URL:http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/7611054d7cdc870fa4cbaabedaaeb0a0

　今夜は時間がないので、ササッと現状の政局について語っておく。既に、消費増税法案は、マスメディアが、未だに与野党協議に関して“あぁでもない、こうでもない”と言っているが、終わったと筆者は主張している。あて推量だと非難しても良いが、法案は、完全に宙に浮いてしまった。要因は数え切れないほどある。

　第一に、政策自体が間違っている事だ。第二に事を進める順番が前後した為に、悪政ばかりが目立ってしまった。第三に、野田と谷垣と云う政治運営の素人が、旗幟をあまりに鮮明にし、双方が高々と戦国武将の勢いで居丈高に出てしまった態度だ。第四に、小沢一郎の存在感だ。第五に、世界の経済財政事情が、財務省のシナリオと異なる方向に動いてしまったことである。

　これだけ悪条件が揃えば、処世訓政治家・野田佳彦に救いの道は、殆ど残されていない。なんといっても民主党マニュフェストの全面放棄は口が裂けても言えないのに、自民谷垣らは、民主党政権自体の放棄に近い要求をしてしまった。これでは、まとめるだけでも数年掛かる（笑）。つまり、纏まらないのだから、法案は消滅。最高でも、継続審議だろう。

　朝日新聞の世論調査であるにも関わらず、消費増税法案を「今国会で成立させるべき」はたったの17％だった。多分真実は10％が良い所だったのだろう（笑）。法案自体の賛成でも32％、反対が56％だ。朝日による、過去5回の調査でも法案賛成34％が最低だったが、それを大幅に下回った。特に男性の賛成が4割以上から35％とに落ちたのが目立つ。この意味するところは、世界経済財政の諸条件が劇的に変わったことを印象づける。つまり、増税なんて言っている時か！と云う認識が流石に増えてきたと云う事だろう。

　だいたいが、野田首相が死ぬ気で法案を通したいのなら、海外にノコノコ出て行く時間などない。法案を強行採決で通そうが、話し合いで通そうが、次期民主党代表に選ばれる可能性はゼロ。つまり、日本の内閣総理大臣ではなくなるのは確実なのだから、外交に副総理や副大臣、或いは元首相鳩山が代理で行っても、怒る相手は居ない。現実は、野田にはもう消費増税法案への“不退転”の気持はさらさらないから、G20、国連持続可能な開発会議（リオプラス２０）と外交日程に前向きなのだろう。党幹部、特に輿石幹事長に法案成立の日程を任せ“俺外交”では、辻褄が合わない。

　つまり、マスメディアが与野党協議がどうだこうだ言っているが、あれ自体“消化ゲーム”の遊びだろう。筆者の穿った二度に亘る三者会談（小沢・輿石・野田）は三者会談だった点がポイントだ。岡田・仙谷・前原等も蚊帳の外、本当の中身を知ることが出来ず、岡田等の苛立ちは頂点に達している。なぜ、野田佳彦は、消費増税法案の強行に慎重姿勢な二人と膝を交えたかだ（輿石は隠れ反消費税）。どう云う“落とし処が良いのか”それが会談の中身ではないかと推測するのが自然だ。

　野田が会談に先立ち、何度となく「小沢さんも、消費増税に反対なわけではない。問題は時間軸だ」と再三再四口にした。これが野田のアリバイづくりである可能性がある。「この法案によって党が割れることはない」と輿石は宣言している。つまり、マスメディアの嘘解説を省けば、時間軸の調整が必要だ。民主党を割らない事が最重要課題だ。解散なんてトンデモナイ。なら、どうして未だに野田首相は強弁しているのか？

　答えは簡単。あくまで財務省を敵に回さない事が肝要、と云う一致点があったのだろう。野田も今さら、「勝さん、アンタの考えは無茶だ」とも言えない。輿石・小沢に潰された、無力な首相を演じさせてやる、と云う事だろう。此処からは、穿ち過ぎのきらいが大ありの憶測だが、「継続審議の中、徹底した行財政改革の政策が明確になれば、野田内閣の継続もあり得るだろう」と云うニアンスの話もあったかもしれない。「野田首相も、シロアリ退治の演舌を、舌禍のままにしたくはないでしょう？」輿石なら言いそうだね（笑）。

　消費増税法案は完全にフリーズした。レンジでチンでは解凍出来ない固さのフリーズだ。それでは“不退転”の責任は“総辞職”本来ならその通り。たしかに、概ねそうだろう。しかし、であれば二度も三者会談した意味はない。野田の責任の取り方に、僅かに残されたのが「徹底的・行財政改革」と云う表明だ。コチコチの氷の塊りを溶かすには「“シロアリ退治”を含む“行財政改革”が先行する事だ〜」と云う、過激な宣言があれば、お手並み拝見でも構わない、と小沢が逃げ道の一つを示唆したかもしれない。小沢一郎には、そう云う弱点というか、魅力というか、そう云うものを持ち合わせた政治家なのだ。

　筆者の、穿ち過ぎな憶測が外れて、総辞職が一番スッキリすることは事実だが、さて事実は如何なることになるのだろう。「総辞職」か、「シロアリ退治不退転」宣言か？おそらく、野田の政治的決着には上記の択一が残されているような気がする。「総辞職」は“一丁あがり”で下り坂だけが待っている。「シロアリ退治不退転」宣言なら、僅かに代表続行の芽も残る。さぁ野田君は、どっちを選ぶのだろう？
　

コメント
01. 2012年6月06日 14:35:16 : iafDRn0MIU あなたの名推理に感服しております。 二者択一、私は「シロアリ退治不退転宣言」を期待します。
02. 2012年6月06日 15:14:16 : Op2sM8LHZQ 　分らんでもないが、野田は信じられる人物ではない。 この際、一切を小沢氏が掌握することだ。 「言訳しかできない」愚か者に時間的余裕を与えてはいけない。国民はもう待てない。 国家存亡の危機は緊急している！
03. 2012年6月06日 15:29:32 : L3niPqG0D2 小沢一郎に権力集中の方が話は早いが そうもいくまい。 一定の妥協として このコラムのような推理も成り立つ。 仮に野田の総辞職だと 次なる代表の座の選出で一苦労する。 馬鹿な民主党議員も多数のため 前原首相等という、地獄絵図を見ないとも限らない。 それなら、反省の弁を述べて シロアリ退治発言への回帰の 野田の方が安全パイだといえる。 勿論信用など出来ないが、仙谷や江田五月ら魑魅魍魎弁護士に、動く隙間を与えないのが妥当ではないのか
04. 2012年6月06日 17:22:57 : 04cHXUDrI2 いまの消費税めぐるこのドタバタ劇は、民・自・公その他諸々の党派が野合するためのアリバイ作り的猿芝居にみえる。 裏で誰が采配しているのかは、皆分かっているとは思うのだが…。
05. 2012年6月06日 17:32:10 : xRxmzJdqBs ＞　「シロアリ退治不退転」宣言なら、僅かに代表続行の芽も残る。 いやぁ、今さらこういうことを言っても信用する人がどれだけいますか（苦笑） 財務官僚に洗脳されたとは、よく言われる。 学習できない人に、何か　覚醒したようなところ　ありました？
06. 日高見連邦共和国 2012年6月06日 18:30:06 : ZtjAE5Qu8buIw : C7Wqvb1wZA ３日に小沢一郎と２度目の会談を経て、すでに貴重な時間を“３日”も費やして、何がどう“進展”してるのか？ 涙も催さない位“哀れ”としか言い様がない。
07. 2012年6月06日 19:42:29 : KZWsL1KpwQ 『＜オザワン氏＞ほど、政治家と言う存在の大半の“薄っぺらさ”を経験的に熟知している真の政治家は、誰一人存在しない。』 ＜オザワン氏＞が口が酸っぱくなるほど繰り返し主張していることは、「真の民主主義に確立」であり、そのための「一人ひとりの有権者の成熟」なのであります。 私は、この一点だけでも、仮に＜オザワン氏＞と全く異なる社会像を夢見ていたとしても、＜オザワン氏＞の民主主義国家の基本理念に賛同します。 「国の形」も「運営方針」も「国民の総意」で決める…これが「民主主義の基本理念」であります。そのプロセスでは、賛否両論＆三論もありましょうし、既得権益族の抵抗もありましょうし、熟議の困難さもあるでしょう。が、ソレデモ、議論を尽くした上で「多数決を採る」ってのが民主主義の根本的な“ルール”ってこと。 で、“ムリクリ消費税増税案”なんてものは、「民主党」の多数決ルールを逸脱して、勝手に＜口曲がり・マエハラ政調会長クン＞が口先で言ってるだけのこと。閣議決定すのは勝手だが、「党」が本当にそれを認めた、という手続きの整合性は全く無い！ただ空中浮遊してるだけの＜ノダメブタ内閣＞がそう言い張っているだけのことなんですよ。 ＜ノダメブタクン＞に「不退転の欠（尻）意！」だとか「性事家生命を掛けて」なんて言われもさぁ、その根本の「何が何して何とやら…」や「だからこうなる…」ってのが一切解らない…って言うか、気の利いた説明が一切無いだろう?ってこと。 こんなんでイキナリ「増税します」な〜んて言われたって、「国民」はあぁそうですか…って認めるわけ無いじゃん。 最後は切羽詰って、「時間軸の問題」だとか言い散らかして“敵前逃亡”ってダラシナサ。 もう、“ムリクリ消費税増税案”は終わり。 ＜バカメディア＞が」どう騒ごうが、なるようにしかならないのが「政治の常」…これからがほんとの「ガラガラポン＝政界再編」…改革のための乱世の時代に突入したのであります。
08. 2012年6月06日 21:19:05 : QmyrjoZuIs 松下世傾塾の終焉だね。 政治家の促成栽培塾の終わり。 理念もビジョンも政策も無い。 何処の政党出ようがそんな事はおかまい無し。 政党の都合、あなた任せ。 こんな政治家は要らない。 こんなに日本の為になる事は無い。
09. 2012年6月06日 21:20:53 : lFtrGPhedw http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012060602000113.html （民主「慎重」１１７人分提出　再稼働問題　小沢元代表らの名も） ★呼び掛け人 荒井　聡・佐々木隆博・畑　浩治・京野公子・太田和美 小泉俊明・石森久嗣・宮崎岳志･小宮山泰子･小野塚勝俊 黒田　雄・岡島一正・生方幸夫・奥野総一郎・東　祥三 初鹿明博・岡本英子・首藤信彦・橘　秀徳・穂高　剛 篠原　孝・加藤　学・近藤昭一・牧　義夫・杉本和巳 鈴木昌彦・平　智之・大谷　啓・辻　恵　・中川　治 阪口直人・山田正彦・福嶋健一郎・川内博史・玉城ﾃﾞﾆｰ 瑞慶覧長敏・工藤仁美・山口和之・三宅雪子・柳田和己 相原史乃・山崎　誠・橋本　勉・玉置公良・菅川　洋 皆吉稲生・徳永エリ・舟山康江・金子恵美・増子輝彦 大河原雅子・森　裕子・米長晴信・谷岡郁子・中村哲治 松野信夫・相原久美子・有田芳生･石橋通宏･大島九州男 今野　東・田城　郁・難波奨二・はたともこ・藤谷光信 ★署名議員 逢坂誠二・鳩山由紀夫・階　猛　・黄川田徹・小沢一郎 石山敬貴・石原洋三郎・渡部恒三・福島伸享・松崎哲久 松崎公昭・櫛渕万里・羽田　孜・斉藤　進・萩原　仁 稲見哲男・村上史好・梶原康弘・馬淵澄夫・古川政重 古賀敬章・菊池長右エ門・石井章・高野守・水野智彦 川島智太郎・小林興起・田中美絵子・今井雅人 大山昌宏・笠原多見子・室井秀子･永江孝子･道休誠一郎 野田国義・主浜　了・岡崎ﾄﾐ子・行田邦子・小見山幸治 斉藤嘉隆・福山哲郎・姫井由美子・江田五月・佐藤公治 武内則男・大久保潔重・外山　斎・江崎　孝 ﾂﾙﾈﾝ･ﾏﾙﾃｨ・那谷屋正義・西村正美・藤原良信
10. 2012年6月06日 21:50:46 : oGt2NtOuC6 ☆あいばさん、するどい切り口ですね。投稿に賛同 　野ぶたさんが、小沢さん、輿石さんとの3人で2回も会談したということは、あいばさんの指摘のとおりなのでしょう。さらには野党との合意なしに採決は行わないとまで言った。すなわち、消費税増税法案の採決は見送ったということでしょう。 次なる課題は９月の代表戦がどうなるかでしょう。いよいよ小沢さんの出番ですね。 ｼﾞｬﾝ

11. 本野一言 2012年6月06日 22:06:22 : Wf2ZrLP0uKwjM : IovVgIyNnw 恐らく今の野田政権にとって一番いいのは長らく政権にとどまっていることです。野田氏はそのことを理解しているからこそ、原理主義者の岡田氏や口先大臣の前原氏を入れないで、小沢氏、輿石氏、との三者会談を望んだのでしょう。 このまま行けば、会期延長してずるずる来年の衆院任期満了の時まで引っ張るでしょうね。 自民の総裁は元大蔵官僚ですから消費税引き上げ賛成。しかし自民党内で全く人望が無いので次回の自民党総裁改選で落選します。輿石氏はそれを見越してずるずる引っ張るだけです。それでいいと思います。税金を上げるのに諸手を挙げて賛成する馬鹿が何処に居ますか。賛成するのは腐ったマスコミと大蔵官僚に毒された腐った政治家それに加えて御用学者だけです。大蔵官僚に丸め込まれた野田氏も今回２回も小沢氏と会談して自分の馬鹿さ加減が解ったのでしょう。このままあと１年総理大臣を続ければ鳩山、菅よりもずっと長く総理大臣を続けられるのです。野田氏にとっては恐らくもう消費税はどうでもいいのではないでしょうか。後は如何にこの座を守るかだけです。
12. 2012年6月07日 04:36:19 : CqLAfJCz8g 細川さんが間に噛んでますね。「小沢さんと輿石さんにまかせなさい」と 野田に進言しているはずです。野田はそもそも市民派、財務省に洗脳された ふりして転機を待っていたフシが見える。｢消費増税に政治生命かける」は まさに名言、いや名演技として後世に残るのではないだろうか。仙谷、野田、 前原らも、野田を操ってきたつもりでいただろうが、野田は操られる芝居を していたのだ。増税法案が絶望的になって「してやったり」とほくそ笑んで いるだろう。この時期、１８日からのG20外遊は、法案との決別、撤退を宣言 するようなもの、小沢、輿石とがっちり握った「勝利宣言」である。前原、 仙谷、岡田らは梯子を外された、財務省も結局、手玉に取られた格好だ。前原は しきりに抵抗をみせているが、他は概ね沈黙してしまった。野田をバカ呼ばわり するなかれ、バカになりきって、国民の罵声に耐えて潮時を待った男。 一連の振り付け、演技指導は、細川護煕さんではないのかと。
13. 日高見連邦共和国 2012年6月07日 09:02:58 : ZtjAE5Qu8buIw : C7Wqvb1wZA 民主党幹部のコメント 『普通に修正協議すれば３ケ月、それだけに専念しても１ケ月かかる案件』 誰のコメントか知らんが（ＴＶはいつもの如く報じない）、当然過ぎる言葉。 今週に入ってドタバタしてんのは『協議に入るための協議』にしか過ぎず、 ＴＶ・新聞報道も、消費税増増法案の“中身”に関しては、確信的に一切触れない破廉恥さ全開！！ “中身の協議”しないで、何で『何時、折り合えるか（採決できるか）』が決まるのサー！！ 子供も見てるんだから、あまりにも馬鹿馬鹿しい低レベルな“３文芝居”と“偏向報道”はやめなされ。
14. 2012年6月07日 09:47:25 : FlUg549ygE 野田や、前原が出て行き自民と一緒になればいいだけの話だと思うのですが・・如何でしょう？
15. 2012年6月07日 10:10:45 : LjDUeYansg 14様、 仙谷、岡田、菅、小宮山、枝野も付けてあげればよい。
16. 2012年6月07日 15:33:57 : ILiTPGkN7Y ↑もっといるではないか。玄場、渡辺、生方、連ホウ、・・・。 自民党の議員が増えるから、自民党は喜ぶ。次回の選挙では自民党から立候補するのがよい。

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