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http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120604/mca1206040501003-n1.htm
■グローバル化 目玉は外務省改革
付き合いの長い霞が関の各省エースの官僚たちと、久しぶりに食事をしながら私的に懇談した。話題は霞が関改革へ移る。まず「霞が関のスリム化」について。意外なほどに全員が大賛成。
◆焼け石に水
「霞が関は半分にしてもいい」と口をそろえる。正論を言えば、人口当たりの国家公務員の数は、日本は先進国で最少。日本は人口1000人当たり17人で、ドイツやイギリスの半分。あのアメリカより40%も少ない。世界的に見てすでに十分“小さな政府”なのだ。それを承知の彼らが「霞が関を半減すべきだ」という理由がユニークだ。単なるコスト削減のためではない。「国に足りないお金は10兆円単位。国家公務員を半分にしても浮くのは100億円単位でしょう。焼け石に水もいいとこです」
それよりも、「霞が関の人間を減らしてほしいのは、一人一人の才能を開花させるためです」という。「残る役人も首になる役人も覚醒(かくせい)しますよ」と続ける。現在霞が関にいる志も意欲も高い現役官僚なら、仕事が倍になったら覚醒してさらに成長できるという。「逆に民間にほうり出された、霞が関でやる気のない連中も、ほうり出されて初めて目覚めてその能力を開花させ民間で活躍できるでしょう。そもそも能力は高いんです。一人一人の成長のために公務員削減をやってほしいのです」という。
霞が関のダイエット以外に、このグローバル化時代に彼らが主張する霞が関改革の目玉は外務省改革である。財務省、経産省、金融庁といった経済官庁は、官民交流や省庁間交流が盛んになり、組織風土がだいぶ変わってきたと言う。銀行や商社やメーカーといった企業の人たちから弁護士や会計士といった専門家まで幅広く役所と人事交流をしている。最も盛んな経産省では毎年20人近く交流していると言う。
民間の感覚や英知を官庁に導入する切り札になっていると言う。現場に近い規制監督官庁である金融庁には、ニーズもあって、弁護士や会計士が多く出入りしている。金融庁勤務経験のある弁護士や会計士は、大げさに言えば「規制監督官庁の手の内を知っている」ということで引く手あまたになり、待遇もアップする。本場アメリカのSEC(証券取引委員会)に似てきた。SECでの勤務経験は市場で高く買われるので「タダでも行きたい」と薄給をも顧みず、志願者が殺到している。
◆交流のあり方が問題
ここで彼らが問題点として挙げたのが、外務省の交流のあり方の問題点。もっと言えば、外務省の組織のあり方だ。「グローバル化の時代、日本の顔は外務省だ。その自覚を持って外務省は、国益のために、他省庁や民間と交流を促進すベきだ」と強く主張するのだ。
外務省でも人事交流はやっている。しかし、問題は“数”ではない。受け入れる“風土”の問題だ。他省庁から来た人間には「われわれはディプロマット(外交官)。彼ら(他省庁から人事交流でやってきている人間)はアタッシェ(専門職員)だから」と、“上から目線”のようなのだ。
経産官僚は「外務省の官民交流は弱い。在外公館ももっと日本ビジネスを積極的に支援すべきだ。商社や事業会社やメディアとも人事交流を行って民間のビジネスセンスを注入し、広報力を強化してほしい」という。
「たいていの場合、外交官は妙なプライドがあり過ぎてうまく交流できていない」とも。まあ、これはケース・バイ・ケースだろう。そもそも公務員試験に比して外交官試験が特別格が上のわけでもない。それなのに「外交官試験は特別」などとの勘違いがあるとしたらとんでもない。
酒が入って、議論はヒートアップした。「グローバル化時代に、“日本の顔”である外務省こそ、人事交流以上の改革をやるべきだ。やるべきは外務省の構造改革」。現在の外務省の組織は地域割りになっている。北米、アジア、欧州といった感じだ。しかし、地域ごとに分割する意義は少ない。世界中が英語を話すので、地域言語で分ける必要は薄れているし、各地域限定の課題も少なくなり、課題はどんどんグローバルに共通化している。
「外務省の組織を分けるべきは地域ごとではなく、課題ごとだ」との意見で一致。財務官僚も「外務省の中に財政問題に精通している人間が一体何人いるだろうか? 問題はわれわれが作ってしまったものでもあり、申し訳ないが、それはそれとして、今や日本の外交官は世界中で日本の財政問題を正確に語れないといけない」という。外交官としても、「日本はギリシャのようにならないか?」との質問をよく受けるという。
◆情報共有に消極的
経産省の人間も「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)について、外務省はわれわれと情報共有をしたがらない。主導したい気持ちは分かる。それなら、われわれ以上に国際経済や通商についてしっかり調査分析し主張できる人材を育成してほしい。正直いって、今の外務省で国際経済や貿易の話が論理的にできる人間は、あまり見当たらない」という。
その他にも、教育や環境や社会保障やエネルギーの課題がグローバル化している。これらについても現場でしっかり基礎知識から現状課題認識まで、自分自身の頭にたたきこんでいる外交官が何人いるだろうか?
外交官がグローバルな課題を知らず、それに関する日本の立場や現状を理解できておらず、それに関する重要情報を正確に発信も受信もできないとしたら、それは明らかに国益を損なう事態だ。
財務官僚も経産官僚も「税や財政や通商に詳しい人材が外務省に増えたら、われわれもうれしい。話の通じる相手として、彼らにどんどん情報を与えて日本の顔として応援したい」と語る。
財務官僚は「わが省にも国際部門の人間はいるが、彼らが外交的課題や外交関係や重要な人脈に通じているとはいいがたい。国際的な人脈では外務省にはかなわない。そもそもそれが外務省のミッションなのだから」と認める。「だから外務省には地域割りでなく、課題割りにしてグローバルに取り組みを発信し、課題に関する情報を入手してほしい」と強く主張する。
まったく同感だ! 数多くある霞が関改革の中でも、グローバル化時代だからこそ外務省の組織改革は急務だ。そして定数削減で官僚たちを覚醒させるのを急がねばならない。
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■X氏のプロフィール
経済、政治、学究の世界を縦横に駆け抜ける国際派日本人。40代。ちょいとワケありで匿名だが、書いてあることはすべて実話。
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