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国立大学教職員の給与削減が進んでいない。政府は3月、国家公務員の平均7.8%給与削減に準じて国立大学法人の職員にも同程度の削減を求めたが、5月末時点で実施したのは全国立大学のわずか14%にとどまっていることが2日、分かった。国立大学教職員は非公務員であるため政府の権限は「要請」どまり。職員組合側から「非公務員なのに下げ幅が大きすぎる」と反発を受け、労使交渉が難航している実態が浮かび上がっている。
文部科学省によると、5月末時点で教職員の給与削減を実施した国立大学は90法人中13法人。東京大、京都大、大阪大など旧帝大の多くも未実施だ。
国立大学は平成16年に法人化され、職員も非公務員となったが、国から毎年多額の運営費交付金を受けており、24年度予算案では約1・1兆円が計上されている。給与の削減分は東日本大震災の復興財源に充てられることにもなっている。このため各大学の経営側には「減額やむなし」の声が多いが給与は労使交渉で決められる。
「とにかく下げ幅が大きすぎる。通常の人事院勧告に基づく削減は1%以下だが、今回は7・8%。職員組合に説明しても理解を得るのは容易ではない」。関東地方の国立大学で、労使交渉にあたる担当者はこう話す。東大や阪大なども下げ幅が最大のネックになっている。
被災地の東北大は6月から削減実施を決めたが、意見は割れたという。甲野(こうの)正道理事は「下げる必要があるのかという意見と、実際に被災した職員もおり、復興財源に使われるのなら下げないわけにはいかないという意見があった」と話す。
福島大も4月末に給与減額を盛り込んだ就業規則の改正案を職員組合側に提示したが、組合側は拒否。担当者は「復興財源になるので、公的機関として社会的要請に応えないといけない。ねばり強く交渉していきたい」と話している。
労使交渉が難航する中、岡田克也副総理は5月11日の会見で「各法人の対応が遅れているので、早急に対応していただきたいと各大臣にお願いした」と述べた。政府は運営費交付金から国家公務員の給与削減相当額を減額する方針を表明。こうした対応が「国家公務員ではないのに」といった反発につながっているとの見方もある。
ある国立大学幹部は「どの大学も実施しないといけないのは分かっているが、職員組合の力の強い大学では交渉は相当難航するだろう」と指摘している。
【用語解説】国立大学など公的機関の給与削減
今年2月、平成24、25年度の国家公務員給与を22年度比で平均7・8%引き下げる臨時特例法案が成立。これを受け、政府は3月、国立大学や独立行政法人など国の公的機関の役職員にも同程度の給与引き下げを要請した。5月には国家公務員と同程度の給与削減相当額を算定し、国立大学などに拠出する運営費交付金から減額する方針を表明した。
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