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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120604-00000301-wedge-cn
外国人登録法違反の疑いで警視庁公安部から出頭要請を受けながら本国に帰国した中国大使館の一等書記官。農水省の機密文書を入手していたとされるなどスパイ活動への関与も疑われている。
■促進事業のきっかけ「勉強会」の実態
この書記官が深く関わっていたのが日本産食品の中国への輸出を促進する事業だ。この事業は、民主党衆議院議員の元公設秘書を代表理事とする社団法人・中国農産物等輸出促進協議会(以下、促進協議会)が中心となり、日本の企業や団体から会費を募って北京に日本産食品の常設展示館を開設することを目指している。
そもそもこの事業が始まるきっかけは、2010年に始まった民主党の農水族議員らが中心となって立ち上げた非公式な勉強会「農林水産輸出産業化研究会」だ。民主党議員のみならず、中国大使館関係者や中国系シンクタンク、さらには農水省官僚らが参加していた。そのなかに帰国した一等書記官もいたという。参加者のひとりによると、勉強会のねらいは、かねてから農水省が力を入れてきた農産物の海外輸出をさらに促進するために、まずは対中輸出に必要なノウハウを学ぼうというものだったという。
その参加者はこう語る。「農水省関係者から『中国市場は有望だけれども、輸出相手の見極めがむずかしく独特の商慣習への対応も必要だ』との意見があったので、中国側から中国農業部(農水省)傘下の国有企業・中国農業発展集団を相手にしてはどうか、と提案があったのです。
中国農業発展集団も日本の農産物の輸入に意欲を示していましたが、当初は農水省の紹介で日本の生産者団体と直接取引して安価で確実な輸入を希望していたようです。しかし、どういう訳か日本側では農水省の外側に社団法人を作って、そこに会費を払って入会した企業や団体のみ中国側と取引ができるようにするというスキームができあがったのです」
■年会費25万円で検疫なしで出品?
こうして立ち上がった促進協議会は、国内の企業や団体から会費を募るにあたって、「年会費25万円を納めれば、北京に開設する常設展示館に特別管轄による手続き、つまり検疫なしで出品できる」と説明していた。これに応じて会員となる企業も実際に現れてきた。昨年12月25日には訪中した野田佳彦首相がこの展示館を視察。中国側からは日本政府がこの事業を全面的にバックアップしているかのように見えたことだろう。
ところが、実際には検疫なしで食品を持ち込むことについて中国で検疫を管轄する質検総局から了解を得ていなかったようだ。実際、促進協議会がサンプルとして3月に中国に送った米880キロ、粉ミルク88キロ、日本酒40リットルは、質検総局によって5月に廃棄処分にされてしまっている。
■煩雑な中国の検疫手続き
この事業の実現性を農水省の官僚は早くから危ぶんでいたようだ。関係者によると、昨年12月に北京にある日本大使館を通して質検総局に対して「検疫なしで食品を展示場に持ち込むことに同意したのか」と農水省が問い合わせたところ、質検総局は「日本の農林水産品、食品を北京で常設展示することについてわが局は全く事情を承知していません」との回答を得ていたからだ。さらに、今年3月にも筒井農水副大臣が記者会見で、中国側と協議を行い、検疫なしで輸出ができるようになったとの旨の発言をしたところ、質検総局が日本大使館に「このような発言が本当にあったのか」と問い合わせてきたという。つまり、質検総局にしてみれば、「そんなの聞いていない」ということだ。こんな根回しでは到底、検疫なしを実現することはおぼつかない。
実現性が危ういのに国内の企業や団体から資金集めをしていたのではないか、促進協議会の代表理事に記者がそう指摘すると、「それは中国側の受入窓口の中国農業発展集団と質検総局が協議すべき問題で、われわれには責任がない」と答えた。
■中国産の10倍以上の日本産米
それにしても、検疫なしで北京の展示館に出品できることがなぜ重要なのだろうか。実際、会費を支払った企業も存在する。じつは背景には、中国特有の煩雑な検疫手続きがある。
たとえば、米を見てみると、中国は2003年以来、日本米にはカツオブシムシという害虫がいる恐れがあるとして、輸入にあたって指定工場での精米と害虫駆除のための燻蒸処理を義務づけている。このうち中国の検疫当局の承認を受けた指定工場は神奈川県綾瀬市にある全農の関連会社の工場しかなく、燻蒸処理についても横浜市内の施設しかない。農水省では国内8カ所で新たな燻蒸施設の整備を急ぐが、いまところ年間の最大処理能力は、精米工場が年間約5万5000トン、倉庫が同約3000トンしかない。
中国国内では富裕層の台頭にともなって品質の高い日本米への関心が高まっているが、現状では輸出したくとも中国側の検疫が高い壁となってできないでいる状態が続いているわけだ。
また、このような処理を行うこともあって、中国で売られている日本産米は1キロ当たり約1500円と現地産米の10倍以上。いくら富裕層が好むとはいえ、これではあまりにも価格差が開きすぎている。
米以外の食品についても、「中国の検疫当局は食品の輸入には神経質な面があり、しばしば恣意的で理解不能な判断をすることがある」(食品を扱う商社の関係者)
このため、検疫が免除される特別措置の実施という促進協議会のうたい文句は、食品を扱う多くの企業にとって魅力的なものだったのだ。
■まったく進まない会員拡大
ところが、わざわざ会費を払った上で促進協議会を通して中国内の特定の取引先へ輸出する、というやり方は農業関係団体に不評だった。
昨年5月、促進協議会を後押しする農水省輸出促進室は農業団体に入会を呼びかけたが、そこでは「いままで中国との間でできたルート以外で輸出事業をやり始めると、既存のルートをとりもってきた商社や小売・卸売業者から国内市場より排除される危険性がある」「会費をとって特定企業につなぐというのは、囲い込みではないのか」などを理由に入会しないところが多かったという。また、全農も促進協議会に冷淡で、会員拡大はまったく進まなかった。
当初、「1000社、あるいは3000社と会員を増やす」(促進協議会の代表理事)としていたのに、3月14日の参議院予算委員会での筒井信隆農水副大臣の答弁によると、今年2月現在で、会員企業・団体は20にとどまった。
こうなると、当然予定した資金が集まらない。そこで促進協議会では発足早々、初期活動資金とするため基金募集を行うこととした。昨年8月16日付で促進協議会が出した「基金募集に関する通知」によると、8月末日までに募集する総額は3億円(1口100万円、300口)。
■北京常設展示館もオープンの目処立たず
基金に応募するよう勧誘を受けた団体の関係者は、こう語る。
「はじめは農水省の肝いりで始められるという事業なのに、なんで巨額の基金募集をしなくてはならないのか、不思議でした。ところが、説明の際に提供された初年度の事業計画を見ると、北京の常設展示館の経費として4億円が計上されていました。年間の使用料が2億円、内装工事費が2億円だというのです。まだ具体的に収益のあがる事業がなく徒手空拳の段階で、なんでこんな巨額経費を使うのか理解に苦しみ、お断りしました」
促進協議会がこれまでに集めたのは、1億8000万円あまり。事業計画で経費として計上した4億円には程遠い。しかも、促進協議会がウェブサイトで5月中旬にオープン予定としていた北京の常設展示館は、これまでのところまったくオープンのメドは立っていない。
中国の検疫制度のハードルの高さを利用して資金集めをしていた今回の事業。野田首相が視察までしておきながら、いまさら「実現は困難になりました」では済まされない。しかも、そこに中国のスパイが関わっていたとなると、あまりにもみっともない。
WEDGE編集部
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