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いま一度、検察審査会の「平均年齢訂正問題」を考える
「検察審査会の平均年齢問題」と言っても、「有権者からの抽出にしては若すぎる」とか、「1回目と2回目の平均年齢が小数点2桁まで同じになるのは百万分の1の確率」などという議論はすでに出尽くしている。
また、東京第五検察審査会の怪しさは、開催日の問題や検察官が説明した日など、それ以外の問題が多すぎて、もはや平均年齢について検討する必要はないようにすら思う。
しかし、私はもう少し別の観点から、この平均年齢問題について総括しておきたい。
簡単に事実関係を整理しておく。
平成22年10月4日、起訴議決が公表された際の平均年齢は「30.9歳」だった。
10月12日、東京第五検察審査会事務局は平均年齢を「33.91歳」に訂正した。
その際、「最初の計算時に37歳の審査員1人が合計から抜けていた」と発表。
しかし、それでは計算が合わないとの指摘を受けて、翌13日夕方に「議決日の9月14日時点では34.55歳」と再度訂正した。
最初の平均30.9歳ということは、(1名抜けていたとの説明があったが)11名の合計年齢は、339.9歳である。2回目以降は小数点2位まで発表されているが、この時は小数点以下1桁。四捨五入を考慮すると11で割る前の年齢合計は340ジャストだったと思われる。
2回目の平均年齢は33.91歳。11名の年齢合計は373.01。四捨五入を考慮に入れると合計373だったのだろう。先の年齢合計との差は37ではなく33である。これを指摘された翌日、再訂正を発表した。
3回目の平均年齢34.55歳の年齢合計は380.05。これも四捨五入を考慮すれば11名の年齢の合計は380歳ということ、なのだろうと思われる。この数字においても最初の年齢合計との差は37歳1名とは一致しない。これに対して検察審査会事務局は、間違いは1人分が抜けていただけでなくほかにもミスがあった。就任日年齢ではなく議決日基準に統一した、などとの説明をしている。
ここで、「どのように間違えたのか」という推測については、一市民T氏が徹底的に解析された。私は、少し異なる点を論考しておく。
まず、「いつの」年齢を平均したものか。
次に、この平均年齢は、「誰の」年齢を平均したものか。
最後に、この平均年齢は、「小数点以下のない『満年齢』」を計算したのか。
この最初の、「いつの年齢か」との問題は、2度の訂正においては重要な問題であったが、少なくとも3回目の発表において事務局自身が「議決日(平成22年9月14日)に統一」と明言したので一応解決している。
次の点、「誰の年齢を平均したか」との問題は、「検察審査員11名に決まっている」と思われるかもしれないが、そう簡単な話ではない。これまで指摘された方がいたかもしれないが、もう一度明確にしておく。先の「議決日」に基準を統一されたので、最終的には「議決した11名の検察審査員」の平均年齢であろう。私自身も「議決した11名」の平均年齢だと推測している。しかし、議決日には3名の検察審査員が欠席し、3名の「臨時に検察審査員の職務を行う者」が選定されているのである。(法務省担当者が森ゆうこ議員に説明した「訂正後の選定録の順番」に従えば、ではあるが)
ということは、訂正前「就任日基準」の平均年齢算出の基となる11名と、3名が入れ替わっていることになる。1回目、2回目の平均年齢と、再訂正で発表された3回目の平均年齢は、「基準日」が変わっただけでなく、「3名が入れ替わっている」数字である、と考えておかなくてはならない。「37歳の1人を足し忘れて11名で割ってしまった」などという言い訳の次元とは異なる事情がある。そもそも第1回目(7/13)も新しい群との入れ替わりがあり、新メンバーが宣誓した第3回(8/4)にしても、正規の検察審査員が全員揃った日はない。欠席お構いなしに、名簿上の検察審査員の平均年齢を計算した、と考えるのが妥当かもしれない
検察審査会事務局は、こんな説明を丁寧にすれば、もう少し疑問を持たれずに済んだかも知れない。しかし、「最初に発表した平均年齢と3名入れ替えた数字です」とは言えなかった。議決日に検察審査員が3名欠けていたことには触れたくなかったのだろう。だから、2度も訂正しながら、整合性のある訂正理由を説明できない、という屈辱に塗れたのだ。言い換えると、真面目で優秀な公務員たちが、正しい説明をすることが許されず、こんな屈辱に耐えねばならない事態に追い込まれたのだ。
追い込んだのは、ジャーナリストや一市民T氏らだった、と言いたいところだが、私は本当の意味で現場の事務官たちを追い込んでいったのは、上層部・黒幕のスジだったのではなかったか、と考えている。話はそれるが、私は、そもそも「9月14日に議決があったと発表しろ」という指示が問題をグチャグチャにしたのだと思っている。無理せず、「議決は10月4日です。9月14日議決というのは根も葉もない噂です。」と言っておけば良かったのだ。それを許さなかった黒幕筋が徹底的に糾弾されるべきだろう。
話を戻すが、議決日に3名の「臨時に検察審査員の職務を行う者」が入っていた、というのは、この平均年齢問題が若すぎると指摘され、再訂正が行われた10月中旬には、まだ誰も知らなかった。この年の暮れ12月から翌年3月の震災発生までの間に、市民や、森ゆうこ議員らが情報を開示させ、その解析を経てはじめて見えてきたことだったのだ。
いったい「誰の年齢を平均したのか」との問題はひとまず置いて、3つ目の問題に触れておく。この平均年齢は「小数点以下のない『満年齢』」を計算したのだと思われる。
人は通常、年齢に小数点を付けない。たとえば、私は54歳であり、子どもは26歳だ。これは日常において「普通に使われている年齢」で、何ら違和感を感じる人はいないだろう。むしろ、「私は54.63歳です」などという人がいたらお目に掛かりたい。(いや、こんな人にはお目に掛かりたくない。笑)
満年齢というのは、誕生日を迎えてはじめて、1つカチリと数字が大きくなる。これが常識だ。この検察審査会の平均年齢も、このような満年齢を基準として計算されたものだと思われる。
でも、常識だと思っていても、異なる常識(標準)があることも往々にしてある。それは、計算が指や算盤や電卓によるしか無かった頃にはあり得なかったが、現代社会ではごく当たり前にある。そう、生命保険や金利計算や、パソコンが用いられるジャンルだ。
考えてみて欲しい。明日ハタチになる若者が11人いたとする。この平均年齢は19歳である。いや、本当に19歳だろうか?ましてや19.00歳と表現して正しいと言えるのか。私がエクセルで小数点以下2桁まで計算すると19.99歳となる。11人全員が明日20歳になる、という状態を表すのに相応しい数字だろう。小数点以下1桁にすれば、20.0歳だ。19.00歳というのは現実を示していない。18.50歳と19..50歳の平均こそが19.00歳なのだ。
こんなのは数学の話ではない。必要な人が必要な場面に応じて、できれば正しく使うことが望ましい、という程度のことだ。科学的あるいは公的な場合は間違えないにこしたことはない。
話を戻すと、もともと小数点以下を切り捨てた満年齢の平均を出すのに小数点2桁まで算出するバカバカしさを指摘したかったのだ。
もっという。事務局のパソコンには、生年月日がすでに入力されたデータが揃っている。10万円のパソコンにバンドルされているエクセルで簡単に出来ることなのだ。ややこしい計算など一切せずに、自動的に常時表示されていて当然の数字なのだ。数千万円のオーダーソフトに、その程度の機能が入っていないことが信じられない。
生年月日がデータとして与えられることが必須の「名簿管理システム」、「くじ引きソフト」の仕様書に、こんな機能すら付けていなかったのか。
「誰の」「いつの」そして「小数点以下の年齢」をどう計算するか、というのは、パソコン(エクセル程度の表計算)を扱える人なら、見落とすことは考えられない。
それを、メモをしながら電卓を置き、2度間違えた。3度目も、私に言わせると正しい計算であるのかどうか、甚だ疑問である。
日本の優秀な官僚は、どこへ行ったのか?
検察審査会の事務官は、ここまでバカなのか?
そんなはずはない。
たとえアルバイトでも、日本の若い人々はバカじゃないし、まして重要な仕事をしているのだという使命感があれば慎重にもなるだろうし、不明確なところであれば分かる人に指示を仰ぐだろう。
こういうミスは、馬鹿馬鹿しいほど簡単な仕事を適当にやってもなかなか起こらない。よほど事務の常識に欠けた人物が、適当に指示され、責任感も使命感もないまま誰のチェックも受けなかったから、としか考えられないではないか。
難関である(高卒程度と言われる3種事務官でも倍率は非常に高い)裁判所事務官の試験に受かり、採用された優秀な人材が、普通に仕事をしてこのような事態になるとはおよそ考えにくい。一度の訂正ならイージーミス、ケアレスミスだと考えられる。しかし、「平均年齢が若すぎる。おかしいのではないか?」との指摘を受けてこれなのだ。
10月4日の時点で、用意周到に仕組まれた悪意ある統率があったのなら、手嶋課長も長瀬事務局長も、こんなミスを見逃すはずがないように思う。
だから、上からの命令があまりに理不尽で、その抵抗のために問題を提起するサインとして「意図的に発せられた間違い」だった可能性を未だに完全に消し去ることができない。が、消去法で考えれば、そんな発信の仕方が可能だったとも考えにくい。
やはり、もっとも可能性があるのは、この平均年齢算出について、何の問題意識も使命感も責任感がなく、およそ社会人として報酬を受け取る仕事をしたこともない人が、ごくいい加減に計算したからなのではないかと思わざるを得ない。
それにしても、手嶋課長は、長瀬第一事務局長は、このミスをなぜ見逃してしまったのか。「こんな簡単なことで間違いが起こることを想定していなかった」、「慎重さが致命的に欠落していた」、「そもそもこの仕事に使命を感じることができなかった」など。その全てが重ならないと、こんなことは起こらないのではないか。
意図的な告発のサインであったかどうかは分からない。しかし、結果としてこの「平均年齢の計算ミス」は、内部告発に匹敵する効果をもたらした。
私たちは、こんな事実から、問題解決の可能性を何ひとつ見逃すことなく、追究を続けていかねばならないと思う。
国民の忘却こそが、黒幕たちの、そのスピンドクターたちの最後の望みとなりつつある。
だからこそ私は忘れないし、発信し続けなくてはならないと思っている。
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