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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120611-00000001-voice-pol
◆赤い民主党VS.黒い民主党◆
「民主党がどうしようもなくダメなのは、わかっている。でも、そのなかで、少しでもマシだと思う政治家がいたら教えてほしい」
最近、霞が関官僚や野党議員からこんな質問を受けることが増えた。そして、残念なことに、私はいつも答えることができない。国民の負託を受け、税金で政治活動をしている以上、「有権者に約束したことを果たそうとする」のは当然の姿勢で、権力に固執し、政争に明け暮れるなどもってのほかなのだが、その当たり前のことすら、現総理大臣は理解できていないと感じるからだ。その最たる事例が、政権交代で民主党が錦の御旗として掲げた「脱官僚」のスローガンと、野田佳彦総理が「政治生命を懸ける」と断言する「社会保障と税の一体改革」だろう。
ゴールデン・ウィーク明けの東京・銀座。色鮮やかなドレスや豪奢な和服に身を包んだ美しいホステスを従えて、政府・与党社会保障改革本部(本部長・野田総理)のメンバーの何人かが「クラブ」で会合を開いていた。繊細なシャンパーニュグラスには、黄金色の細かい泡が立ちのぼる。この晩の話題はもっぱら、9月の代表選挙で小沢元代表が誰を傀儡として担ぐか、ということだった。
政権交代から3年弱が過ぎ、民主党は完全に弛緩している。もはや野田総理は、党内で頼れる議員がいない現実を知ってか、脱官僚どころか「親官僚」の旗を揚げそうなほど、霞が関に頼り切っている。
国債の残高が700兆円を超え、高齢社会へまっしぐらに進むわが国では、社会保障の歳出が毎年1兆円ずつ増えていく。歳入の大幅な増加が見込めない経済状況では、増税はある意味で仕方がないことだ。しかし、震災から立ち直れずにいるいま、消費税関連法案を通さなくてはいけない理由も、税率引き上げ時期の目標を経済状況の前提なしに入れる理由も、国民にはまったく伝わっていない。それは、たんに説明不足だからではない。政府内の意見が「一体化」しないまま3月末に強引に閣議決定したことで、政府内でも話す人によって説明内容が異なるという異様な状況が原因なのである。
そもそも民主党はマニフェストのINDEX2009に、消費税は「5%を維持」「財政赤字の穴埋めには使わない」と明記した。変心し、総理が「政治生命を懸けて増税する」という以上、速やかに法案を通し、解散して民意を問うのが政権与党の筋というものだろう。実際、総理の意向は「8月まで国会を延長し、野党と協力して法案を通し、解散。同時に、増税に反対する小沢一郎元代表グループ(以下、小沢G)を切れば、支持率は一気に回復する。それで選挙に臨み、連立政権樹立にひと役買う」というものだ、と周辺からは聞こえてくる。
民主党内は現在、“赤(執行部)”と“黒(反執行部=小沢G)”に分かれている。代表選前に解散すれば、“黒い民主党”は壊滅するが、総理に近い“赤い民主党”議員は生き残り、さらに権力の側に居残ることもできるというわけだ。
だが、それでは小沢系議員は困ってしまう。小沢Gは比例で当選した議員が大半を占め、次の選挙で勝ち上がってくる可能性は、限りなく薄い。「次期衆院選は来年7月の参院選とダブルがいいのでは」――小沢氏の盟友・輿石東幹事長からはこんな発言が飛び出す始末だ。
「社会保障と税の審議も、小沢系は自民党が応じなければありがたいと思っている。引き延ばしてくれるほど、解散が遠のくからです」(“赤い民主党”中堅議員)
参議院の多数派を野党が握るねじれ国会のなか、民主・自民とも、関連法案をめぐり「執行部VS.反執行部」という対立を強めている。しかも政権党である民主党のほうが「党内野党」の力が強く、制御できていない。輿石氏は、民主党が現状のまま政権党に留まることと、自分が幹事長の椅子に座り続けることしか考えていないのだろう。
「輿石さんは、国会を延長しないことも考えていると聞きます。閉じてしまえば、問責決議が可決され辞任を要求されている田中防衛相も前田国土交通相も守ることができますから」(前出議員)
両名とも、小沢色の強い閣僚である。それでも、上司である野田総理から、輿石幹事長の発言や行動を強く諌める声は出てこない。これでは、強いリーダーシップどころか、政策への信念すらないと疑われても仕方がない。
◆簡単に刷り込まれる閣僚たち◆
そもそも野田内閣は、「直勝政権」と呼ばれるほど勝栄二郎財務次官の影響下にあると批判されている。批判の内容は、概ねこういったものだ。
「代表選を仕切ったのも、増税法案を主導したのも、原発再稼働を働きかけているのも、すべて勝次官の指令を受けた財務官僚だ」
事実なら、政策の是非は別として、野田総理は財務官僚のパペット(操り人形)ということになるが、それもあながち否定できない。代表選挙時、議員会館の野田事務所や野田事務所が鍵を管理していた議員面談室には、財務官僚が昼夜を問わず詰めて、選挙対策を練っていた姿が目撃されている。増税は「財政健全化」をめざす財務省の悲願でもある。
1975年以降、赤字国債が発行されなかったのは、バブル絶頂期の90〜93年のあいだしかない。「(野田氏は)財務副大臣、大臣として国際会議に出るうちに、日本の国家財政がいかに困難な状況にあるかを認識するようになった」と財務省幹部はいう。事実であったとしても、野田氏が簡単に刷り込まれる政治家だったという批判は免れない。
このことは前原誠司政調会長、仙谷由人政調会長代行、枝野幸男経済産業相にもいえる。彼らは政権交代前、「官僚丸投げ」の政治を声高に批判し、「本物の政治主導」を表明した。しかし、原発再稼働問題にしても、ここまで国民から批判されるのは、止める理由も再稼働する理由も不透明なうえに、納得できる未来図もみせないからだろう。
円高に加え電気料金の値上げとくれば、企業にとってはダブルパンチだ。人件費の安い海外に出たがっていた企業には、いい口実になる。影響は国内の中小企業にまで及び、雇用縮小につながることは目にみえている。かといって、放射能の危険が消えたわけでも、原発の安全性が明確にされたわけでもない。そうした現実を、肝心の枝野経産相が国民に発信できていない。
『東京新聞』4月11日付には、「『チーム仙谷』再稼働主導」という見出しで、勝財務次官が野田総理に再稼働を働きかけているという記事が掲載された。否定はしないが、最も邁進しているのは枝野経産相だろう。なにしろ経産省幹部から、「枝野さんはよくやってくれている。現政権の閣僚は比較的まともな人が多いが、そのなかでもハナマルだ」と手放しで褒められる始末なのだ。
この記事に関して財務省は、ホームページで異例の抗議文を発表した。それもどうかと思うが、いま民主党のベテラン議員や閣僚はこうした「抗議」ではなく、メディアを訴えるケースが異様に多い。とくに“赤い民主党”にその傾向は強い。
大物と呼ばれた政治家が存在していた時代、彼らは「公人の立場」を理解していたので、批判もある程度は当然と受け止めていた節がある。ところが、小物揃いの民主党では活動家精神が抜けないのか、そうはいかないらしい。この点、地方政党にすぎない「大阪維新の会」の爪の垢でも煎じて飲んだほうがいいのでは、と思う器の小ささである。
4月末、日本・米国議員会議がワシントンで開催された。団長は仙谷議員。訪問団の議員たちと晩餐を楽しんでいたところに「『週刊新潮』との名誉毀損訴訟で勝訴。賠償額が330万円」との連絡が入った。仙谷氏は、「今日は俺が(食事代を)もつよ」と喜びを隠せない様子だったという。
この例に倣ったのか、玄葉光一郎外相が3,300万円の賠償を求めて週刊誌に対し訴訟を起こした。インターネット上には「プライドだけは一人前」というコメントも出ていたが、まったくそのとおりだろう。かくいう私も、福山哲郎元官房副長官にブログ記事で「怖いです〜」と書いたところ、激しい精神的苦痛を受けたとして現在、それを含めて約900万円の賠償を求められ、付帯控訴されている。精神がそれほど脆弱な政治家に、参議院の外交防衛委員長が務まるのかと驚き呆れてしまう。
資質に疑問符がつくのは男性議員だけではない。現在唯一の女性閣僚である小宮山洋子厚生労働相もそうだ。2009年に政権交代して以来、誕生した女性閣僚はわずかに5名。千葉景子法務相(鳩山政権)、福島瑞穂男女共同参画担当相(鳩山政権)、岡崎トミ子国家公安委員長(菅政権)、蓮舫行政刷新担当相(菅・野田政権)、小宮山洋子厚労相(野田政権)だ。
千葉元大臣は、10年の参議院選挙で落選したにもかかわらず、49日間も大臣の椅子に居座り続けた。蓮舫元大臣は事業仕分けで「2位じゃダメなんですか?」との発言で注目された以外、目立った功績はない。小宮山厚労相に至っては、「政策も意見もない。われわれ官僚にとっては、二点にさえ目をつぶれば、このうえなく楽な大臣」と厚労官僚から評されるほど扱いやすい大臣であるという。
彼らのいう二点とは何か。一つは「朝レク」をやりたがらないことだ。国会会期中は早朝から秘書官が、迎車のなかで答弁のレクをするのが、これまでの慣習だった。そのために役人は徹夜でペーパーをつくり、早朝からレクを続けた。ところが小宮山大臣は「朝早いのは嫌」といって嫌がるのだという。仕事が減って楽になったせいか、厚労官僚の幹部クラスを夜の赤坂で見かける機会が増えた。彼ら自身、「わが省は脳死状態」と自嘲気味に語る。
自民党の高市早苗議員が内閣府特命担当相だったころ、「本会議のある火曜日の朝は、とくにたいへんだった。100問分のQ&Aがペーパーで渡される。1問も当たらない日が何カ月も続いたこともある。それでも全部読み込んで覚えた」と、インタビューで語っていたことがある。
では、小宮山大臣は何に熱心なのか。それが、厚労官僚のいうもう一点。月に何度も更新される「国会答弁作成にあたっての留意点」というペーパーである。小宮山大臣が答弁や挨拶メモに目を通していないわけでは決してないというのが、これをみるとよくわかる。
ペーパーのトップには、「できるかぎり簡潔な文章とし、冗長な文章とならないよう留意してください」「日常で使用しないような用語は避け、分かりやすい文章としてください」という注意点が明記され、例が31も載っている(現在も更新中)。いくつか拾ってみると、「我が国→日本」「我々→私たち」「現行の→現在の」「及び→と」「○○者数→○○者の数 ※読み上げメモの場合」……。どうでもいい部分にこだわっているようにしか思えない。
さらには、「大臣レク時の留意事項等」というものもあり、資料について細かい指示が書いてある。それも、「ホチキス留めは避け、ゼムクリップで留めたものをご準備ください」「大臣挨拶がある場合には、演題の有無についても確認・説明をお願いします」など。もっと別のことにその情熱を傾けてくれ、といいたくなる。厚労省幹部いわく、「まあ、頼んだ仕事も完璧にお膳立てすれば機嫌よくやってくれるからいいですよ」。
たとえば、年末の財務省の予算案では、基礎年金の国庫負担分の2分の1(2.6兆円)分を補うため将来の消費増税を財源とする交付国債を発行するとあり、大ブーイングを受けている。前出の厚労省幹部は得意げにいう。
「阿曽沼次官が強硬に渋るよう小宮山大臣を焚きつけたからです。粉飾予算と批判された財務省はかわいそうでしたけど(笑)」
ちなみにこの交付国債は、「社会保障と税の一体改革」の審議とはわけられ、ひっそりと赤字国債に変わる予定だという。それでは粉飾どころか詐欺に近いが、率先しているのが野田総理や安住淳財務相だというから言葉を失う。
◆暇を持て余す1年生議員◆
小宮山大臣が官僚のパペットにすぎなくても、少なくとも仕事をしているようにみえてしまうが、名もない1年生議員などは出番もなく、官僚から相手にすらされない。彼らはどうしているのか。「風」だけで通った1年生参議院議員は、とくに暇を持て余しているようだ。
外交防衛委員会に所属する民主党1年生には、ほとんど顔をみない議員がいる、とある野党議員は苦々しげに語る。だが驚くことに、田中防衛相の反対討論を、この議員が担当していたというのだ。
「自分の原稿と田中大臣が彼に渡した原稿を一緒にして棒読みしていたので、何をいっているかさっぱりわからず、怒りを通り越して茫然としました」
驚くのはそれだけではない。この議員が院車で東京ドームホテルの前で降り、裏手の「スパ・ラクーア」に平日の昼間からてくてく入って行くのも目撃されている。
「与党ともなれば、参議院1年生でもそれほど優雅な生活ができるのかと羨ましくなりましたよ。よほど時間とお金に余裕があるのでしょう」
自民党政権の末期、私はその体たらくに呆れ、自民党は下野すべきだと思った。「一度、民主党にやってもらってもいいのではないか」とも感じた。しかし、いま明確にいいたい。政権交代は誤りであった、と。少なくとも、民主党に政権を渡すべきではなかった。国民に対する良心が少しでも残っているのなら、民主党は下準備を整えたうえで、一日も早く解散すべきだ。
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