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先のG8で、米英独の世界経済牽引のシナリオが玉虫色ながら大きく変わった事を我が国の財務省は気づかない。否、気づいているが、走りだした緊縮財政・増税路線にブレーキを踏むとか、ハンドルを切るとかを一切考えていない模様だ。理由は色々だろうが、今さら国民や野田・谷垣を洗脳する時間が残されていないと云うテクニック的なことから、増税により得られる折角の省益を無視してまで、妥当と思われる経済財政政策を行う気がないと云うことかもしれない。
今、永田町で語られる安直なシナリオは野田民主と谷垣自民の連立だ。マスメディアの殆どが、このシナリオを社説などで、白昼堂々と語っている。おそらく、それなりのコンセンサスが共有されていると観るのが妥当だ。マスメディア、特に朝日新聞は“ほら見ろ、俺たちの論調通りになっただろう”が彼ら(メッセンジャー:星浩)の唯一のステータスなのだから、この方向性は確実に存在している。
このようなコンセンサスの共有には、多くの時間と金と行政権力が駆使されたわけで、今さらチェンジする事は不可能なのである。切羽詰まった勝栄二郎財務次官らの工作は、引き返すことが不可能になっている。日曜日のNHKの「日曜討論」においても、島田とか云う司会者が最後の締め括りの段階で前原の馬鹿に、小沢一郎を“棘”に見立て「トゲ(棘)を抜くことが出来るということか?」と質問を投げかけた。NHKでは、小沢一郎はどうも「トゲ(棘)」と云う存在に見えるようだ(笑)。
公共放送を標榜し、政府側に激しく加担するNHKと云う存在が“不正義”かどうか興味はないが、仮に小沢一郎が政府側の政治家になった時も、NHKは過去における立ち位置同様の振舞いをするかどうか、そこには興味をそそられる。ころりと立場を変えて、政権批判側のNHKになるかどうか、ジャーナリスト精神からは褒められる立場だが、それまでの経緯からみれば、異常な違和感として映るに違いない。あの数土氏が辞めたくないと駄々を捏ねたNHKの経営委員長と云うポストは、NHK会長よりも上位に位置する最高経営責任者(CEO)であり、リタイア経済人垂涎の地位なのである。最高の地位にも関わらず非常勤で無責任でいられるポストだともいえる。
数土氏は年収3千万円のNHK経営委員長の地位から、無報酬である東京電力社外取締役に就任の道を選んだ事は敬服に値する、と日経新聞などは言いたいようだが、何処の誰が、そんなガンジーさんのような崇高な志を想像するだろうか(笑)。同氏は、東電の社外取締役に専念する理由については「東電の再スタートは国民に影響する。つまずくことがあれば壊滅的な状況になるとの思いが強くなった」と言ったようだが、言葉通り受け取るわけにはいかない。どうも重厚長大輸出企業の人間達と云うものは、原子力発電への執着度が際立って目立つ。経団連の米倉爺にしろ、総合エネ調の三村委員長にせよ、この数土氏にせよ、放射能が怖くて“金儲け”なんて出来るか!の勢いなのだが、あきらかに何処かが狂った人々だ。人間の尊厳より、彼等にどのような崇高な目的があるのか、皆目見当もつかない。
またまた“雑魚の話題”で時間を費やしてしまった。本題の方が粗雑にならないように留意したいが、本業の仕事も溜まっているだけに、乱暴な分析になること承知の上で読んでいただきたい。筆者は未だに“消費増税法案”は衆議院を通過しないと思っている。現在、法案が国会を通過する見通しの根拠は、野田民主と谷垣自民が連立すると云う条件付きである。両党の連立によって衆議院での法案採決時に反対票を投じるのは、新政研に顔を出している衆議院議員60〜70人と踏んでいるので、民主・自民だけで300人以上の多数で可決と読んでいる。しかし、ことはそんなに単純ではないと思われる。
マスメディアが記事にする情報の多くが、マスメディアの論調に親和性のある政治家の発言を取り上げているが、リフレ派の議員たちが賛成票を投じる保証はまったくない。開けてビックリ、衆議院での賛成票が200前後と云う事態も想定されるのだ。(*衆議院の過半数は241)更に、財務省、霞が関に親和的態度を示す政治家に対して“NO!”と云う「空気」が醸成されている昨今、最長でも1年後には行われる総選挙まで、消費増税にだけは反対しました、と云うポジションを維持した方が得策と考える議員も多いだろう。
両党ともに、党議拘束と云う手段に出るだろうが、党議拘束を理由に“除籍”など懲戒行動を起こした場合、無所属で1年程度を永らえる方が、総選挙では有利に働く可能性が高いのだから、全員が頭を痛めることだろう。公認料云々も重要だが“諸費増税賛成議員”と云うレッテルは、大いに選挙戦に影響するだろう。今やネットの情報発信能力は無視できないパワーを持ち始めた。消費増税法案の採決が行われれば、当然賛成した議員に対しての「落選運動」は必ず盛り上がる。筆者も消費増税法案採決が強行された時は、この「落選運動」に指名する衆議院議員のリスト作成を企てている。
ここまで、正当な民主主義のデュー・プロセス・ローが歪められた以上、少々品格はないが、当選運動ではなく、「落選運動」に舵を切るしかないだろう。消費増税法案の採決云々に関わらず「落選運動」すべき衆議院議員のリストは既に完成済みである(笑)。更に追い打ちを掛けるように言うならば、財務省霞が関との癒着政治を行い、長閑な政治家生活を望んでいる奴らの後門には“地域政党”が牙を剥いている。そのことを、筆者以上に民主・自民の衆議院議員は切実に感じていると云うことだ。
増税をして、経済を活性化させる。こんなキチガイじみた経済政策があるなら、世界中のどの国も苦労などしないのである。マクロ経済なんて難しい話をする必要もない。消費増税の何処を押してみても、経済活性化の解は出てこない。格付け会社のフィッチが円建ての日本国債の格付けを「ダブルAマイナス」(最上位から4番目)から1段階引き下げて「シングルAプラス」にしたようだが、「日本の財政健全化計画は切迫感に欠ける」と云う理屈のようだが、彼らの格付けの目的の意味が判らない。財務省とIMF日本ロビーが、協力を仰いだと考えるのが妥当だ。「シングルAプラス」とは韓国、中国、チリより格下でエストニアと同格だそうだ。笑うしかないだろうに。
自民党の谷垣は「首相の選択肢は二つ。党の団結を重んじて問題解決を先送りするか、党の分裂も辞さずという覚悟で取り仕切るかだ。それによって私たちの回答は大きく異なる」とNHKの島田解説委員同様に小沢一郎を“棘”扱いし、「棘を抜け〜!」と発言している。野党の党首が、賛成の交換条件として、与党の議員の馘を刎ねろと言うのだから、品格どころの話ではない。東京地検特捜部の撥ね返り検事たちの悪行に目を瞑るわけである。谷垣が弁護士なら、もう一人悪名高い弁護士がいる。そう、仙谷由人という箸にも棒にもかからぬ男だ(笑)。
この仙谷と云う男は、地元徳島で気が大きくなったのか、橋下には「大阪市の改革をしっかりやれ。チャンと市長の仕事もせずに、今度は国政だと云うのは如何か」とケチをつけ、返す刀で小沢グループの民主党議員に対しては「少々思慮の足りない方がいるにすぎない。全体の財政のバランスからすれば、社会保障と税の一体改革をやらなければならないことは、常識のある人なら分かっている」、「行政や税金の使い方に無駄はあるが、1割を無駄でほじくり出せるというのは空想物語だ」と喧嘩を売っている。小沢から言わせると「チョロチョロ動いているようだが、無視しておけ」だそうである。
日刊ゲンダイが「消費税増税は必ず強行される 野田増税実現後の暗い庶民生活」と云うタイトルで不安そうに、民主。自民の連立含みの、消費増税法案可決だろうか、とビビった記事を書いていたが、腰が抜けたか?国税の調査に腰が砕けたわけではないだろうが、何時になく杞憂先行の記事を真剣に書いていた。「国民の生活が第一」の政権公約から遠ざかる政局を不安がるような記事は御法度である。タブロイド紙らしく、野武士の王道を歩んで貰いたい。今では、野武士悪党(良い意味で使っている)の地位を中日・東京新聞に奪われかけている。東京新聞は日刊ゲンダイの数倍の国税の嫌がらせを受けたにも関わらず、“逆切れ” で応戦している。この差は、メディアとして大きな差異になって行くよ。激しく反省する事を期待する。
筆者は個人的には、大幅会期延長よりも、サッサと野田内閣の国会を閉じた方が得策と考えている。特例公債法案や最低限の衆議院の違憲状態の定数を是正、リセットした方が良いと思う。もう野田内閣は国民からも、民主党内からも信頼を失っている。“消費増税法案を閣議決定しただけでも立派な仕事だ”くらいに褒めて、クールダウンさせるべきである。“法案も継続審議で、アンタの名前は残るから”で良いのではないか(笑)。正直、米英独仏は財政再建は緊縮財政や増税ではなく、経済成長を軸に進めるべきだ、と次のG20(6月18日開催のメキシコ:ロス・カボス)で明確に打ち出すはずだ。まぁいずれにせよ、今週の小沢・輿石・野田会談後のマスメディアの嘘八百報道が愉しみである。
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