長も14日の記者会見で、中間派が意見調整のための両院議員総会の開催を求める署名集めをしていることについて「両院議員総会は政策決定を行うところではない」と切り捨てた。
一方、これまで首相と小沢氏の間を取り持ってきた輿石氏の立場が微妙になってきた。首相は13日の政府・民主三役会議で自民党の対案を修正し共同提案するよう前原氏に指示したが、実は輿石氏はこのことを事前に聞かされていなかった。
首相の意に反して採決先送りに執念を燃やす輿石氏が首相からはしごを外されるのは自業自得だが、問題は、中間派の旧民社系に所属する城島光力国対委員長も首相の意図を事前に知らされていなかった点だ。旧民社党系の幹部は警戒感を隠さない。
「民主党を割って自公と一緒にやるという前原氏と仙谷由人政調会長代行の思惑に首相は近づいている」
前原、仙谷両氏は同じグループに属しており、「派閥闘争」のにおいが漂う。
自民党古賀派の14日の定例会では出席者からこんな発言が飛び出した。
「民主党の“治安”がどうなるかを見ておかなければ。シリアのようになるのかどうか…」 (坂井広志)
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